モバイルインターネットサービス(MIS)は、総務省に対し、JR東日本の駅構内の土地の認可を求める要望書を総務大臣に提出した。要望書は7月30日に電気通信事業紛争処理委員会が出した答申について反論を行ない、さらに土地使用の許可を求めていく内容になっている。
7月30日に行なわれた答申は、MISがJR東日本に対して駅構内に無線LANの基地局を設置するように申し入れたところ、これを拒否されたことに対し、MISがJR東日本との間で使用権の設定を協議するための認可を申請していたことに対するもの。電気通信事業紛争処理委員会は電気通信事業法第73条第1項に基づき、遠隔地を結ぶような通信でない以上公共の利益とみなすことは難しく、土地の権利者であるJR東日本の判断に委ねることが適当だとし、MISの申請について認可することは適当でないとの答申を行なっていた。
これに対しMISは、6月14日に行なわれた第14回電気通信事業紛争処理委員会では「認可要件に該当して、または適合していると認められることから、申請のとおり認可することといたしたい」との諮問がされたにもかかわらず、7月30日には認可することが適当でないと答申されている点を指摘。また答申内容そのものについても「電電公社時代の認識である」とコメント、MISの第一種電気通信事業者の免許が移動体通信のためのものであることを強調した上で「移動体通信の特質が認識されておらず、“通信”という用語に関して初歩的な解釈の誤りがある」と反論した。無線LANというサービスはインターネットに接続することで世界中のネットワークを利用可能なものであり、電波の送信距離が駅構内の100m以内であっても、遠隔地とのネットワークを構築しているという点においては、電気通信事業法第73条第1項にいう「線路」に該当するのだという。
また、今回の申請がJR東日本に与える負担は軽微なものであり、「強大な使用権」という認識には矛盾があることに加え、情報通信審議会で認可された第一種通信事業者の交換設備が「端末設備と同様の設備」としか認識されていない点も挙げられた。これはつまり、インターネット網を利用して遠隔地との通信を行なうための「第一種通信事業の用に供するもの」として認められている設備を、個々の電気通信事業者内の中で用いられる閉じられた設備と扱われているという意味である。
MISによれば、手続き上でも審議の過程で当事者であるはずのMISの意見が求められなかったという。これらの点を踏まえ、答申の内容にかかわらず土地等使用の許可を求める要望書を8月2日に提出、総務大臣に受理されている。
□関連記事:総務省、JR東日本の駅におけるMISの無線基地局設置について答申
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/07/30/soumu.htm
□モバイルインターネットサービス
http://www.miserv.net/
□総務省
http://www.soumu.go.jp/
(甲斐祐樹)
2002/08/02 19:53
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