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第1回:電子マネーとは

 電車やバスなどの交通機関、家電量販店や飲食店、コンビニやスーパーなど……、さまざまなシーンで電子マネーが普及しつつあります。この身近で手軽な存在となった電子マネーについて、基礎から応用まで幅広く探求していくのがこの連載です。第1回となる今回は電子マネーの全体的な姿に迫ってみましょう。





電子マネーってなんだろう?

 私たちの生活に欠かせない“お金”、この姿が少しずつですが変わろうとしています。

 電車に乗るときに「ピッ」、コンビニでの支払いに「シャリーン」と、支払いにこれまでの現金の代わりにカードや携帯電話を利用する電子マネーを使う機会が増えてきました。

 電子マネーとは、文字通り、「電子的なお金」のことで、お金そのものが電子的なデータに姿を変えたもの、もしくは物やサービスに対してお金を支払うという決済の仕組みを電子的に行うこと、と考えることにしましょう。

 では、電子マネーとは具体的にどのようなサービスがあるのでしょうか? 現在、電子マネーの代表と言えば「Suica」や「PASMO」「nanaco」「WAON」といったサービスの名前が浮かぶのではないでしょうか。

 これらは非接触ICカードを利用した電子マネーと呼ばれますが、このほかにも電子マネーにはいくつかの種類が存在します。今回は電子マネーの種類について考えてみましょう。





ネットショッピングの決済手段として登場した仮想マネー

 電子マネーは、大きく分けると2種類に分類することができます。1つは前述した非接触ICカードを利用した方式(詳しくは後述)、もう1つはいわゆる「仮想マネー」です。

 「電子」と「仮想」、何がどう違うのかと疑問に思うかもしれませんが、ここで言う仮想マネーは、インターネット上での利用のみを想定したサービスを指します。具体的には、ビットキャッシュがサービスを提供する「BitCash」、ウェブマネーの「WebMoney」などが、これに相当します。

 仮想マネーの特徴は、お金を文字や数字などの文字列情報に変換することで、インターネット上のオンラインショッピングやサービスの購入が手軽にできる点です。

 実際の利用方法をBitCashを例に取ってみていきましょう。BitCashの場合、ひらがなによる16文字のIDを決済に利用します。利用者はコンビニエンスストアなどで希望する金額分のIDが記載されたシートを購入します。このシートには16文字のひらがなが記載されており、これがお金の代わりになるのです。


仮想マネーの決済イメージ

 文字列をどうやってお金として使うのかというと、パスワードのようにサイトに入力します。実際に利用する場合は、インターネット上のショッピングサイトやオンラインゲームの会員登録の際などに、決済方式としてBitCashを選ぶとIDの入力画面が表示されます。ここに先ほどのIDを入力すれば、IDに関連付けされた金額の情報から、商品の代金が差し引きされ、決済が行われます。


BitCashのサンプル。ひらがなのIDを入力する

 仮想マネーの特徴は、文字列の情報さえ入手できれば、誰でもインターネット上で安全に決済ができる点です。オンラインショッピングなどではクレジットカードを利用するのが一般的ですが、クレジットカードには年齢制限があり、誰もが使えるとは限りません。

 これに対して、仮想マネーは、もちろんクレジットカードで購入することもできますが、コンビニエンスストアなどでも手軽に購入できるため、未成年の場合でもインターネット上の決済手段として利用できるわけです。

 このような特徴から仮想マネーは、ゲーム機でのサービス、マイクロソフトのマイクロソフトポイントや任天堂のWiiポイントなどでも利用されています。





幅広く普及が進むICチップ型電子マネー

 ただし、このようなネット決済用の仮想マネーは、事前に店頭などで購入手続きをしなければならない手間やサービス間の互換性の低さといった課題も挙げられます。

 そこで新たに注目されてきたのが、ICチップを利用した電子マネーです。

 特に、前述したSuicaやPASMO、nanaco、WAON、iD、QuickPayなど、最近よく耳にする非接触IC技術を利用したカードタイプ(もしくは携帯電話)のサービスは、交通機関の利用から、実際の店頭での商品の購入、飲食店での利用など、現実社会でのさまざまなシーンでの利用が可能となりつつあり、現金やクレジットカードに代わる決済方法の今後の主流として期待されています。


JR東日本の「Suica」 ビットワレットの「Edy」 セブン-イレブンで利用できる「nanaco」

 このような非接触IC電子マネーは、国内のサービスに関しては、ソニーが開発したFelicaと呼ばれる通信技術を採用したものがほとんどです。

 Felicaは、カードに内蔵されたICチップとアンテナを利用してリーダーとの間で無線による通信を行う技術です。無線通信と言っても、カード自体は電源を持っているわけではなく、リーダー(もしくはライター)装置からの電波によってICチップに電力が供給されるようになっています。このため、非接触という言葉の通りカードとリーダー装置を直接触れさせることなく、情報をやり取りできるのです。


非接触IC型電子マネーの利用イメージ

 なお、非接触IC型電子マネーの技術はFelicaがベースとなっていますが、各サービスによって細かな仕様などが異なるため、JR系列のサービスなどを除けば基本的に互換性はありません。

 また、これは今後詳しく紹介する予定ですが、非接触IC電子マネーにはプリペイド型とポストペイ型の2種類が存在します。プリペイド型は、あらかじめ入金しておいた金額のみ利用できる「前払い式」で、ポストペイ型は購入した金額をクレジットカードなどで後から一括して支払う「後払い式」です。

 このような違いは、利用できるサービスの違い、さらには実際の利便性などに大きく影響します。電子マネーと言ってもさまざまなサービスがあり、その内容や違いなどが理解しにくくなる原因の1つともなっています。

 また、ICカードの形式に関しても、カード型に加え、携帯電話で利用できる「おサイフケータイ」型があります。カード型は一部のサービスを除いて基本的には1枚のカードで1つのサービスを利用するようになっていますが、おサイフケータイであればメモリ容量がある限り、複数のサービスを1台の携帯電話で持ち歩くこともできるようになっています。次回はこのおサイフケータイについてもう少し詳しく紹介しましょう。


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2008/08/07 14:10

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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