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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
「ブロードバンドでリアルを補完」、エキサイトのコンテンツ配信

エキサイトの坂本孝治エンタテインメント事業部長
 WPC EXPO 2002のフォーラム会場では、エキサイト エンタテインメント事業部長の坂本孝治氏が「ブロードバンドにおけるエンターテインメントサービス」と題し、同社が提供する「BB.excite」について講演を行なった。

 坂本氏はまず、コンテンツ配信サービスで重要な点として、コンテンツの品質と権利保護の2点を挙げた。インターネットでコンテンツを配信する場合、回線が混んでいたり、他ユーザーの利用状況によって画面が途切れる、止まるといった現象が発生するため、一定の品質を保ったコンテンツ配信が困難となる。そのためエキサイトはIIJと共同でCDN(Contents Delivery Network)を構築。インターネットとは別の専用回線でコンテンツを配信することで、安定した高品質のコンテンツが提供できるという。また、インターネットとは別の閉ざされたネットワークを利用するため、コンテンツ事業者の著作権保護が可能であり、56kbpsから最大6Mbpsまで配信帯域を用意することで、品質にこだわるコンテンツ事業者のニーズにも柔軟に答えることができるという。

 BB.exciteの提供するインターネット接続サービスは「コンテンツを提供し、ユーザーを囲い込むためのプラットフォーム」という位置付けであり、接続サービス自体は収益の対象外であるという。インターネット経由でのコンテンツ配信についても「購入するに値するコンテンツかどうかを試してもらう」ためのサービスであり、高品質のコンテンツを視聴したくなったユーザーにはBB.exciteを利用してもらうというビジネスモデルであるとした。

BB.exciteのコンテンツ配信サービス概要
 コンテンツ配信サービスの現状については、「ビジネス的に見ると思ったほど伸びていない」という。その理由として坂本氏は、「ライブや映画といったコンテンツ配信はバーチャル的なものであり、やはり現実に体験するものにはかなわない」とコメント。現実のコンテンツとぶつかりあうのではなく、むしろ補完していくサービスがブロードバンドにおけるコンテンツ配信の役割であると語った。

 例として坂本氏はエイベックスと共同で実施した相川七瀬のライブ配信イベントを挙げ、相川七瀬のライブをパソコンで見たいという反響は、ライブに行けなかったユーザーよりも実際に出かけたユーザーに多かったと説明。そういったアーティストに対して関心の高いユーザーは、DVDを購入するユーザーにもつながるという。さらにそのユーザーをデータベース化することで今後のプロモーションやマーケティング活動を進めることが可能であるとし、リアルなサービスをコンテンツ配信で補完する「付加価値のあるブロードバンドサービス」という方向性に自信を示した。「従来まで、オンラインのコンテンツ配信は自分たちの仕事を邪魔する存在だと思われがちであった」というコンテンツ事業者にも、こういったコンテンツに付加価値を提供するという姿勢は評価を受けているという。

 今後のエキサイトの方向性としては、CDNというインフラに加え、より高品質かつ安定したサービスを提供するためにはADSLではなくFTTHが必要であるとコメント。その上で「購入するに足る高品質なコンテンツを配信することが義務である」という姿勢を打ち出し、日常生活におけるリアルなサービスと融合した新しいビジネスを展開していくとした。また、検索とコミュニティというポータルサービスについても「これがなければインターネットは死んでいるも同然」とし、重要なサービスという認識を示した。


□関連記事:エキサイト、インターネット接続とコンテンツ配信を行なう「BB.excite」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/08/01/bbexcite.htm
□関連記事:エキサイトとエイベックス、相川七瀬のライブを3300名限定で無料配信
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/07/02/nanase.htm
□BB.excite
http://cdn.excite.co.jp/
□エキサイト
http://www.excite.co.jp/

甲斐祐樹
2002/10/16 19:28

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