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第4回:非接触ICカード型電子マネーの先駆け的存在「Edy」

 今回から、非接触ICカード型電子マネーの種類をサービスごとに詳しく見ていきましょう。まずは非接触ICカード型電子マネーの先駆け的な存在である「Edy」を取り上げます。





先行の利を活かすEdy

 Edyは、2001年にサービスを開始した非接触ICカード型電子マネーです。他のサービスに比べてサービス開始が早かったこともあり、2008年6月現在で発行枚数4040万枚、提携店舗数7万5000店と、現在もっとも普及している電子マネーとなっています。なお、現在シェアで第2位のSuicaは2008年3月時点で2415万枚となっています。

サービス名 Edy
サービス提供会社 ビットワレット株式会社
サービス開始 2001年
使用技術 FeliCa
発行枚数 4040万枚(2008/6)
提携店舗数 7万5000店(2008/6)
利用件数 2400万件/月
サービス概要


 このため、Edyは決済方法や対応サービスも幅広く、さまざまな種類のカードが発行されていますが、Edyだけが利用できる単体のカードが存在しないのも特徴の1つです。EdyのカードはSony Cardなどのクレジットカード一体型、みずほ銀行や大垣共立銀行のキャッシュカード一体型、会員証を兼ねたカードなど、他のサービスと連携することでICカードを発行しています。

 具体的には全日空の「ANAマイレージクラブEdyカード」、コーヒーショップの「PRONTOメンバーズカード」、コンビニエンスストアの「am/pm Edyカード」「KARUWAZA CLUB Edyカード(サークルKサンクス)」などがあり、幅広い店舗で利用できます。


Edyカード ANAマイレージクラブのEdyカード。Edyの利用でマイルが貯められる

 これらの会員証一体型カードは、ほとんどの場合発行に際して500円前後の費用がかかります。また、電子マネーとしての利用に加えて、店舗独自のポイントの獲得や各種特典を受けることができるのが特徴です。

 なお、ANAマイレージクラブのEdyカードのように、入会金や年会費が無料のEdyカードも存在します。また、クレジットカード一体型のEdyカードであれば、基本的に発行費用などは必要ありません。

専用カード 無し
会員証一体型 am/pm Edyカード(am/pm)
PRONTOメンバーズカード(プロント)
KRUWAZA CLUB Edyカード(サークルKサンクス)
ANAマイレージクラブEdyカード(全日空)
クレジットカード一体型 Sony Card
ANAカード
Honda Cカード
キャッシュカード一体型 大垣共立銀行
みずほ銀行
ゆうちょ銀行
三菱東京UFJ
おサイフケータイ NTTドコモ
au
ソフトバンク
カード種類の一例





チャージ方法も多彩なEdy

 Edyは利用可能な店舗も多く、セブンイレブンを除く多くの大手コンビニエンスストアで利用できるほか、飲食店、さらにはインターネット上のサイト、タクシーなどでも対応しています。

コンビニエンスストア セブンイレブン ---
ローソン 全国
ファミリーマート 全国
サークルKサンクス 全国
ミニストップ 全国(2008年8月より順次)
am/pm 全国
交通機関 JR ---
私鉄 ---
バス ---
利用店舗の一例


 なお、以前はコンビニエンスストアなどで税金や公共料金の収納代行にEdyを利用することもできましたが、店舗ごとにタイミングのずれはあるものの、これらの扱いは中止される方向に進んでいます。

 一方、チャージについても多彩な方法が用意されています。基本は店舗のPOSレジなどでチャージを行いますが、このほかに「Edyチャージャー」と呼ばれる専用端末(対応店舗に設置)、FeliCa対応カードリーダー/ライターを装着したPCでのチャージ(クレジットカード利用)のほか、携帯電話向けのモバイルEdyではオンラインチャージも可能となっています。

 あらかじめ決めておいた残高を下回った際に自動的にチャージするオートチャージに関しては、am/pmが発行する「am/pm Earth Edyカード」のみがPOSレジで可能となっていますが、他のカードの場合は利用できません。このため、利用時には前述したいずれかの方法であらかじめチャージしておく必要があります。

 チャージの最大金額は5万円で、1回につき3000円から2万5000円まで1000円単位でのチャージが可能となっています。

種類 プリペイド
オートチャージ am/pm Earth Edyカード利用時にPOSレジでのみ可
チャージ方法 POSレジ(一部店頭)
Edyチャージャー(専用端末)
パソコン(リーダーライター必要)
オンラインチャージ(Mobile Edy)
チャージ金額 最大 5万円
単位 3000~2万5000円の間で1000円単位
送受信 Edy番号指定で可(53円の手数料)
チャージ方法





おサイフケータイでも使えるEdy

 携帯電話での利用も進んでいるのがEdyの特徴で、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社ともに、おサイフケータイ対応の端末からモバイルEdy用のアプリケーションをダウンロードすることで、Edyのサービスを利用できます。


おサイフケータイでの利用イメージ

 モバイルEdyの利用方法およびチャージ方法はカードの場合とほとんど同じですが、モバイルEdyの場合は携帯電話の通信機能を利用したオンラインチャージができる点が特徴です。アプリケーションからの操作によって携帯電話単体でクレジットカードや銀行口座からチャージできるため、お店などに足を運ばなくても好きなときにチャージできるのがメリットです。

 また、おサイフケータイならではの特徴として、利用者間でのEdyの受け渡しができるという点も挙げられます。一般的な電子マネーは店舗などでの品物やサービスに対する決済での利用がほとんどですが、Edyの場合は自分の残高の一部を家族や友人に受け渡す(送付)することができます。

 具体的には、おサイフケータイで「Edy to Edy」を選び、Edyを送りたい相手のEdy番号(16桁)と金額、パスワードを指定します。その後、相手側が受け取り操作を実行し、パスワードを入力すれば、送付された金額が残高に加えられます。

 ただし、これらのサービスの利用には手数料がかかります。センターへのお預けは105円、Edy to Edyは送付額の1%(最低53円)がかかりますので注意しましょう。


おサイフケータイ同士でEdyの受け渡しができる「Edy to Edy」

 なお、携帯電話の機種変更をする際には、「Edyのお預け」サービスを利用します。旧機種で氏名、生年月日、電話番号、パスワードなどの情報を入力して、Edyの残高をいったんセンター側に預けます。その後、機種変更した新機種で、預けたときと同じ情報を入力することでEdyの残高を移行できます。


機種変更時にはEdyをいったん預けておき、新しい携帯電話でEdyを受け取る仕組み

 ただし、Edyの機種変更では、以前に利用していたEdy番号を引き継ぐことができず、新たに番号を取得する必要があります。このため、残額次第では「Edyのお預け」サービスではなく旧機種から新機種へ「Edy to Edy」で残高を送ったほうが費用が安くなる場合があります。「Edyのお預け」の手数料が105円、Edy to Edyが送付額の1%ですので、1万円以下の残額の場合はEdy to Edyを使ったほうが手数料は安くなる計算になります。





さまざまなポイントサービスに対応

 電子マネーの特徴でもあるポイントサービスについては、基本的にEdy独自のポイントシステムというものは存在せず、提携サービスのポイントがたまる仕組みになっています。

 代表的な例はANAマイレージクラブのマイルで、自分のEdy番号を登録することで、Edyで200円買い物をするごとに1マイルが蓄積されていきます。いわゆる「陸マイラー」御用達のサービスとして広く利用されているサービスです。

 このほか、各会員証一体型のEdyを利用した場合は、その提携先サービスのポイントを獲得することができます。たとえば、am/pmのカードでは100円ごとに1ショッピングポイントを獲得できます。

 また、おサイフケータイ向けのポイントサービスとして、「Edyでポイント」と呼ばれる新しいサービスも開始されました。これは、アプリケーションであらかじめポイントを獲得したいポイントサービスを選んでおくと、おサイフケータイを利用するたびに、そのポイントを獲得できるというものです。

 現状はANA、楽天、ベルメゾンの3つのサービスが提供されており、いずれの場合も200円で1ポイントのポイントを獲得できます。

 獲得したポイントはEdyに変換可能で、ANAのマイルであれば1万マイルを1万円として、再びEdyにチャージできます。

 このほか、ポイントではありませんが、提携先のショップで商品を購入した場合に購入金額の2~4%が還元される「Edyハッピー優待」、購入金額に応じて抽選でEdyが当たる「Edyスマイルクーポン」などのクーポンサービス(事前にEdy番号を登録するかカードリーダーなどからクーポンを受け取る)も提供されています。また、店舗によってはANAマイレージクラブのマイルが200円で2ポイント獲得できる「Edy マイルプラス」というサービスもあります。

 なお、クレジットカードからEdyにチャージした際にカードのポイントが付与されるかどうかはカード会社によって異なるものの、大手を中心にポイント対象外とする方向となっています。すでにいくつかのカード会社ではEdyへのチャージをポイント対象外としているので、よく確認しておくと良いでしょう。

利用ポイント サービス固有 Edyハッピー優待 購入金額の2~4%をEdyで還元(特定ショップ)
Edyスマイルクーポン 購入金額に応じて抽選でEdyが当たる(ファミリーマートでは1,000円以上で100円当たる)
提携先サービス ANA 1マイル/200円(一部店舗では2倍)
am/pm 1ショッピングポイント/100円
サークルKサンクス 1カルポイント/100円、1ワザポイント/1,000円チャージ
マツモトキヨシ 1マツキヨポイント/100円(おサイフケータイ)
Edyでポイント 1ポイント/200円(ANA、楽天、ベルメゾン選択。おサイフケータイのみ)
チャージポイント チャージに対するポイント付与はカード会社によって異なる。
(例:OMCカード○、ソニーファイナンス○、三井住友×)
ポイント交換 電子マネーにチャージ ANA 10,000マイル→10,000円
NEXCO中日本/西日本 1,000ポイント→1,000円
コスモ石油 1マイル→8円
ホンダカード 2ポイント→1円
ホットステーション 125ポイント→500円
アパホテル 300アパポイント→2,000円
マツモトキヨシ 1,000ポイント→700円
オークス 500ポイント→500円
ソニーファイナンス 1,000ポイント→3,000円(ゴールドは6,000円)
三井住友VISA 1ポイント→5円
UCカード 100ポイント→500円
他ポイントへの交換 - ---
他ポイントからの交換 - ---
ポイント交換の概要
※一部対象外店舗、購入対象あり。詳細は各社サービスホームページ参照のこと


関連情報

URL
  Edy
  http://www.edy.jp/

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2008/09/04 11:07

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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