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会見するイー・アクセスの千本倖生社長と日本テレコムのウイリアム・モロー社長 |
日本テレコムとイー・アクセスは、日本テレコムが運営する個人向けのADSL回線事業をイー・アクセスに譲渡すると発表した。譲渡金額は55億円で、全国の842のNTT局舎に設置したADSL関連設備と個人向けADSL事業の営業権などがイー・アクセスに移る。
この結果、イー・アクセスは全国の875局でサービス提供を行ない、52.5万ユーザーを持つADSL事業者になる。イー・アクセスによれば「最大の加入数を保有するCLEC(振興通信事業者)」になるという。
今回の営業譲渡に伴い、日本テレコムのODNのADSLユーザーはイー・アクセスのADSL回線へと変更となるが、イー・アクセスはホールセール型のサービスで、ユーザーの契約先は日本テレコムのODNに変更はなく、料金や料金の支払い先、受けられるサービスも変わらない。むしろ、一部の局でしか提供されていなかったJ-DSLの8Mタイプの提供エリアがイー・アクセスに変更されることで拡大するメリットがある。
7月からは、新たに「ODN ADSLプラン」が提供開始され、月額料金もJ-DSLと同額の2880円で提供される。それにともない、現在の「J-DSLプランパーソナル」は6月で申込み受付を終了する。
移行のスケジュールだが、設備の譲渡は6月中に行ない、既存加入者のネットワークの移行は年内に完了すると発表した。イー・アクセスのADSL設備とJ-DSLの設備は同じ住友電工の製品を使用しているため、統合についても問題は少ないという。設備が重複するNTT局舎があることについては「加入者が増えているので、むしろ足りないくらい」(イー・アクセスの千本倖生社長)と述べ、統合に際して無駄が発生しないことも強調した。
局側設備とユーザーのモデムのファームウェアは「イー・アクセス側と同等にしていく」(イー・アクセス小畑至弘CTO)とし、サービス提供仕様の技術面でも統一を図っていく方針を明らかにした。
エリア展開について、加入数が見込める東名阪を中心に展開してきたこれまでの方針を改め、コストの面で有利な日本テレコムのバックボーン回線を利用して全国で提供していく方針も発表した。
千本社長は加入者の増加見通しについて「今回の件で上方修正していくが、プランを書き直している最中」と具体的な数字の公表は見送った。ユーザー増加に対する規模のメリットについても「(価格を)下げることは考えていない」とこれまでの発言を踏襲し、規模のメリットについては価格面よりもサポートなどのサービス向上に注力していく方針を明確にした。
□ニュースリリース
http://www.eaccess.net/jp/press/2002/pr020528.html
http://www.japan-telecom.co.jp/newsrelease/nr020528_c_fs.html
□関連記事:イー・アクセス、秋に8Mbps超のサービスを開始
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/05/08/eac8mu.htm
□イー・アクセス
http://www.eaccess.net/
□日本テレコム
http://www.japan-telecom.co.jp/
(正田拓也)
2002/05/28 22:23
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