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自宅の電話をPCで着信。プラネックスのVoIPアダプタ「VTL-TA02X」

 プラネックスから発売されたVoIPアダプタ「VTL-TA02X」は、自宅の電話機からインターネット電話「TaRaBa」が利用できるほか、自宅への着信をインターネットを介して外出先で受け取ることが可能だ。機能や実際の使用感などを試してみた。





一般加入電話や携帯電話・PHSへ発信可能なTaRaBa

 VTL-TA02Xで利用できるインターネット電話「TaRaBa」は、M2XがPC用ソフトフォンを中心に展開するサービスだ。ユーザーには8桁の数字からなる専用のIDが与えられ、このIDを使ってユーザー間は無料で通話できる。また、一般加入電話や携帯電話などへも発信できる「シンプルプラン」も用意されている。

 項目 シンプルプラン TaRaBa 基本コース
初期費用 1,000円 1,000円
月額料金 350円 300円
ユーザー間通話 無料 無料
一般加入電話 3分7.14円 不可
携帯電話 1分17.32円 不可
米国(東海岸地域 1分1円 不可
TaRaBaの料金プランと通話料金一覧


 従来までTaRaBaは、WindowsまたはMac OS向けのソフトウェアから利用可能だったが、TaRaBaを電話機で利用するための機器が今回の「VTL-TA02X」、そして電話型の「VTL-ST02H」だ。VTL-TA02Xが普通の電話機を利用し、一般加入電話も着信できるのに対して、電話機型のVTL-ST02HはTaRaBa専用になる点が違いだ。なお、VTL-ST02Hは本誌連載「イニシャルB」でレビューを掲載しているので、そちらを参照して欲しい。


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固定電話・IP電話・TaRaBaの同時待ち受けも可能

 「VTL-TA02X」の設定は非常に簡単だ。本体はオート・プロビジョニング機能を搭載しているため、本体にLANケーブルや電話回線を接続した後に電源を投入するだけで、設定が自動で完了する。

 VTL-TA02Xには、電話回線ポートとLANポートがそれぞれ2ポート搭載されている。電話回線ポートは電話機と電話回線を、LANポートはインターネット接続回線とPCをそれぞれ接続すればよい。なお、PCとの接続は本体を初期化する以外ほとんど利用することはない。普段はVTL-TA02X経由でPCを1台インターネットへ接続できるハブ、と考えていいだろう。


VTL-TA02X VTL-TA02Xの背面

添付品一覧。縦置きスタンドや電話用ケーブル、LANケーブルが付属する

VTL-TA02Xの接続構成イメージ

 設定が完了したら、後は普通の電話機と同じように電話をかけるだけで、自動的にTaRaBa経由で発信する。050番号対応のIP電話と同様、TaRaBaが発信できない電話番号などは自動で一般加入回線へ迂回する仕組みだ。なお、TaRaBaを使って発信した場合、相手先には自分の電話番号ではなく、TaRaBaのセンター番号が表示されてしまう。この番号へ折り返してもこちらは着信することができない点は注意が必要だ。

 着信は自宅の電話番号のほか、ソフトフォンと同様にTaRaBaの専用IDでも受けられるため、TaRaBaのID同士であれば無料通話が可能だ。また、プロバイダー各社が提供する050番号のIP電話を利用しているユーザーも、VTL-TA02XでTaRaBaを併用できる。この場合、発信はTaRaBa、IP電話、一般加入回線の順に通話を迂回していき、着信はTaRaBa、IP電話、固定電話いずれの番号も同時に受けられる。また、ナンバーディスプレイに加入していれば、VTL-TA02Xを介した場合でも相手の番号が表示可能だ。


IP電話ルータとVTL-TA02Xの接続構成イメージ




電話機とPCで同時に着信

 次に、VTL-TA02Xで着信した一般電話をPCで着信するための設定だ。まずはTaRaBaのホームページへアクセス、IDとパスワードでログインした後に、ソフトフォン「M2 X-Lite」をダウンロードする。

 M2 X-Liteも、普通に使う際には特別な設定は必要ない。ソフトをインストールしてマイクやスピーカーの設定を行なった後、初期設定画面で任意のユーザー名、TaRaBaのIDとパスワードを入力するだけで、すぐにパソコンからTaRaBa経由で通話できる。


TaRaBaのソフトフォン「M2 X-Lite」 マイクやスピーカーの設定の後、IDやパスワードを入力するだけで利用できる

転送設定画面
 固定電話の番号を使い、PCで着信する場合は、さらにTaRaBaのサイトで転送設定を行なう。転送先にTaRaBaのIDを入力することで、一般加入電話への着信をTaRaBaへ転送、PCで受けることが可能になる。IP電話を介した場合も、固定電話の着信は可能だが、編集部で試したところ、050番号で着信した通話をPCで着信することはできなかった。

 この転送設定を行なった場合、着信は電話機とPCの両方で受けられる。また、2台目以降のPCにソフトフォンを設定している場合も同時着信が可能だ。ただし、転送先であるソフトフォンは電話機に比べて着信がやや遅れる。また、当然の事ながら実際に着信を受けた場合、それ以外の着信は切断される。

 なお、上記の転送設定を行なった場合、TaRaBaユーザーからID経由で着信した時に同じIDへ転送を行なうためにループが発生してしまう。M2Xによれば、ループが発生した場合は電話を切った場合も着信が持続されてしまうが、TaRaBaのサーバーに負担がかかるものの、通話料金が発生するといった心配はないという。





インターネットを利用すれば海外でも着信が可能

 以上のように、VTL-TA02Xを使えば固定電話の番号を使ってPCで着信を受けることができる。このサービスを使えば、東京の「03」番号を北海道や沖縄で受けることも可能であり、さらにはインターネット環境さえ整えば、海外で日本の番号を使って着信することも可能になる。

 このように、地域属性のある0AB~J番号を、インターネットを経由して世界中で使えることに疑問を抱くユーザーもいるかもしれない。総務省ではインターネット網を利用する電話を「インターネット電話」、専用網を利用する電話を「IP電話」と区別しており、050番号や0AB~J番号は専用網を利用しない限り割り当てられないからだ。

 これに対してM2Xは、「この着信機能はあくまで転送であり、インターネット電話ではない」と説明する。つまり、VTL-TA02Xを使って発信する場合は、TaRaBaサーバーを介したIP電話サービスだが、着信の場合は自宅にかかってきた電話を単にインターネット経由で「転送」しているだけという意味だ。自宅の電話を転送するというサービスは、NTT東西の「ボイスワープ」といったサービスも提供されており、インターネット経由とは言っても転送の範囲内だということになるという。

 また、M2Xでは、米国東海岸地域の電話番号をオプションで割り当てるプランも用意している。これはVTL-TA02Xとは逆に、米国で着信した電話を国内で受けられるサービスだ。M2Xが米国東海岸地域の電話番号を用意するという点は異なるが、インターネットを利用して転送する、という仕組みはほぼ同等だ。

 発信時に自分の番号ではなくセンターの電話番号が通知される、転送設定でループが発生するなど課題はあるものの、自宅の番号を外出先で受けられる機能は興味深い。転送先を携帯電話やPHSに設定すれば、NTT東西のボイスワープ的な使い方も可能だ。現在は050番号の転送は実現できていないが、地域属性のない050番号を転送できればさらに魅力も上がりそうだ。


関連情報

URL
  VTL-TA02X 製品情報
  http://www.planex.co.jp/product/con_acce/vtl-ta02x.shtml

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(甲斐祐樹)
2005/02/03 16:57
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