Ahnlab, Incの安哲秀CEO兼代表取締役社長

　韓国のウイルス対策ソフトメーカーであるAhnlab, Incの日本法人アンラボと千代田組は、法人向けウイルス対策サービス「VBS（Virus Blocking Service）」とウイルス対策ソフト「V3 VirusBlock」の発表会を行なった。11月よりV3 VirusBlockを全国で発売する。標準価格は4980円。

　VBSは、ウイルスが発見された時点でEメールの件名やファイルサイズなどの特徴を調査、その情報を元にフィルタリングを行なうことで、パターンファイルの更新などを待たずにウイルス対策を行なうことが出来るサービス。情報処理振興事業協会（IPA）の調査によれば、最新のウイルスはメールを利用して感染活動を行なうものが全体の98％に上るため、Eメールでの感染活動を防止することが被害最小化のために最も有効な手段であるという。

　アンラボは、世界主要企業300社のうち37％がウイルスの発見後1時間以内に被害を受けているという調査を示し、ウイルス発見からワクチン作成までの時間帯における被害を防ぐことが重要であるとした。VBSは、ウイルス発生時から平均15分以内にウイルスの特性を割り出した「新種フイルス遮断ポリシー」を配布することで、早期にウイルス対策を実現できる仕組み。遮断ポリシーによるフィルタリングはメールサーバーに届くよりも前で行なうため、サーバーに他社製ウイルス対策ソフトが導入されている場合も共存が可能だという。なお、パターンファイルの更新前にウイルス対策を行なうサービスとしては、トレンドマイクロが「トレンドマイクロエンタープライズプロテクションストラテジー（TM EPS）」という構想を発表している。

V3 VirusBlockのパッケージ

　また、一般ユーザー向けのパッケージソフトとして「V3 VirusBlock」も紹介された。NECインターチャネルを通じ、11月から全国で発売を開始する。送受信メールのウイルスチェックや20種類以上の圧縮ファイルのウイルス検知機能、インターネット接続中に自動で更新を行なうスマートアップデート機能を備える。現在はウイルス対策ソフトのみとなるが、年内にはV3 VirusBlockのユーザーにパーソナルファイアウォールを無償で提供するという。V3 VirusBlockの標準価格は4980円で、購入から1年後の更新料は2000円。また、V3 VirusBlockの簡易版としてパーソナルファイアウォール機能の無償アップグレード対象外となる「V3 VirusBlock LE」も予定されている。

　なお、現在NECインターチャネルが販売している「ウイルス警備隊V3」も、2000円でV3 VirusBlockへアップデートすることが可能であり、今後はウイルス警備隊V3の代わりにV3 VirusBlockを販売していく。V3 VirusBlockはウイルス警備隊V3と比較して、ウイルススキャンの速度などが向上しているという。

　今後の予定としては、一般ユーザー向けにファイルやフォルダの暗号化、ファイルの完全削除といった機能を持つ「SecureGate」を年内に、V3 VirusBlockとパーソナルファイアウォール、SecureGateをセットにした「Ahnlab Client Security」を来年に発売する予定。また、企業向けにもクライアント用の「V3 Virus Block for Client」、サーバー用の「V3 Virus Block for Windows Server」「V3 Virus Block for Linux Server」などを発売していくという。VBSやSecureGate、企業向けV3 Virus Blockなどの価格については、現在検討中としている。

　千代田組とアンラボは、日本国内におけるウイルス対策ソフト市場で、3年後に5％のシェアを獲得することを目標とした。この内訳は、法人向けが8割、個人向けパッケージが2割だという。

　Ahnlab, Incは、韓国のウイルス対策ソフト市場で約70％のシェアを占めるというウイルス対策ソフトメーカー。

□関連記事：トレンドマイクロ、パターンファイル更新前に感染を予防する企業向けソフト
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/08/21/ismss.htm
□アンラボ
http://japan.ahnlab.com/
□千代田組
http://www.chiyodagumi.co.jp/
□Ahnlab, Inc
http://home.ahnlab.com/

（甲斐祐樹）
2002/09/03 17:39