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DTIの肥田木誠社長(左)、三菱電機の松田章取締役本部長(中央)、TTNetの白石智社長(右) |
三菱電機と三菱電機系列のISPであるドリーム・トレイン・インターネット(DTI)、東京通信ネットワーク(TTNet)の3社は、ISP事業において業務提携を行なうことを発表した。DTIの会員数30万人とTTNetの20万人を合わせ、会員数50万人のISPサービスを共同で展開していく。
今回の業務提携には、事業戦略の共同企画・実行と、ユーザー数の拡大によるサービスの充実といった2つの目的がある。具体的にはサービスメニューの企画・開発やマーケティング、カスタマーサポートサービス、ブロードバンドコンテンツ配信サービスなどを共同で運営していく。また、顧客管理や課金のシステムについても共同開発や運営にあたり、DTIとTTNetが所有するネットワークなどのインフラについても相互利用を図っていく。なお、今回の提携後もDTIとTTNetのブランドは継続され、ドメイン名やサービス体系などの統合は行なわれない。
三菱電機はDTIとTTNetの両者に対し、暗号、認証、コンテンツの著作権保護といったセキュリティ技術の面で支援していくという。また、今回の業務提携に当たって、DTI株式の30%にあたる2265株をTTNetに譲渡、三菱電機が依然としてDTI株式の36%を保有する筆頭株主であることは変わらないものの、TTNetが30%の株を保有する第2位の株主となる。
今回の業務提携についてTTNetは、競合他社の合従連衡や相次ぐ値下げサービスに対し、提携を行なうことで地盤をより強固にして対抗していくためとし、DTIのサポート力に対する信頼度は大きな魅力であるとコメント。DTIでも各社の料金値下げについて触れ、ADSLなどのブロードバンド環境が急速に普及したという良い側面もあるものの、予想を超えた価格の下落はISP事業者にとって厳しいものであり、規模の小さいDTIとしては独立してサービスを提供していくよりも他社と提供していくことでDTIの強みを引き出し、TTNetと相互補完を図っていきたいと語った。
DTIは2001年12月に松下電器産業系列のISPであるPanasonic hi-hoとも業務提携を行なっている。これについてDTIは、TTNetとは資本提携も行なっていることからより密接な提携であるとし、将来的にはhi-hoも加えたISP3社の提携も検討していると語った。また、今回の発表はあくまで提携であり、合併の予定はないとした上で、DTIとhi-hoが行なったような業務提携は広げていく可能性を示唆した。ただし資本提携のような密接な提携については現在のところTTNetのみであり、会員数50万人のサービスを踏まえたのちに更なる規模拡大を検討していくという。
今回の会見では、先日発表されたIIJと電力系の通信事業者であるパワードコムの運営一体化の検討についても質問が飛んだ。TTNetではこの件について「報道先行型の発表」であるとし、現段階では何ができるかを考えている白紙の状態であり、TTNetとしても何も決定していない状況にあると語った。また、将来的にTTNetとパワードコムとの一体化が予定されているにも関わらずこういった提携を行なっていくことに対しては、スピードの速いインターネットビジネスの中でロスタイムを作りたくないとし、いらないものは早く処分し、足りないものは早く手に入れるという姿勢のもと、規模拡大以上に質の高いプロバイダーを目指すという点を強調した。
□関連記事:松下のhi-hoと三菱のDTIがISP事業で提携
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/12/25/hi-ho.htm
□関連記事:IIJとパワードコム、事業統合を含めた運営一体化を検討
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/07/18/iijpwd.htm
□三菱電機
http://www.melco.co.jp/
□DTI
http://www.dti.ad.jp/
□TTNet
http://www.ttnet.co.jp/
(甲斐祐樹)
2002/07/25 19:25
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