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大容量ソフトウェアもダウンロードの時代へ

 NECが運営するBIGLOBEは、10月3日にソフトウェアダウンロード販売サイト「SOFTPLAZA」において、同サイトで発売した優秀ソフトウェアを表彰する「SOFTPLAZA大賞」を発表した。ブロードバンド化の進むインターネット環境で、同社のソフトウェア販売に関する取り組みについて、BIGLOBEサービス事業部の徳間康晋マネージャーに伺った。


PC-VANの時代から続く販売サービス

SOFTPLAZA
 SOFTPLAZAは、BIGLOBEが直接運営するソフトウェアのダウンロード販売サイト。2001年4月に終了した同社のパソコン通信サービス「PC-VAN」の時代から運営されており、現在は約150万の月間ページビュー、ソフトウェアのダウンロード販売サイトとしては業界で第2位(注: BIGLOBEによる推定)を誇るという。

 SOFTPLAZA大賞は2002年度上期から発表を開始、今回の2003年度上期で3回目を迎える。ダウンロードの特性を活かしたソフトウェアを表彰することで、ユーザーが安心して購入できるコンテンツを紹介。ソフトウェアベンダーにとっても市場を盛り上げるためにSOFTPLAZA大賞を利用してもらう考えだという。

 SOFTPLAZA大賞の第1回目となる2002年度上期は、ソースネクストの「驚速ADSL」が、2002年度下期にはエッジの「DVDコンバーターwith DivX PRO」が大賞を受賞している。大賞以外にも「ベストセラー賞」「ファミリー賞」といった部門賞が用意されており、こちらは毎期ごとに異なった部門賞が設定されている。

 今回発表された第3回 SOFTPLAZA大賞では、エー・アイ・ソフトのユーティリティソフト「DiskX Tools Ver.9」が大賞を受賞した。そのほかシマンテックの「Norton Ghost 2003」が「ユーティリティ部門賞」、アイフォーの「Flash Maker for Windows」が「クリエイティブ部門賞」、NECインターチャネルの「デジカメぷち整形」が「趣味・娯楽部門賞」を受賞している。

2003年度上期「SOFTPLAZA大賞」受賞作品
賞名 ソフトウェア メーカー
SOFTPLAZA大賞 DiskX Tools Ver.9 エー・アイ・ソフト
ユーティリティ部門賞 Norton Ghost 2003 シマンテック
クリエイティブ部門賞 Flash Maker for Windows アイフォー
教育部門賞 えいご漬け プラト
ゲーム部門賞 AQUAZONE XP シノミクス
趣味・娯楽部門賞 デジカメぷち整形 NECインターチャネル


 SOFTPLAZA大賞の選考は、ソフトウェアの販売実績に基づき、SOFTPLAZAの担当と外部ライターによって行なわれる。ただし実際の選考は販売実績よりも、「革新的な機能か」「コストパフォーマンスの高さ」「オンライン利用への配慮」という点に重きが置かれているという。

 第3回のSOFTPLAZA大賞を受賞した「DiskX Tools Ver.9」の場合、不要なソフトウェアを削除するといった基本機能に加え、常時接続環境での情報漏えいを防ぐためのデータ消去機能、ブロードバンドによる接続速度向上に合わせてパソコンを高速化させるといったパフォーマンス向上が受賞の決め手となった。

 部門賞では、デジカメの人物画像などを手軽な操作で加工・整形できる点が評価され、「デジカメぷち整形」が趣味・娯楽部門賞を受賞。また、クリエイティブ部門賞のFlash作成ツール「Flash Maker for Windows」は、ブロードバンド化の流れに合わせて、より表現力の高いホームページを作成したいというユーザーのニーズに応え、低価格かつ簡単にFlashを作成できる点が評価された。


趣味・娯楽部門賞の「デジカメぷち整形」

大容量ソフトウェアもダウンロードの時代へ

BIGLOBEサービス事業部の徳間康晋マネージャー
 BIGLOBEサービス事業部の徳間康晋マネージャーによれば、第3回 SOFTPLAZA大賞の該当期間となる2003年上期は、ソフトウェアのダウンロード販売に大きな変化があった時期だという。

 ブロードバンドの普及に伴い、従来ではダウンロード販売できなかった100MBを超えるソフトウェアが続々と登場、「ホームページ・ビルダー7」のように600MBを超えるソフトウェアもラインナップに名を連ねた。「ソフトウェアベンダーも(大容量のソフトウェアが)“本当に売れるのか”と半信半疑だったが、実際に売れることで市場が確立されて来ている」(徳間氏)。

 また、2003年上期はこうしたブロードバンド環境の向上に合わせ、主要なソフトウェアベンダーが次々にダウンロード販売を開始した時期でもあったという。徳間氏は「今ではOSや1GBを超えるようなソフトウェア以外はほぼダウンロードで購入できる」と自信を示す。実際の店舗とダウンロードの発売日を同時に設定するベンダーも増えているという。

 徳間氏はソフトウェア全体の流通構造についても触れ「店頭販売は“単価が低い”“種類が増えすぎて説明しきれない”といった理由から縮小傾向にある」とコメント。Webサイトなどで商品をじっくり説明できる上に、在庫や欠品のリスクも生じないダウンロード販売の優位性を強調した。24時間いつでも購入できるメリットもあり、Blasterウイルスが流行した時期にはウイルス対策ソフトの売上が約3倍の伸びを示したという。

 ただし、ソフトウェアのダウンロード販売もメリットばかりではない。徳間氏はソフトウェアの不正コピーといった問題に触れ、「ベンダー側、販売側どちらが行なうのかという問題はあるが、著作権保護技術なども取り入れていかなければならない」という課題を指摘。SOFTPLAZAでも暗号鍵を発行するなど、対策を講じていきたいと意欲を示した。

 ただし、ソフトウェアは実際のところ、不正コピーの問題以上にソフトウェアそのものを利用していないユーザーが多く、市場規模がそれほど大きくないというのが現状だと徳間氏は語る。保護技術の導入によって生じるコストの増加やユーザーの利便性を損なうといったデメリットもあるため、ベンダー側でもまずはダウンロード販売で市場を拡大することに力を入れていきたいという意向が強いという。


メガコンソーシアム向けにサービスを拡大

 SOFTPLAZAでは今後、“BIGLOBEによる直接運営”を中心に差別化を図っていく方針。具体的にはBIGLOBEのほか、DION、ODN、Panasonic hi-hoなどで構成されるISP連合「メガコンソーシアム」向けにSOFTPLAZAのサービスを提供する予定だ。メガコンソーシアムに参加するプロバイダーであれば、利用プロバイダーのIDとパスワードでソフトウェアを購入可能とすることで、より手軽にソフトウェアを購入できる環境を構築していく。

 また、NECのパソコン販売と連動した展開も実施する。すでにNEC製のパソコンには様々なソフトウェアの体験版をイメージファイルで用意、ユーザーが自由にインストールできる「ソフトチョイスサービス」が提供されており、ここからダウンロード販売へつなげていく考えだ。ユーザーに対して「ソフトウェアがどこにあるのか、どこで購入すればよいかわからない」という問題を解決し、ユーザー層を広げていくのが狙いだという。

 さらにはBIGLOBE情報誌への添付や、量販店・コンビニ向け販売用途として、ソフトウェアをDVDに収録、提供していくことも検討しているという。DVDの普及によってDVDメディアの費用が低価格化したため、こういった展開も可能であるという。

 徳間氏は「ソフトウェアのダウンロード市場は現在20億円程度だが、2、3年後には何らかの形でオンラインを利用するソフトウェアも含めて、市場規模は300億円程度にはなるだろう」と予測。SOFTPLAZAでも、BIGLOBEが直接運営するというメリットを活かしたマーティング展開を積極的に進め、年率200%以上の売上増加を目指していくという意欲を示した。


関連情報

URL
  2003年上半期 SOFTPLAZA大賞
  http://softplaza.biglobe.ne.jp/text/2003sp/splazaawd/splazaawd3_index.html
  SOFTPLAZA
  http://softplaza.biglobe.ne.jp/
  BIGLOBE
  http://www.biglobe.ne.jp/

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(甲斐祐樹)
2003/10/03 16:17
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