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第8回:セブン-イレブンなどイトーヨーカドーグループ中心の「nanaco」

 独立系のEdy、交通系のSuica/PASMOに続き、今回から流通系の電子マネーを紹介していきます。まずは、セブン&アイホールディングスが提供している「nanaco」です。





全国1万2000店のセブン-イレブンで利用可能

 電子マネーが使えると便利な場所、と言って思い浮かべるのは、やはりコンビニエンスストア(以下コンビニ)でしょう。ドリンクやお弁当、新聞、雑誌、日用品など、日々の買い物を電子マネーで済ませることができれば、もっと手軽にコンビニを利用できることでしょう。

 そんなコンビニの代表とも言えるセブン-イレブンで利用できる電子マネーが、今回紹介する「nanaco(ナナコ)」です。


キリンのイラストが特徴的な「nanaco」

 セブン&アイホールディングス(サービス提供はアイワイ・カード・サービス)によって2007年4月から提供が開始された電子マネーで、数字の「7」をイメージさせるキリンのキャラクターが特徴的なサービスです。

サービス名 nanaco
サービス提供会社 セブン&アイ・ホールディングス(アイワイ・カード・サービス)
サービス開始 2007年4月
使用技術 Felica
発行枚数 500万枚(2007年10月現在)
提携店舗数 1万9351店(2008年5月現在)
利用件数 3000万件/月(2007年6月現在)
サービス概要


 発行枚数は2007年10月時点で500万枚です。正式に公表されているデータが古いため、現在はもう少し多いと推測されますが、発行枚数としては独立系のEdy(約4,000万枚)や交通系のSUICA(約2,400万枚)/PASMO(約800万枚)と比べると、あまり多くはありません。

 しかしながら、利用件数は2007年6月の時点で3,000万件/月を達成するなど、利用率が高いことがこのサービスの特徴です。

 その要因の1つと言えるのは、前述したようにコンビニとしてもっとも規模が大きいセブン-イレブンで利用できることが挙げられるでしょう。nanacoが利用可能な提携店舗は2008年5月時点で1万9351店と公表されていますが、このうちの1万2752店、つまり6割以上がセブン-イレブンとなっています(その他の構成はイトーヨーカドー175店、デニーズ573店、グループ外6599店)。

 ただし、これは逆に自社グループ以外での利用が制限されているということでもあります。たとえば、他のコンビニはさまざまな電子マネーへの対応を進めていますが、セブン-イレブンで使えるのはnanacoのみ(後述するQUICPayが例外)。しかも、そのnanacoは他のコンビニでは使えないという状況にあります。良くも悪くも独自性の強いサービスと言えるでしょう。





専用カード+携帯電話のみのシンプルなサービス

 利用できるカードは、他社のサービスと異なり非常にシンプルです。カードタイプは専用のnanacoカードのみ。これに「nanacoモバイル」と呼ばれるおサイフケータイ用のアプリ(NTTドコモ、au、ソフトバンクに対応)が提供されるだけとなっています。

専用カード nanacoカード 発行手数料300円
(15歳以下の場合は入会時に親権者の同意)
会員証一体型 -
クレジットカード一体型 -
キャッシュカード一体型 -
おサイフケータイ NTTドコモ
au
ソフトバンク
カード種類の一例


 サービスの利用には店頭での登録が必要です。おサイフケータイの場合はアプリのダウンロード後、利用登録をすることでサービスの利用できるようになりますが、カードタイプの場合は氏名や生年月日などを申し込み書に記入し、店頭でカードを受け取る必要があります。また、おサイフケータイの場合は無料ですが、カードの場合は発行手数料として300円が必要で、15歳以下は親権者の同意も必要になります。


おサイフケータイで利用可能なnanacoモバイル

 チャージは、セブン-イレブンやデニーズのレジカウンター、イトーヨーカドーのサービスカウンター、セブン銀行ATMで可能となっています。1000円単位で最大で3万円未満(2万9999円)のチャージが可能です。

 また、クレジットカードを利用したチャージも2008年9月17日から開始され、あらかじめクレジットカード情報を登録しておくことで、nanacoのホームページや電話でチャージを申し込み後、店頭で残高確認をすると現金を使わなくてもチャージできます。ただし、この方法には、同社のクレジットカード「アイワイカード」のみの対応となり、チャージの単位も5000円となります。


クレジットチャージにはアイワイカードが必要

 このほか、2008年4月からセブン-イレブン全店でQUICPay(クイックペイ:ポストペイ型電子マネー。詳細は次回以降解説)の利用が可能となり、事前登録することでnanacoカードにQUICPay機能を追加することができるようになりましたこれにより、ポストペイ型の電子マネーとしても利用することが可能ですが、こちらもアイワイカード必須となります。

種類 プリペイド(QuicPayも併用可能)
オートチャージ ---
チャージ方法 セブン-イレブン、デニーズのレジカウンター
イトーヨーカドーサービスカウンター
セブン銀行ATM
nanacoホームページ/電話
(クレジットチャージ、事前登録、アイワイカード必要)
チャージ金額 最大 3万円未満(2万9999円)
単位 1000円単位(クレジットチャージは5000円単位)
送受信 nanacoギフト(個人からの送付は今後の予定)
チャージ方法


nanacoの裏側を見るとQUICPayのマークが記載されていることがわかる。事前登録することでQUICPayとしても利用可能

 なお、nanacoは、利用規約によると最後の利用から5年を経過すると失効すると定められており、失効するとチャージされた金額は利用できなくなります。利用者としても十分に注意したいところですが、数年後、実際に期限切れが発生した際にどのような状況になるのかはなかなか興味深い点でしょう。





利用に応じてnanacoポイントが貯まる

 ポイントサービスは、「nanacoポイント」と呼ばれる独自サービスを展開しています。具体的には、店頭での支払いにnanacoを利用すると、100円で1ポイントのnanacoポイントが貯まる仕組みです。

 セブン-イレブンでの利用の場合、雑誌/新聞、宅配便、CD/DVD、セブンミールなどの購入にもポイントが付与されますが、以下の支払いにはポイントは付与されません。また、前述したクレジットチャージの場合でもチャージに対してアイワイカードのポイントは付与されませんので注意が必要でしょう。
  • インターネットショッピング
  • 公共料金の代理受領
    ・切手、はがき、印紙、年賀状
  • クオカード、テレホンカード、ビール券、酒クーポン券、iTunesカード、プリペイド携帯カード
  • タバコ
  • 映画券・前売り券
  • 地域指定ゴミ袋、ゴミ処理券
  • スキーリフト券など
 貯まったnanacoポイントは1ポイント1円でチャージできますが、この際、1%の手数料がかかる点に注意が必要です。この手数料は小数点以下切り上げとされていますので、基本的には100円、200円といった100円単位でチャージすると良いでしょう。なお、nanacoポイントは他のサービスとの連携がないため、他のポイントへの交換は現状できません。

利用ポイント サービス固有 nanacoポイント 1ポイント/100円(提携店での利用)
10ポイント/件(セブン銀行取引:給与賞与、振込、口座振替)
※有効期限:当年4~3月が翌々年の3月末まで。以後失効
提携先サービス ---
チャージポイント チャージポイントなし(アイワイカードのクレジットチャージ)
ポイント交換 電子マネーに換金(ポイントのチャージ) nanacoポイント 1ポイント→1円(手数料1%、小数点以下切り上げ)
他ポイントへの交換 不可
他ポイントからの交換 アイワイ・カード 3000ポイント→3000nanacoポイント
JCB 10kiDokiポイント→3nanacoポイント(郵送)
ポイント交換の概要


 このほか、ポイントについては別途詳しく紹介する予定ですが、セブン銀行の利用や提携しているQUICPayでの支払いでもnanacoポイントが付与されたり、アイワイカードやJCBカードのポイントからnanacoポイントへの交換(逆方向は不可)、キャンペーンによるポイント付与などのサービスが提供されています。

 このように、セブン&アイホールディングスのnanacoは、利用可能な店舗を見ても、サービス内容を見ても、非常に独自性の強いサービスと言えます。

 このあたりは、次回取り上げる予定のWAONと比べるとさらに明確で、セブン&アイホールディングスとイオンというグループ自体の方向性の違いも見られる印象さえあります。次回は両者の違いなども含めながらWAONを紹介することにしましょう。


関連情報

URL
  nanaco
  http://www.nanaco-net.jp/

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2008/10/02 11:05

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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