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無線LAN内蔵のSD型メモリカード「Eye-Fi」の実力をチェック

 無線LANを内蔵したSD型メモリカード「Eye-Fi」が日本でも認可を取得、出荷を12月22日に開始した。日本版の製品を実際に入手、その使い勝手をレポートする。


無線LAN内蔵でPCレスの画像アップロードが可能

Eye-Fi
 Eye-Fiは、米Eye-Fiが開発した、無線LAN機能を内蔵したSD型メモリカード。デジタルカメラに装着して使うと、撮影した写真を自身が内蔵する無線LAN機能を利用して自動でオンラインサービスへアップロード。SDカードからデータを取り出し、ブラウザや専用ソフトでアップロードするという従来の手間を大幅に削減できるだけでなく、アップロードした写真を指定したPCに自動でダウンロードすることで、PCへのバックアップも一括して行えるのが特徴だ。

 無線LANを利用した同様の機能はニコンなどもデジタルカメラに搭載しているが、Eye-FiはSD型メモリカードのためにデジタルカメラを問わず利用できるのが最大の特徴。また、ニコンであれば「my Picturetown」など、基本的には専用サービスへアップロードすることになるが、Eye-Fiはmy Picturetownを含めてさまざまなオンラインサービスをアップロード先として選択できる点が異なる。

 海外では通常モデルである容量2GBの「Eye-Fi Share」に加えて、無線LANを利用して位置情報を取得できる「Eye-Fi Explore」、オンラインサービスへのアップロードには対応せず、PCへの転送機能に特化した「Eye-Fi Home」の3製品がラインナップされているが、日本では当初のうちEye-Fi Shareのみを発売。オンラインショッピングなどでは海外輸入の同製品が販売されているが、アイファイジャパンでは電波法に基づく技術適合証明を取得、同時にそうした海外輸入品については電波法に抵触する可能性があると指摘、英語版の製品については日本でのサポート対象外になるとしている。


Eye-Fiの初回限定パッケージ 右側をつまんで開くと左側のEye-Fi収納部分も同時に開くギミック

付属のカードリーダーとEye-FI。カードリーダーは市販の製品でも利用可能 左から海外製のEye-Fi、国内販売のEye-Fi、SDHCカード。海外と日本ではラベルのデザインが異なる。また、海外製品の国内利用は電波法に抵触する可能性がある

初回設定はPCが必要。アップロードできるサービスは1サービスのみ

Eye-Fiのメモリには専用ソフト「Eye-Fi Maneger」インストーラなどを内蔵
 SDカードのみで写真をアップロードできるEye-Fiだが、初回設定にはPCが必要だ。Eye-Fiには専用ソフト「Eye-Fi Manager」が内蔵されており、SDカードリーダなどでPCに接続すると自動的にソフトウェアのインストールを開始する。Eye-FiにはUSB接続型のカードリーダが付属しており、ソフトはEye-Fi本体に内蔵されている。Eye-Fi Manegerの対応OSはWindows Vista/XP、Mac OS X 10.4〜10.5。

 インストールが終わったら、Eye-Fi ManagerからEye-Fiのサイトにアクセスし、ユーザー登録を行う。このユーザー登録で作成するEye-Fiのアカウントと登録の際に利用したEye-Fiカードは紐付けられ、撮影した写真はすべて自分のEye-Fiアカウント経由でアップロードすることになる。

 アカウント作成後は接続する無線LANを選択。暗号方式はWEPに加えてWPA、WPA2もサポートしており、周囲のSSIDを検索して指定。指定したSSIDから実際にEye-Fiのサーバーへアクセスし、接続が確認できると設定が完了。無線LAN設定は複数設定でき、周囲にいずれか1つでも設定済みの無線LANがあれば自動で接続するようになっている。

 無線LAN接続が完了した後は、Eye-Fiで撮影した写真をアップロードするサービスと、アップロードした写真を自動でダウンロードするPCを選択。無線LAN設定とは異なり、こちらは1枚のEye-Fiカードにつき1台のPCと1つのサービスしか設定できないが、サービスやPCの変更は後からでも可能だ。

 Eye-Fiに対応するオンラインサービスは現時点で13サービス。日米ともに提供されているサービスが中心だが、はてなの「はてなフォトライフ」、paperboy&co.の「30days Album」といった国内のみのサービスにも対応。公開範囲設定が可能なサービスではどの範囲で公開するかも設定でき、アップロードする写真はすべてその設定に従う。公開範囲を全体公開にしている場合、思わぬ写真が自動でインターネットへ公開されてしまう可能性もあるので設定はよく注意しよう。


初回利用時にはアカウントを作成 無線LANの設定 アップロード先のオンラインサービスを指定

アップロード時の公開範囲などを指定できる 複数サービスの設定が可能だが、アップロード先は1つのみで、変更にはPCが必要 PCでのダウンロード先を選択。Eye-Fi Mangerを通じて写真を自動でダウンロードする

DSiやWiiの画像もアップロード可能

初期設定が完了した後はデジタルカメラで写真を撮影するだけ
 初期設定が完了すれば、あとはEye-Fiを自分のデジタルカメラに装着し、写真を撮影するだけ。Eye-Fiに写真が保存されるとEye-Fiが自動的に無線LANへ接続を試み、周囲に設定済みの無線LANがある場合は自動で接続。指定したオンラインサービスへアップロードする。なお、アップロードはデジタルカメラの電源投入時および写真を撮影した際に行われるため、撮影した写真をすぐにアップロードしたい場合はデジタルカメラの電源をオンにしておく必要がある。

 アップロードされるファイルはDCFに準拠したファイル名であればよく、デジタルカメラで撮影した写真以外でも、DCF準拠のファイル名でSDカードに保存すると自動でアップロードする仕組み。フォルダ構造などもDCFに従う必要があるが、基本的にはデジタルカメラが自動で作成したフォルダに保存すれば問題はないだろう。

 DCFに準拠したファイルであればアップロードの対象となるため、カメラ機能を搭載した「ニンテンドーDSi」で撮影した写真や、Wiiの「街へいこうよ どうぶつの森」内で撮影した画像をEye-Fiに保存しても、デジタルカメラと同様に自動でアップロード可能。DSiはブラウザがアップロード機能を備えていないこともあり、こうした使い方は便利そうだ。


初期設定ではアップロードまでのチュートリアルを表示 写真のアップロード状況はEye-Fi Mangerからも確認できる Eye-Fi Manegerを起動した指定PCへ自動でダウンロード

撮影した画像を指定したサービスに自動でアップロード Eye-Fi Mangerでは撮影日ごとにアップロード情報を確認できる ダウンロードも日付フォルダでの分類が可能

ニンテンドーDSiで撮影し、DSiの機能で編集・保存した画像も自動アップロード Wiiソフト「街へいこうよ どうぶつの森」で画像をSDカードに保存できる機能も利用可能 Eye-Fiで撮影していない写真もファイル名や保存フォルダを合わせればアップロードできる

SDカードのフォーマットも可能。書き込み速度はやや遅め

 さまざまな機能をSDカード内に内蔵しているだけに、気になる点はSDカードのフォーマットだが、アップロード機能はEye-Fi内の隠しフォルダとして保存されており、デジタルカメラでフォーマットしても問題なく利用可能。専用ソフトのEye-Fi Manegerはフォーマットで削除されるが、これはアイファイジャパンの公式サイトからユーザー登録の必要なく無料でダウンロードできる。

 フリーソフトの「HDBENCH」を利用した転送速度テストも実施。測定方法はデジカメWatchに準じ、「HDBENCH Ver.3.30」のDISK計測で5回ずつ計測し、ReadとWriteの各転送量(KB/秒)の平均を記載した。カードリーダーはThinkPad搭載のSDカードスロットを利用しており、高速性のチェックではなく他製品との比較として捉えて欲しい。

 実際に計測したところ、Eye-FiはSDHCではないSDカードだが、Readの速度に関してはClass 6のSDHCカードとほぼ同等程度の速度を記録。一方でWriteに関しては非常に遅い結果となった。

製品 read/write 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
Eye-fi read 13757 13337 13366 13558 13757 13555
write 1976 1945 1954 1971 1965 1962.2
panasonic SDHC
class 4
read 7793 7794 7803 7794 7794 7795.6
write 6901 6894 6894 6901 6908 6899.6
trancend SDHC
class 6
read 15190 15190 15192 14950 15262 15156.8
write 9751 9567 9624 9751 9751 9688.8
Eye-Fiの転送速度比較


 実際に利用していても、動画ファイルなど容量の大きいファイルを保存する場合はやや時間がかかる印象だ。ただし、Eye-Fiは動画やRAW画像といった大容量ファイルのアップロードには対応しておらず、アップロードの対象はJPEGのみのため、コンパクトデジタルカメラの静止画撮影という用途であればさほど問題はないだろう。JPEGファイルであれば5メガサイズ(2560×1920ピクセル)程度の画像であっても数十秒もかからずにアップロードできた。


livedoor WirelessのMACアドレス認証も利用可能

PHS300とイー・モバイル端末を利用すれば外出先でもEye-Fiでアップロードできる
 撮影した写真をその場でアップロードできるという点で非常に便利なEye-Fiだが、アップロードに利用する無線LANは複数設定が可能ではあるものの、登録は事前にPCで行う必要がある。パーティー会場などに無線LAN設備があったとしても、その場でPCから設定を行わない限り無線LANでのアップロードは利用できない。

 また、Eye-Fi自体は当然ながらブラウザ機能を持たないため、SSIDとWEP/WPAに加えてIDとパスワードが必要になる公衆無線LANサービスも利用できない。外出先で撮影した写真をその場でアップロードするというよりも、家や会社で撮影した写真をまとめてアップロードする、という利用方法が適しているだろう。

 なお、公衆無線LANサービスのうち、ライブドアの「livedoor Wirelss」は、無線LAN機器のMACアドレスを登録すればIDとパスワード不要で利用できる試験サービスを提供している。この試験サービスを実際に試したところ、設定画面から確認できるEye-FiのMACアドレスを事前に登録しておくことで問題なくlivedoor Wirelessを利用できた。ただし、無線LAN設定時には実際にEye-Fiのサーバーへインターネット経由で接続する必要があるため、livedoor Wirelessの設定を行うにはlivedodor Wirelessのエリアで行う必要がある点は注意しておこう。

 移動中に好きな場所で撮影した写真をすぐにアップロードしたいというのであれば、イー・モバイルの回線を無線LAN経由で利用できる「PHS300」を使えば実現可能。PHS300のバッテリー問題に限りはあるものの、パーティー会場での写真撮影など時間が定められていれば十分に利用は可能だろう。上りが384kbpsのイー・モバイル回線でも、写真1枚程度であれば1分もかからずにアップロードが可能だ。

 なお、Windows Mobile搭載スマートフォン向けのアプリケーション「WMWifiRouter」はアドホック接続のためか、PCではSSIDが検索できてもEye-Fiの検索では表示できず、直接SSIDを入力しても接続できなかった。


Eye-FiのMACアドレスはEye-Fi MangerのEye-Fiアイコンにマウスオーバーすると確認できる livedoor WirelessのMACアドレス認証で事前登録すればlivedoor Wirelessでのアップロードが可能に

SDカードに無線LANを内蔵することで幅広い利用が可能に

 これまでにも無線LAN内蔵のデジタルカメラはいくつか存在したが、Eye-Fiは無線LAN機能をSD型メモリカードに内蔵したことでデジタルカメラの機種依存がなくなっただけでなく、ニンテンドーDSiやWiiなどSDカードスロットを持ったゲーム機でも利用できるなど、アイディア次第で幅広い利用スタイルが実現できるのが大きな魅力と言える。

 アップロードが無線LANかつ事前登録が必要なため、撮影した写真をすぐにアップロード、という用途よりも、旅行やパーティーなどで撮影した写真を自宅に戻って手軽にアップロード、という使い方が向いているだろう。一方、無線LAN環境が備わった場所で使うのであれば、ブログ用に撮った写真をすぐにアップロードする、PCに取り込みたい写真を撮影するだけで自動保存など使い道は幅広い。

 注意しておきたいのはEye-Fiの設定はEye-Fiのみでは一切行えないこと。例えばアップロード設定を全公開にしていた場合、間違って公開したくない写真を撮影してしまった時に自動でアップロードされてしまう可能性もある。そもそも全体公開にしていることを忘れて写真を撮ってしまうケースなども想定できるだろう。今後はEye-Fiの設定をカメラ側から行えるデジタルカメラなども欲しいと感じた。

 とは言えデジタルカメラで撮影するだけで手軽にアップロードできるという手軽さは非常に魅力的。「写メール」に代表されるように、写真を使ったコミュニケーションは日本で盛んだが、撮影するだけでアップロードできるという手軽さによって、PCを使った写真コミュニケーションがより活性化することを期待したい。


関連情報

URL
  Eye-Fi
  http://www.eyefi.co.jp/

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(甲斐祐樹)
2009/01/07 11:43
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