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有料配信を開始した「ニンテンドーDSiショップ」レポート
~はてなと連携した「うごくメモ帳」も同時スタート~

 任天堂は12月24日、携帯ゲーム機「ニンテンドーDSi」向けのソフト配信サービス「ニンテンドーDSiショップ」(以下DSiショップ)の有料配信を開始した。サービスを実際に利用し、使用感をレポートする。





有料配信の開始でDSiショップが本格的に始動

ニンテンドーDSi
 DSiショップは、11月1日に発売されたニンテンドーDSシリーズの最新機種「ニンテンドーDSi」(DSi)向けにソフトウェアを配信するサービス。DSi以前の「ニンテンドーDS」「ニンテンドーDS Lite」には同機能は搭載されておらず、DSiのみで利用できる専用サービスとなる。

 配信されたソフトウェア「DSiウェア」はDSiの本体メモリに保存することで、DSカードの必要なく本体のみでゲームを楽しめるほか、複数のDSiウェアもメモリに保存しておくことも可能。仕組みとしては家庭用ゲーム機「Wii」向けの「Wiiウェア」をそのままDSiに持ってきたという印象だ。

 ダウンロードしたDSiウェアは本体メモリだけでなくSDカードに保存することも可能。ただし、SDカードに保存したDSiウェアは直接起動することはできず、必ず本体にコピーする必要がある。SDカードはメモリの容量拡張というよりもあまり利用しなくなったDSiウェアの格納やバックアップといった用途と言える。

 DSiショップ自体はDSi発売日である11月1日からサービスを開始していたが、当初ダウンロードできるのは無料のブラウザソフト「ニンテンドーDSiブラウザー」(DSiブラウザー)のみだった。12月24日は無料ソフトの拡充に加え、有料ソフトもラインナップに追加され、DSiショップの本格展開が開始された。





Wii「ショッピングチャンネル」とほぼ同構成のDSiショップ

リニューアル後のDSiショップ
 有料配信の開始に伴いDSiショップも更新が実施され、利用の際には本体更新を促される。本体更新はDSiショップの画面からは実施できず、本体設定の「本体の更新」から行う。利用回線にもよるが、数分程度の待ち時間で更新は終了した。

 以前のDSiショップはダウンロード可能なDSiブラウザーのみが表示されていたが、更新後はDSiブラウザーに代わって新着ソフトを4タイトル表示。購入に必要な「DSiポイント」の追加や購入履歴なども確認でき、一度購入したソフトは再ダウンロードも可能だ。Wiiの「ショッピングチャンネル」とほぼ同じ感覚で利用できる。

 配信されるDSiウェアは「無料」「DSiウェア200」「DSiウェア500」「DSiウェアプレミアム」の4カテゴリで分類。カテゴリ名が購入に必要なポイント数を表し、「DSiウェアプレミアム」は800ポイント以上のDSiウェアがカテゴリされている。

 DSiウェアの容量は「ブロック」という単位で表され、1ブロックは約0.1MB程度、本体メモリのブロック総数は1024ブロック。無料の「うごくメモ帳」は81ブロック、DSiウェア200の「うつす メイドインワリオ」は43ブロック、DSiウェアプレミアムの「ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング 文系編」が67ブロック。無料の「うごくメモ帳」の容量がDSiプレミアムより大きいなど、容量と価格は必ずしも関係しないようだ。


初回アクセス時には本体更新を促される 本体設定から更新を実施 キャンペーンで1000ポイントがDSiショップアクセス時にプレゼントされる

DSiショップのメインページ 料金ごと4種類のカテゴリで配信 作品配信画面。上画面が作品の説明になっている

ソフトの受信画面 受信中はマリオなどのキャラクターが現われる ダウンロードしたソフトはプレゼントの箱で表示。クリックすると内容が表示される
カテゴリ 作品名
無料 ニンテンドーDSiブラウザー
うごくメモ帳
DSiウェア200 鳥とマメ
紙ヒコーキ
ちょっとマジック大全 3つのシャッフルゲーム
ちょっとマジック大全 ファニーフェイス
ちょっとマジック大全 恐ろしい数字
DSiウェア500 Art Styleシリーズ:AQUARIO
Art Styleシリーズ:DECODE
ちょっとDr.MARIO
うつすメイドインワリオ
ちょっとアソビ大全 おてがるトランプ
DSiウェアプレミアム
(配信中作品は800ポイント)
ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング 文系編
ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング 理系編
12月24日時点での配信作品





パラパラマンガを作成できる無料のDSiウェア「うごくメモ帳」

うごくメモ帳
 無料で配信される「うごくメモ帳」は、タッチペンで描いた絵や文字でパラパラマンガを作れるソフト。手書き入力だけでなくマイクやカメラを使った音声・写真も素材として利用でき、できあがった作品ははてなとの提携により、専用サイト「うごメモはてな」に投稿できる。

 機能は「ペン」「塗る」「消しゴム」の3種類で、ペンの色も3色を2種類、背景色は白と黒の2種類と非常にシンプルだが、編集機能は充実。最初のコマに描いた絵を次のコマに透かすことでパラパラマンガが描きやすくなっているほか、取り込んだ写真を透かしてなぞることで、イチから絵を描くよりも気軽に描き始められると感じた。なお、カメラの写真は白黒のみでカラーでの撮影はできないが、白黒の濃度は調整できる。

 作成した作品は本体メモリに保存できるほか、SDカード保存やGIFファイルでの出力も可能。また、作成した作品を「ハート」「王冠」「音符」「ドクロ」という4種類のシールでお気に入り度をマークすることもできる。


ペンや塗る操作に加えてカメラや音声も利用可能 色は2色、背景は1種類を選択 前画面のコピーや貼り付けといった編集機能も用意

作成した作品は本体やSDカードなどに保存可能 作成者以外編集できないロック機能 4つのシールで作品を評価できる




作品は「うごメモシアター」でインターネットに公開

うごメモシアター
 うごくメモ帳で作成した作品は本体に保存するだけでなく、同じうごくメモ帳をダウンロードしたDSiとワイヤレスで交換することが可能。また、はてなとの提携により、「うごメモシアター」を通じて作成した作品をWebサイトの「うごメモはてな」に公開できる。

 うごメモシアターは「見る」画面の下部からアクセスすると、この先ははてなが提供する外部サービスとの旨が毎回表示され、「はい」を選択することでインターネットに接続、さらに毎回利用規約に同意することで初めてうごメモシアターが表示される。なお、インターネット接続設定は本体側に依存し、「上級者設定」のWPA接続でも問題なくうごメモシアターを利用できた。

 うごメモシアターでは作品の投稿に加えて、すでに投稿されている他のユーザーの作品も確認可能。ただし、投稿された作品はWebサイト側で一定時間ユーザーからの通報がなかったものだけがうごメモシアターに表示される仕組みで、違法・悪質な作品への対策が行われている。投稿作品はDSi本体に設定した名前で投稿されるが、この名前は設定で変更できる。

 投稿した作品の履歴や、一度投稿した作品の削除もうごメモシアターから可能。また、はてなの評価システム「はてなスター」にも対応しており、うごメモシアターからはてなスターが付けられる。この時のはてなスターは「英数文字の羅列@DSi」というIDで投稿され、はてなのIDを取得することなくはてなスターでの評価が可能。自分がはてなスターをつけた作品をうごメモシアターで確認することも可能だ。


うごメモシアターの利用時には外部サービスであることが毎回表示される 作品の投稿がうごメモシアターから可能 投稿された作品を閲覧することもできる




投稿作品をWebで閲覧できる「うごメモはてな」

うごメモはてな
 一方の「うごメモはてな」は、うごメモシアターを通じて投稿されたすべての作品が閲覧可能。規約違反と思った作品を通報する機能も用意され、こちらで通報された作品はうごメモシアターには表示されなくなる。

 作品にはコメントやはてなスターによる評価が可能だが、うごメモシアターと異なりうごメモはてなでははてなのID取得が必要。はてなIDでログインすることで特定のテーマによる「チャンネル」で作品を分類することも可能だが、チャンネルの作成には「はてなダイアリー」「はてなグループ」「はてなハイク」の3サービスいずれかを30日以上利用する「はてな市民」のみが可能で、それ以外のユーザーはすでに作成済みのチャンネルから選択することになる。

 作品の作者名による検索や、チャンネル単位もしくは作者単位でのRSS配信機能も用意。気に入った作品をブログパーツとしてブログに表示することもできる。なお、作者名はDSiで設定した名前がそのまま登録され、自分が投稿した作品をはてなIDと紐付ける機能は現時点で用意されていないが、今後は対応を検討しているという。


作品はコメントやスターで評価でき、気に入った作品をブログにも表示できる チャンネルや作者による作品閲覧機能 はてなIDを持ったユーザーであれば悪質なコンテンツを通報できる




ゲーム機とインターネット連動の可能性として期待

うごメモシアター利用時には利用規約が毎回表示されるが、うごメモシアターのサービス概要はつかみにくい
 以上、ニンテンドーDSiショップとうごくメモ帳、そしてはてなとの連携機能を紹介した。ニンテンドーDSiショップについては前述の通り、WiiのショッピングチャンネルをそのままDSiに提供したイメージ。サービス開始当初はDS向けゲームの簡易版などが中心でタイトル数も少ないが、Wiiウェアのように今後サードパーティーが参加することでソフトの拡充に期待したい。

 一方でWiiも同様の仕組みではあるものの、SDカードがあくまでバックアップであり、実際にゲームを起動するには常に本体メモリに保存する必要がある点は残念。セキュリティ対策ではあるだろうが、本体メモリの1024ブロックに対し、うごメモはてなが1タイトルで全体の1割近い81ブロックを消費してしまうことを考えると、今後大作ソフトなどが配信された場合や、ソフトを大量に購入したユーザーにとって不安が残る。

 無料配信ソフトのうごくメモ帳については、シンプルな機能ながらも透かし機能や写真の取り込み、コピー・貼り付け機能などで編集が容易であり、ユーザーの熱意次第で非常に充実した作品が期待できると感じた。作品を本体やユーザー間だけでなく、インターネット上に広く公開できるという取り組みも任天堂の方向性として興味深い。

 少し気になったのは、うごメモシアターの利用時には「外部サービスである」ことは明言されても、うごメモシアターがどのようなサービスかについてはチュートリアルでも紹介がなく、説明書を読まなければ詳しくはわからないこと。画面のクリックだけで気軽に始められる機能であり、投稿した作品がインターネットを通じて全世界に公開されることを考えると、個人情報の扱いやインターネット公開の意味などを利用規約だけではなくもう少し細かく説明したほうがいいのではと感じた。

 とは言え、せっかく作った自分の作品をDSiだけでなくインターネットへ公開できる点は非常に画期的。インターネット接続機能は有するものの、知り合い同士でなければコミュニケーションできないといった仕様だったニンテンドーWi-Fiコネクションなどから考えると、今回の外部公開は大きな変化とも言える。現状は最新機種のDSiのみの機能であり、さらに専用ソフトを自分でダウンロードするという壁はあるものの、うごくメモ帳を通じてどのような作品が登場し、ゲーム機とインターネットの関係がどのように変化していくのかも注目していきたい。


関連情報

URL
  ニンテンドーDSiウェア
  http://www.nintendo.co.jp/ds/dsiware/
  うごメモはてな
  http://ugomemo.hatena.ne.jp/

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(甲斐祐樹)
2008/12/24 14:43
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