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専用ネットワークで映像コンテンツを配信する「4thMEDIA」

貸与されたセットトップボックス(STB)は、沖電気製の「OKI Streaming Player」
 ぷららネットワークス、NEC、ニフティの3社は現在、ぷららが構築したコンテンツ配信ネットワーク「4thMEDIA」を利用した多チャンネルIP放送サービスおよびビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスのオープンモニターサービスを10月31日までの期間で行なっている。今回、このオープンモニターサービスに参加する機会を得たのでその使用感をお伝えする。

 なお、使用した機器および配信サービスは、あくまでオープンモニターサービスの段階のもので正式サービスが開始された際には変更される可能性があることを、あらかじめお断りしておく。


貸与される機器はSTBのほか、スイッチングハブも

設定画面。接続はPPPoE方式のみとなる
 オープンモニターサービスで貸し出されるセットトップボックス(以下STB)は、沖電気製の「OKI Streaming Player」。このほか、STBがPPPoEセッションを使用するため、ネットワークを分岐するスイッチングハブ1台とLANケーブル2本もあわせて貸与される。

 OKI Streaming Playerが搭載するインターフェイスは、LAN側インターフェイスとして100BASE-TX/10BASE-Tが1ポート。S端子を含めた映像出力端子、および音声出力端子がそれぞれ搭載されている。

 最初の起動時にはSTBの接続設定を行なう必要がある。接続設定では、貸与された機器とともに同封されたアカウントや利用するビデオフォーマットの選択などを行なうことで、「4thMEDIA」の利用が可能となる。


STBのほか、スイッチングハブやLANケーブルも同梱 本体背面にはLANインターフェイスのほか、映像および音声出力が装備されている




放送としての配信サービス

4thMEDIA接続後に表示されるメニュー画面
 今回、オープンモニターサービスで使用した通信環境はNTT東日本のBフレッツ ベーシックタイプ。また、ビデオフォーマットは配信帯域が常時4MbpsのMPEG-2形式と平均配信帯域が1.5~2MbpsのMPEG-4(ASP Level5)形式の両方を使用した。

 配信形態は、多チャンネルIP放送サービスの「テレビ」とVOD配信サービスの「ビデオ」の2つが用意される。「テレビ」では番組送りやチャンネル指定での番組選択が可能で、文字通りテレビを利用しているイメージに近い。一方の「ビデオ」も、同じようにビデオを観る感覚に近く、MPEG-4形式では一時停止や早送り、巻き戻し、スロー、サーチといった操作が可能。なお、MPEG-2形式は現時点で一時停止とスローのみが利用可能となっているが、ぷららネットワークスによれば、MEPG-4(ASP Level5)形式と同様の機能を9月下旬をめどに提供するという。





「テレビ」「ビデオ」で合計32タイトルが視聴可能

「テレビ」のチャンネル選択画面
 それでは、「テレビ」と「ビデオ」の視聴手順を紹介していこう。両サービスともに本体起動後に表示されるメニューから、それぞれ「テレビ」「ビデオ」を選択することで配信中のチャンネルが表示される。

 「テレビ」は、「ディスカバリーチャンネル」や「カミングスーンTV」、「ショップチャンネル」など9月9日時点で、合計11チャンネルが配信されている。その中から、好みの番組があれば、カーソルを合わせ決定ボタンを押せば配信が開始される。もちろん、通常のテレビと同じように番組を視聴中でも番組送りボタンやチャンネル番号を指定することで他チャンネルへの切り替えが可能だ。

 一方、「ビデオ」で配信されるタイトルは、アクション、サスペンス、コメディ、SF、ドラマ、ホラーとジャンル別に分けられており、合計で21タイトルが用意されている。

 基本的に「ビデオ」も、「テレビ」同様に視聴したいタイトルの選択を行なう。ただし、正式サービスで利用される課金手続き(オープンモニターサービスでは無料)があるため、タイトルを選択した際には、まず購入確認画面が表示されることになる。ここで購入を了承すると購入手続きが行なわれ、コンテンツの視聴が可能となる。「テレビ」と比べれば、少々面倒だと思うかもしれないが、このステップだけで購入手続きが完了することを考えればむしろ楽な印象を受けた。


「ビデオ」は、ジャンルごとにタイトルが分けられている サスペンスを選択。この時は、「ザ・セル」と「エンバーミング」が配信されていた

視聴を希望するタイトルを選択。作品説明とともに、画面下部に視聴ボタンが用意される 購入確認画面。ただし、オープンモニターサービスでは実際に課金は行なわれない

購入完了画面。すぐに視聴する場合は、メッセージ下に表示されるボタンを押せばよい ボタンを押すと、視聴確認画面に。できれば、前画面から再生画面へと直接移行して欲しいところ

 このほか、契約中のチャンネルが確認できるリストページや、番組表が用意されている。


契約チャンネル一覧 番組表検索画面。チャンネルと日時を入力することで、指定した時間の番組表が表示される




MPEG-2形式では予想以上に“放送”を楽しめる

 すでに述べたように配信ビデオフォーマットは、常時4MbpsのMPEG-2形式と平均配信帯域が1.5~2MbpsのMPEG-4(ASP Level5)形式の2種類が用意されている。ここでは、各フォーマットを視聴した時の印象を述べていきたい。

 MPEG-2形式で視聴した際には、予想していた以上に“放送”としての視聴ができた。一方、MPEG-4形式での視聴は今回使用した環境では、動きの多い場面ではブロックノイズが発生してしまった。

 こうした点を踏まえ、満足のいく視聴環境を考えれば、常時4Mbpsで配信されるMPEG-2形式が無難な選択といえる。このため、Bフレッツなど広帯域な接続サービスを利用するユーザーは、「4thMEDIA」を含めた映像配信サービスへの加入を考えても良いのではないかと感じられる。





貸与されたSTBの反応速度、操作性にはやや不満が残る

 オープンモニターサービスにおいて、貸与された沖電気製のSTB「OKI Streaming Player」にはやや不満が残った。本体の起動時間では、測定した範囲で起動画面が表示されるまでに15秒程度。そこからメニュー画面が表示されるまで45秒程度の時間がかかる。また、「ビデオ」視聴時のチャンネルの切り替えは5秒程度かかってしまい、通常のテレビでのチャンネル切り替えと比べるとスムーズとは言い難い。

 このほか、リモコンにも多少癖があった。例えば、決定ボタンはリモコン中央にある再生ボタンに割り当てられている一方で、接続設定画面にあるラジオボタンの選択は再生ボタンではなくその下にあるズームボタンで選択する必要があり、操作には少々慣れが必要という印象を受けた。

 やはり、通常のテレビやビデオなどと同じ感覚で映像配信サービスを利用したいユーザーにとって、STBの反応速度や操作性は気になるところであり、正式サービス開始時には機器関連の改善を期待したい。

 なお、リモコン下部には「WWW」「メール」「お気に入り」といったボタンが配置されている。しかし、ぷららネットワークスによれば、表記の機能提供を正式サービス時にも予定していないため、実際に割り当てられている「テレビ」「ビデオ」「番組表」といったショートカットへの表記変更を検討しているという。


STB起動画面 STBに付属するリモコン。中央の再生ボタンに決定機能が割り当てられる




ブロードバンドの新たな“売り”になる可能性は大いにある

映像配信サービスは、IP電話サービスに続くブロードバンドの起爆剤となりうるか(右の2機種はIP電話対応機器)
 今回、「4thMEDIA」オープンモニターサービスに参加して感じたのは、MPEG-2形式においては考えていたよりも画質劣化が少なく、それこそ“普通”の放送として映像配信サービスを利用できるということだ。これならば、ブロードバンドコンテンツの大きな柱の1つになり得るのではないかという印象を持った。

 将来的には4Mbps以上の広帯域での配信を期待したいところだ。ぷららネットワークスによれば、今後ネットワークインフラの普及度合いをみながら広帯域化を検討していくという。また、利用料金はオープンモニターサービスで実施するアンケートや、技術評価などの結果を踏まえて決定するとしている。

 最後に、今回のオープンモニターサービスとは少し離れてしまうが、PPPoEセッションについても触れておきたい。現在、NTT東日本のBフレッツサービスで割り当てられる基本セッション数は、ビジネスタイプの4セッションを除けば全て2セッション。NTT西日本も基本セッション数は同様だが、セッションの追加ができる。ビジネスタイプでは1セッションあたり月額2,000円で最大20セッションまで、それ以外では1セッションあたり月額1,000円でベーシックタイプは最大10、ファミリー/ファミリー100/マンションタイプおよびフレッツ・ADSLは最大5セッションまでの利用が可能となっている。

 しかし、現状の基本セッション数が2つのままでは、例えば映像配信サービスに加え、インターネット接続サービスを同時に利用した場合、割り当てられたセッション数を消費することとなる。この状態で、フレッツ・スクウェアにアクセスしたい場合、利用中のサービスのうち、どちらかを切断する必要が出てきてしまう。

 さらに今後、PPPoEセッションを利用した新たなサービスが登場した場合には、基本セッション数がサービス利用時の妨げになる可能性も捨てきれない。このため、現実的には基本セッション数の拡大を行なっていくことが、今回の「4thMEDIA」をはじめとした新たなサービスの登場、発展を占う1つの分岐点になるのは間違いないだろう。


関連情報

URL
  Plala.TV on 4thMEDIA
  http://plala.tv/monitor/
  BIGLOBE.TV on 4thMEDIA
  http://festa.biglobe.ne.jp/stb/
  @niftyTV on 4thMEDIA
  http://www.nifty.com/tv/

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(村松健至)
2003/09/19 16:50
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