ぷららネットワークスとオンラインティーヴィ(OLTV)は1日、フレッツ向けの多チャンネル放送およびVODサービス「4th MEDIAサービス」がサービス開始から1年を迎えるにあたって、これまでの事業進捗と今後の事業展開に関する説明会を開催した。
4th MEDIAサービスは、ぷららが構築した映像配信プラットフォーム「4th MEDIA」を利用して多チャンネル放送やVODコンテンツを提供するIPv6ベースの映像配信サービス。2004年7月8日のサービス開始当初はNTT東日本エリアのみで提供されていたが、2005年4月27日にNTT西日本エリアでのサービス受け付けを開始した。
月額料金は多チャンネル放送とVODサービスが利用できる「レギュラープラン」が月額2,415円、VODサービスのみ利用できる「ライトプラン」が月額577円で、両プランともに毎月2本のVODコンテンツが無料で視聴が可能で、24時間525円のカラオケサービスも用意される。4th MEDIAサービス利用時にはこのほか、NTT東西が提供するIPv6サービスの契約が必要。ただし、NTT西日本のフレッツ・光プレミアムではIPv6サービスが標準付与されるため、追加契約は必要ない。
サービス対象はぷらら、BIGLOBE、@nifty、hi-ho、So-netのいずれかのプロバイダーに加入し、Bフレッツもしくはフレッツ・光プレミアムを利用するユーザー。なお、フレッツ・ADSLに関しては、6月30日付けで新規申し込み受け付けを終了している。
■ 2005年度末に10万件、2010年度末には約420万件の加入を目指す
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ぷららの板東社長
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ぷららの中岡氏
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事業進捗および今後の事業展開に関する説明会に出席したぷららネットワークスの板東浩二代表取締役社長は、ぷらら会員数190万人(2005年3月末時点)のうち、145万人がブロードバンドユーザーであることを挙げ、「ブロードバンドならではのサービスを広めていくため、提供を開始したのが4th MEDIAサービス」と語った。
板東社長は、「多チャンネル放送の世帯普及率は米国では80%だが日本では20%程度に止まっており、まだまだ潜在需要がある」と語り、インターネットを通じた多チャンネル放送サービスを提供することで「同市場がさらに発展していくのではないか」とした。その上で、「将来的にはブロードバンド映像配信プラットフォームといえば『4th MEDIAである』と言われるように努力してきたい」と今後の抱負を述べた。
続いて、4th MEDIAサービス全体とVODサービスについて、ぷららネットワークスの中岡聡パートナー兼シニアストラテジストから説明があった。
中岡氏によれば、「2005年6月29日現在の会員数は21,323件で、加入者増加推移としては、2005年3月に1万件を突破から3カ月間で2万件台に到達した」と語った。この急速な加入者数の伸びは、3~4月にかけて4th MEDIAのガイド誌を配布したぷらら会員のうち、2万件を対象に実施したアウトバウンドテレマーケティング施策より5,000件がサービス加入した影響もあるという。
中岡氏は同施策の効果が認められたことから、「これから下期にかけて、提携ISPのユーザーにも対象を広げた水平展開を進めていく」と語り、2005年度末に10万件の加入を目指すとした。
一方で、同社は4th MEDIAサービスの開始時に1年間で20万件の加入を目標に掲げていた。この点について中岡氏は「20万件のうち、85%をフレッツ・ADSLユーザー、残り15%をBフレッツユーザーと見込んでいたが、フレッツ・ADSLでは通信環境などの問題もあり加入が伸び悩んだため」と、加入が伸び悩んだ経緯を語る。
その上で、「現状では9割がBフレッツユーザー。さらに高画質モードの配信帯域を4.2Mbpsから6Mbpsへと向上させた経緯もあり、フレッツ・ADSLの新規受け付けを終了するに至った」とした。
なお、今後の加入者目標に関して中岡氏は「NTTが2010年までにBフレッツ加入数3,000万件を目指しており、4th MEDIAサービスでも約420万件のユーザー獲得を目指したい」と述べた。
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4th MEDIAサービスのこれまでの流れ
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会員推移
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■ VODは年齢層別のコンテンツを強化。放送サービスでもチャンネル拡充
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VODの販売本数
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VODサービスの5月における販売本数は28,247本で、内訳は有料販売数が16,617本、プラン内で追加料金なく視聴できる無料販売タイトル数が11,630本だという。月ベースの販売価格は1ユーザーあたり月額300~400円で、視聴タイトル数は有料・無料ともに月1本以下程度で合計本数は2本前後になる。この数値について、中岡氏は「日本のレンタルビデオ店で借りられる数値に近いものである」とコメントした。
また、中岡氏は3月から5月までのVODタイトル販売数に関して、「ハリウッドメジャースタジオのコンテンツが上位にきているほか、テレビで放送されたアニメ番組も強い」と語る。加えて、「最近は若干順位を落としてきたが、『冬のソナタ』などの韓国ドラマもランキングに入っている」とした。
VODタイトルにおける今後の戦略として中岡氏は「ハリウッドメジャーの作品は、年齢や性別に関係なく販売が見込まれ、VODサービスのベースロードになる」とコメント。その上で、「広告業界などで20~34歳までの男女を指すM1、F1層に対してはサッカーをはじめとした海外スポーツ」「35~49歳までを指すM2、F2層には主に主婦層をターゲットにした海外ドラマ」「50歳以上のユーザーには時代劇やドキュメンタリー」をキーコンテンツに据えて、他社サービスと差別化を図る考えを示した。
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VODサービスの販売ランキング
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今後はターゲット別にコンテンツを強化するという
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OLTVの米澤取締役
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放送サービスの説明にあたったOLTVの米澤稔取締役は、「サービス開始からベーシックチャンネルが27チャンネルから30チャンネルに、有料オプションのプレミアチャンネルが6チャンネルから19チャンネルに拡大した」と説明。各チャンネルについて米澤取締役は、「スーパーチャンネルやリアリティTVなどエンターテインメント系の充実を図るとともに、ドイツやオーストラリアの国営放送も提供を開始した」と述べた。
特にドイツとオーストラリアの国営放送は、「これまで日本国内で放送されていなかった」という。米澤取締役は「ぷららが構築したプラットフォームに乗せれば、全国にコンテンツが提供できるため、今後もこうしたコンテンツがあれば積極的に取り込んでいきたい」と抱負を語った。
なお、ぷらら会員を中心に実施したアンケート(有効回答数:1,130件)では、62%のユーザーが4th MEDIAサービスで初めて多チャンネル放送サービスを利用したという。このことから、米澤取締役は「4th MEDIAサービスは、市場の規模拡大に寄与している」と述べた。
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放送サービスのチャンネル拡充状況
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今後の戦略
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■ USB 2.0ポートに無線LANアダプタも接続可能な新型STB
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第2世代STBの概要
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ぷららの中岡氏からはまた、現在開発を進めている第2世代のSTBが紹介された。中岡氏によれば、新型STBの提供予定時期は2005年秋頃を目指しているという。また、提供方法としては「売り切り以外にも、レンタル提供を考えていきたい」と述べた。
新型STBでは新たに「4th MEDIAメタ」というメタデータ機能を搭載させ、「家電ライクなブラウザ機能の実装や操作性が実現できる」とした。また、機能面では新たにレジューム機能や誤り補正技術を搭載する。
本体インターフェイス面では、D端子や光デジタル端子を備えるとともに、USB 2.0インターフェイスを2ポート装備。USB 2.0ポートには、4月よりぷららがBフレッツ対応コースに加入したユーザーに配布している接続設定を保存した「簡単設定用USBメモリ」や、新型STBと同時期に提供を予定するIEEE 802.11a/b/g準拠の無線LANアダプタの接続が可能。これにより、本体設定がUSBメモリで可能になるとともに、無線LANアダプタを利用することでルータ設置場所とは異なる場所にSTBが設置できるようになる。
また、リモコンも「女性に持ちやすいサイズ(中岡氏)」に変更されるとともに、「従来モデルでは同じボタンに配置されていた、本体操作系と再生系ボタンを独立させた」という。
このほか中岡氏は、4th MEDIAサービスの今後について「提携プロバイダーを増やす考えはない」とする一方で、「加入ISPを問わず利用できるようなサービスも考えてきたい」と語った。また、配信コンテンツのHD対応などについては新型STBでは行なわず、「第3世代のSTBで対応を検討していきたい」と今後のサービス提供方針を示した。
なお、地上デジタル放送の再送信などに関しては、「技術というより、制度的な問題」とした上で「米国ではIPやRF問わず再送信が認められてきており、こうした流れは日本にも影響が出てくるのでは」と見解を示した。
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現行のSTB(写真下)から小型化が図られている
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USB 2.0インターフェイスは2ポートとも本体背面に備える
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(写真左から)第2世代STBと現行STBのリモコン比較
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コネクタ部が回転するIEEE 802.11a/b/g準拠のUSB接続型無線LANアダプタも開発中だという
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設定情報が保存されている「簡単設定用USBメモリ」
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■ URL
4th MEDIA
http://www.4media.tv/
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(村松健至)
2005/07/01 20:27
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