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第25回:ファミリーマートでWAON導入 コンビニの電子マネー対応状況をチェック
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イオンが提供する電子マネー「WAON」が2009年秋からファミリーマートでも使えるようになります。コンビニ各社の対応状況を再確認しつつ、何が便利になるのかを見てみましょう。
■ コンビニの電子マネー対応状況
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電子マネー「WAON」
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2008年2月4日、イオンとファミリーマートの業務提携が公表され、大きな話題となりました。
コンビニ業界は、現在、首位のセブン-イレブンにローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスが追従し、その後を少し離れてイオンが展開するミニストップが追いかけるという状況になっています。
このファミリーマートとミニストップで同じ電子マネーが使えるようになることで、いろいろな意味で、将来的な勢力図が変わるのではないか? という憶測がなされているわけです。
では、現在のコンビニの電子マネーの対応状況は果たしてどうなっているのでしょうか? 以前にも、利用できる場所ということでコンビニの対応状況を紹介したことがありますが、最新の状況を踏まえて対応状況をチェックしてみましょう。
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店舗数 |
Edy |
Suica PASMO |
nanaco |
WAON |
iD |
QUICPay |
smartplus VisaTouch |
セブン-イレブン |
12,105 |
× |
× |
○ |
× |
× |
○ |
× |
ローソン |
8,614 |
○ |
×(*1) |
× |
× |
○ |
○ |
× |
ファミリーマート |
7,331 |
○ |
△(*2) |
× |
○ |
○ |
× |
× |
サークルKサンクス |
6,145 |
○ |
×(*3) |
× |
× |
○ |
○ |
○ |
ミニストップ |
1,925 |
○ |
△(*4) |
× |
○ |
× |
× |
× |
デイリーヤマザキ |
1,622 |
× |
○ |
× |
× |
○ |
× |
× |
am/pm |
1,169 |
○ |
△(*5) |
× |
× |
○ |
× |
× |
*1:4月からJR東日本エリア内の全店舗(約3,300店)で対応予定
*2:首都圏、仙台市、新潟市の全店。および盛岡市の一部店舗(2,762)また、5月に西日本500店舗でICOCAに対応予定
*3:熱海、宇都宮などごく一部で利用可能
*4:東北、関東、東海(1,569)
*5:首都圏(1,000)
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表1:コンビニ対応表
各コンビニエンスストアの電子マネー対応状況を店舗数順に並べたのが上の表です。今回の提携で、業界3位のファミリーマートと5位のミニストップでWAONが使えるようになりますので、WAONの項目でファミリーマートを「○」の対応としています。
店舗数としては、現時点(2008年2月調査。各社会社情報記載の最新情報を記載)でファミリーマートが7331店舗、ミニストップが1925店ですが、ファミリーマートでのWAON導入予定は7300店舗となっていますので合計で9225店でWAONが利用可能となることになります。
首位のセブン-イレブンが12105店なので、これにはまだ及びませんが、ミニストップのみだったWAONとしては、大きな飛躍と言えます。仮にもうあと1社提携できたとすれば、あくまでも電子マネーの対応店舗数としては、首位と良い勝負ができそうです。
■ コンビニ業界に強い電子マネーはEdy、iD、QUICPay
しかしながら、電子マネーという観点で冷静に見てみると、実はすでにもっと多くの提携先を持ち、高いシェアを誇る電子マネーがすでに存在します。
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Edy |
Suica PASMO |
nanaco |
WAON |
iD |
QUICPay |
smartplus VisaTouch |
利用可能コンビニ数 |
25,184 |
6,953 |
12,105 |
9,256 |
24,881 |
26,864 |
6,145 |
コンビニ店舗カバー率 |
65% |
18% |
31% |
24% |
64% |
69% |
16% |
表2:電子マネー対応店舗数およびカバー率
上の表は、各電子マネーが利用可能なコンビニの店舗数(表1のコンビニの店舗数のみ)を合計した数値と、各コンビニの店舗数合計に占める利用可能な店舗の割合です。つまり、全国のセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス、ミニストップ、デイリーヤマザキ、am/pmの店舗のうち、どれくらいの店舗で、どの電子マネーが使えるのかを示しています。
これを見ると、トップはポストペイ型のQUICPayであることがわかります。QUICPayはセブン-イレブン、ローソン、サークルKサンクスと業界1、2、4位と上位を中心に対応しているためです。
同様に、ドコモのiDとEdyも高いカバー率を誇っています。iDはセブン-イレブンとミニストップ以外、Edyは同じくセブン-イレブンとデイリーヤマザキ以外で利用できるようになっており、店舗数だけでなく対応するコンビニの種類が多いのも特徴です。
これに対して、今回の提携となったWAONはカバー率で考えるとまだ24%ほどとなっています。利用者に「どこでも使える」という感覚を持ってもらうためには、今後、前述したQUICPay、Edy、iD並のカバー率、そしてEdyとiDと同じように多くの種類のコンビニへの対応が必要でしょう。
■ ポイントサービスの利便性が向上
とは言え、多くの店舗で使えるようになることで、WAONの利便性は高まります。以下は、WAONの最新の利用状況ですが、ここにファミリーマートでの利用が加わると、利用可能な店舗数は合計で3万4000店以上になります。
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現在 |
今後 |
サービス名称 |
WAON |
提供企業 |
イオン |
サービス開始 |
2007年4月 |
発行枚数 |
700万枚(2009/1/20) |
1,000万枚? |
利用可能店舗数 |
27,000店 |
34,300店 |
月間利用件数 |
1,300万件 |
3,000万件? |
決済単価 |
1,850円 |
1,000円? |
表3:WAONのサービスはどう変化するか?
ジャスコなどのショッピングセンター、郊外型のモール、マックスバリュなどのスーパー、そしてミニストップとファミリーマートのコンビニと、いろいろなところでWAONを使えるようになります。
発行枚数も、ファミリーマートでのWAONの発行などを考えれば、1000万枚を超えるのは時間の問題でしょう。月間利用件数もSuicaやPASMO並の月間3000万件に及ぶ可能性もありそうです。
ただし、コンビニでの利用が増えるということは、決済単価が低下する可能性はあります。現状の決済単価1,850円は電子マネーの平均(日銀レポートでは696円)から考えるとかなり高い値ですが、これはスーパーやショッピングモールでの利用が主なためと言えます。今後、コンビニで数百円単位での決済が増えてくれば、その平均は下がってくることになりそうです。
変化するのは、WAONを使うときの状況だけではありません。実はファミリーマートとの提携によって、もっとも便利になるのはポイントサービスと言えます。
現状、WAONは200円の利用に対して1ポイントのポイントが付与されます。また、ミニストップなどでは、ソフトクリームやおにぎり、お弁当など、特定の商品を購入することで10~30ポイントが付与されるキャンペーンなども行なわれています。
しかし、WAONのポイントは貯めるのは容易でも、使うのに手間がかかる場合がありました。貯めたポイントを再びWAONにチャージするには、WAONステーションと呼ばれる専用端末やミニストップのレジでポイントからWAONへのチャージ手続が必要となります(モバイルWAONはオンラインで手続可能)。手続をしないと、ポイントはたまる一方で、しかも一定期間で期限が切れれば使えなくなってしまうのです。
以下は、東京都のWAONステーション設置場所の店舗数です。ミニストップは300店ありますが、ジャスコ、サティなど、WAONステーションの設置場所はわずか15カ所にすぎません。
WAONステーション |
ジャスコ |
8 |
サティ |
3 |
カルフール |
1 |
イオンモール |
2 |
マックスバリュ |
1 |
ファミポート |
ファミリーマート |
1078 |
(参考) |
ミニストップ |
306 |
表4:東京都のWAONステーション設置場所
この状況も、今年の秋でようやく改善されます。今回の提携で、このポイントチャージがファミリーマートに設置されているfamiポートでも可能になったからです。東京都の場合、famiポートの設置店舗は1000店以上ありますから、これで貯めたポイントをより気軽に使えるようになったわけです。
既存のWAONユーザーにとっては、実は、今回の提携の最大の魅力はこのfamiポートが使えるようになることと言っても過言ではありません。家や会社の近くのミニストップで貯めたポイントが、ようやく気軽に使えるようになりそうです。
■ ファミリーマートでWAONをどこまで訴求するのか?
このように、ファミリーマートとの提携で、WAONの利便性は非常に高まります。使える場所も増えますし、ポイントサービスもその利用価値が高くなります。
しかし、1つ疑問となるのは、ファミリーマート側がどこまでWAONを活用するかという点です。ファミリーマートでは、現在、「ファミマTカード」の普及を目指しており、特定の商品を割引価格で購入できたり、毎週火曜と土曜は特定商品を10%オフにするなどのキャンペーンを展開しています(Tポイントもたまる)。
今回のイオンとの提携で、このような特定の決済手段に対するキャンペーンを果たしてWAONでも展開するのかどうかは高く注目されます。ファミリーマートでもミニストップのように、特定商品のWAON決済にボーナスポイントを付与するのか? WAONとファミマTカードのどちらの利用を顧客に勧めるのか? これは今後の注目点でしょう。
この対応によって、両者の関係の親密度や将来的な提携範囲の拡大、さらには業界全体の再編の方向性も見えてくるかもしれません。
■ URL
電子マネー|WAON [ワオン] 公式サイト
http://www.waon.com/
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