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第26回:サーバー型電子マネーを知ろう(3) プリペイドカードから発展した「NET CASH」
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「NET CASH」はNTTカードソリューションが提供している電子マネーです。音楽配信サイト向けの専用カードを提供するなど、プリペイドカードで培ったノウハウで普及を目指しています。
■ NTTグループの電子マネー
NTTドコモの「iD」、次回紹介予定のNTTコミュニケーションズの「ちょコム」、そして今回のNTTカードソリューションの「NET CASH」と、NTT系という大きな括りで見ると、形は違えど何と電子マネーが3つも存在します。
もちろん、それぞれのサービスを比較してみると、方向性が少しずつ違うことがわかります。ここ数年で急速に普及した「iD」ですが、これは非接触IC型のポストペイ方式の電子マネーで携帯電話の利用を想定したものとなります。一方、NET CASHとちょコムは同じサーバー型のプリペイド方式ですが、ちょコムがネット上の貯金箱に金額をチャージして決済に利用するのに対して、NET CASHは一般的なサーバー型と同じくID(英数字16桁)を利用して決済します。
イメージとしては、非接触IC型の「iD」、サーバー型の「NET CASH」、その中間的な存在の「ちょコム」と言ったところでしょうか。ちなみに、ちょコムは、現在の正式サービス名は「Pちょコム」となっており、2007年10月でサービスを終了した「スマートパス」と密接な関係がありましたが、これについては次回詳しく紹介します。
サービス名 |
iD |
NET CASH |
ちょコム |
提供事業者 |
NTTドコモ |
NTTカードソリューション |
NTTコミュニケーションズ |
電子マネー種類 |
非接触IC型 |
サーバー型 |
サーバー型 |
決済方式 |
ポストペイ |
プリペイド |
プリペイド |
媒体 |
携帯電話 |
ID(英数字16桁) |
ちょコム貯金箱 |
使える場所 |
主に店頭 |
インターネット |
インターネット |
加盟店数 |
32万台(決済端末台数) |
700サイト |
3000サイト |
表1:NTT系の電子マネー
■ 2004年開始の電子マネー
さて、今回、紹介する「NET CASH」ですが、前述した通り、NTTカードソリューションが提供する電子マネーです。
サービス名 |
NET CASH |
サービス提供会社 |
株式会社NTTカードソリューション |
サービス開始 |
2004年(2002年開始のカレットを名称変更) |
使用技術 |
サーバー型 |
契約加盟社 |
700サイト |
利用件数 |
― |
年間決済金額 |
― |
表2:基本情報
「NTT」、「カード」と聞くと、世代によってはテレホンカードを思い浮かべるかもしれませんが、まさにその通りで、同社は電子マネーだけでなく、プリペイドカードビジネスも展開しており、むしろそちらのビジネスの方が馴染みが深いかもしれません。ちなみにテレホンカードの発売は1982年ですから、その歴史の長さを感じさせられます。
そんなプリペイドカード事業に続く次世代の柱として同社が2005年に開始したのが電子マネーサービスの「NET CASH」です。実は、同社は2002年から「カレット」と呼ばれるサーバー型の電子マネーを展開していたのですが、このサービスが2004年に名称変更され、現在の「NET CASH」となりました。
とは言え、NET CASHは、前身のカレットを考慮してもサーバー型電子マネーとしては後発の存在で、利用可能なサイト数は700前後とあまり多くなく、知名度もさほど高くはありません。
しかし、知名度があまり高くないのは、逆にプリペイドカードビジネスを長く手がけてきた同社ならではの特徴と言えるかもしれません。
たとえば、インターネット上の音楽配信サイトである「mora」は音楽の購入に使える「mora music card」というプリペイドカードを発行していますが、これはNET CASHの技術を利用しています。同様に、音楽配信サイトの「MUSIC TREE」の「Music Tree CASH」など、NET CASHは各ブランドの専用カードを提供しています。
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mora music card。NET CASHの技術を利用したmoraブランドの電子マネー
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かつての磁気式のプリペイドカードの多くがそうでしたが、自社ブランドのプリペイドカードが多く存在した時代がありました。これと同じように、NET CASHは、バックエンドの決済のしくみとして存在し、パートナーブランドを前面に押し出しているため、「NET CASH」という知名度があまり高くないのでしょう。
■ 16桁の英数字で決済
サービス内容は、他のサーバー型電子マネーと大きな違いはありません。
決済に利用するのは16桁英数字のIDとなります。1000円など、あらかじめ一定金額分を支払うことでその金額分の電子マネーに対応するIDを入手(詳しくは後述)。その後、オンラインゲームでのアイテム購入や音楽配信サービスでの音楽の購入など、サイト上での決済時に、このIDを入力して料金を支払うという流れになります。
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NET CASHの使い方。あらかじめ入手しておいた16桁のIDを購入時に入力して決済する
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NET CASHの購入は、オンラインまたは店頭で行なうしくみになっています。NET CASHはカードタイプ、シートタイプ、Webタイプという3つの方法で販売されており、カードタイプはコンビニエンスストア(一部のみ)や家電量販店、直営店で購入することができます。1000円、3000円、5000円の3種類の金額から選んでカードを購入し、その裏側にあるスクラッチ部分を削るとIDが表示されます。
シートタイプは、サーバー型電子マネーの現在の主流とも言える購入方法です。コンビニエンスストアの店頭や端末で一定金額分のNET CASHを購入すると、印刷されたシートやレシートにIDが記載されます。
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セブン-イレブンでの購入例。店頭のマルチコピー機を操作してネットキャッシュの購入を選択。すると、コピー機からこの用紙が印刷されて出てくる
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用紙をレジに持って行き、支払いをすると、NET CASH IDが記載されたチケットを手渡される
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最後のWebタイプは、オンラインでの購入となります。同社のWebページから購入申し込みをすると、本人確認のために一旦メールが送られます。このメールアドレスに記載されたURLから、購入手続をすることで、PCの画面やメールでIDを確認することができます。
なお、NET CASHの購入は、ネット銀行からの振り込み、もしくはセブン-イレブンの代金領収サービスでの支払いのみとなっており、クレジットカードでの支払いには対応していません。
しかし、前述したmoraの音楽購入専用となる「mora music card」の場合は、sony style経由で購入する場合は支払いにクレジットカードやEdy、eLIOを利用できます(IDはメールで通知される)。
また、mora music cardは、物理的なカードを家電量販店のオンラインショップなどで購入することができますが、この場合もクレジットカードでの決済が可能です。ただし、通販なのでカードが送られてくるまでに時間がかかりますし、家電量販で購入してもポイントの対象にはなりません。クレジットカードのポイントは貯まりますが、あまりメリットがあるとは言えないでしょう。
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オンラインバンキングでの購入画面
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mora music cardの場合は、sony style経由ならクレジットカードやEdyでの支払いが可能
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種類 |
プリペイド |
オートチャージ |
× |
決済方法 |
ID(英数字16桁) |
ID決済(NetCashウォレット) |
購入方法 |
カード | コンビニ店頭(エブリワン、ココストア) |
ラ・カルト(直営窓口) |
家電量販店(mora music card) |
シート |
コンビニレジ |
コンビニ端末 |
オンライン |
ネット銀行 |
セブン-イレブン代金収納 |
クレジットカード(mora music card) |
金額 |
最大 |
10000 |
単位 |
1000(カードのみ) 1600(コンビニ端末のみ) 2000/3000/5000/10000
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失効 |
なし(ただしノベルティなど、オリジナルデザインカードの一部は有効期限あり) |
送受信 |
なし |
表3:サービス概要
■ ウォレットで複数IDを管理
購入した電子マネーについても、他の電子マネー同様に、ネット上の「NET CASHウォレット」で管理することができます。
無料の会員登録を行なうことで、NET CASHウォレットが利用できるようになり、複数のIDの電子マネーを登録しておいたり、その履歴を管理することができるようになります。また、NET CASHウォレットを利用すると、加盟店での支払いの際に、16桁のIDではなく、ウォレットのIDとパスワードを利用して決済を行なうことができます。
複数のIDをまとめて管理でき、支払いも楽になるまさにおサイフのようなサービスと言えるでしょう。なお、NET CASHウォレットでは、NET CASHのIDに加えて、mora music cardのID、さらに加盟店独自のIDも管理することができますが、異なるID同士で残高をまとめたり、他の人のIDに金額を送信することなどはできません。
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NET CASHウォレットを利用することで複数IDの管理が可能
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提携サイトでの支払い時にNET CASHウォレットのIDで決済することもできる
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■ ポイントはないが割り引きサービスあり
このように、サーバー型電子マネーとしては、奇をてらったところがなく、基本的でわかりやすいNET CASHですが、他のサービスで最近さかんなポイントサービスについても、NET CASHでは提供されていません。
最近の電子マネーは、利用時のポイント、特定店舗での利用による特典、アフィリエイトなど、さまざまなポイントサービスが提供されていますが、NET CASHにはこれらのサービスはありません。
その代わり、NET CASHでは割引販売が行なわれています。まさにプリペイドカードの流れを汲んでいると言えますが、コンビニエンスストアの端末、レジ販売、オンラインバンキングでの購入の場合、「2000円分のID→1990円」、「3000円分のID→2990円」、「5000円分のID→4980円」、「10000円分のID→9950円」と、10円から50円の割引料金でIDを購入できるようになっています。
10円、20円と言うと僅かなように思えますが、2000円で10円得をすると考えれば0.5%換算になりますので、レートとしては悪くないでしょう。しかも、現金で還元されるわけですから、用途が限られているポイントよりも利便性が高いと考えることもできます。
なお、2009年2月26日まで、ネットバンク経由での購入に限り、1万円分のNET CASHを5%増量するキャンペーンが行なわれています。このキャンペーンを利用すれば、1万500円分のIDを9950円で購入することができます。このようなキャンペーンもうまく活用すると良いでしょう。
■ URL
NET CASH
http://net-cash.jp/
2009/02/19 11:01
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