バッファローは、IEEE 802.11nのドラフト1.0に準拠した無線LAN製品「AirStation NFINITI」を7月上旬より順次発売すると発表した。無線ルータ「WZR-G144N」の標準価格は27,615円で、無線LANカードや無線LANボードも発売される。
■ 実測80Mbpsの無線LAN通信を謳う「NFINITI」
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WZR-G144N
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(写真手前の)ハイパワーモデル「WHR-HP-G54」と比較するとサイズは一回り程度大きい
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AirStation NFINITIは、IEEE 802.11b/gとの互換性を持ったIEEE 802.11nドラフト1.0に準拠した無線LAN製品。NFINITIは、IEEE 802.11nの“n”と“infinity(無限大)”を組み合わせた造語だという。
7月上旬には無線LANルータ「WZR-G144N(標準価格27,615円)」と無線LANカード「WLI-CB-G144N(12,075円)」、両製品のセットモデル「WZR-G144N/P(33,075円)」を発売。また、7月中旬にはPCIバス用無線LANボード「WLI-PCI-G144N(14,280円)」も発売される予定だ。なお、同シリーズが採用する無線LANチップの供給メーカーは非公表。
3製品ともに、送信側に2本、受信側に3本のアンテナを利用し通信速度の向上・安定化を図るMIMO技術を採用し、20MHz幅の理論値は最大144Mbps。実効スループットは同社計測値で最大80Mbpsを公称するとともに、100mの通信距離でも55Mbpsの無線LAN通信が行なえるとしている。
無線LANルータ「WZR-G144N」は、有線LANスループットがFTP値で最大94Mbps、PPPoE値で最大84Mbpsを公称する製品。従来AirStationシリーズと同様に、無線LAN設定システム「AOSS」やインターネット自動接続設定機能「インターネット@スタート」のほか、ブリッジモードへの切り替えが可能なスイッチを本体底面に備える。
また、PPPoEマルチセッションやUPnP、VPNマルチパススルー(PPTP/IPSec)、IPv6パススルー、SPI、アタックブロック、パケットフィルタリング、フレッツ・スクウェアプリセットなどを装備。無線LAN機能面では、電波混雑防止機能や64/128bitのWEP、WPA(AES/TKIP)などをサポートした。
有線インターフェイスは、WAN側に10BASE-T/100BASE-TX×1ポート、LAN側に10BASE-T/100BASE-TX×4ポートのスイッチングハブを搭載。本体サイズは35×183×170mm(幅×奥行×高)で、重量は約425g。
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最大で80Mbps程度の通信が可能だという
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屋内利用環境での従来製品との速度比較
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無線LANカード「WLI-CB-G144N」とPCIバス用無線LANボード「WLI-PCI-G144N」は、どちらもWindows XP/2000での利用に対応した製品。無線LANセキュリティ面では64/128bitのWEP、WPA(TKIP/AES)をサポートする。本体サイズと重量は、WLI-CB-G144Nが54×118×5mm(最厚部は7mm)で重量が41g。WLI-PCI-G144Nが121×20×136mmで、63g(アンテナ含む171g)。なお、スタンバイおよび休止機能には対応しない。
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WLI-CB-G144N
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WLI-PCI-G144N
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■ 年内にはIEEE 802.11a/b/g互換の「NFINITI」製品を展開予定
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バッファローの石丸氏
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5日に開催された発表会では、これまでの無線LAN製品への取り組みやAirStation NFINITIの今後の展開などが述べられた。
今回発表した製品のIEEE 802.11n正式版への対応について、石丸正弥 ブロードバンドソリューションズ事業部 マーケティンググループリーダーは「IEEE 802.11nの標準化が完了していない現時点では、対応できるとは言えない」とコメント。ただし、「正式版に対応できない場合でも11nドラフトモードでの接続は可能で、正式版対応機器との間で80Mbpsの通信はできると考えている」と付け加えた。
今後の製品展開としては、無線LANルータはIEEE 802.11b/g互換のギガビット対応モデルを9月以降に、IEEE 802.11a/b/g互換のギガビット対応モデルを10月以降に発売を予定。クライアント端末では、IEEE 802.11b/g互換の無線LANコンバータとUSB接続型無線LANアダプタを9月以降に、IEEE 802.11a/b/g互換の無線LANカードを10月以降に発売するとしている。
また、同社無線LAN製品の販売比率は、現時点でハイパワーモデルが20%、通常モデルが80%だという。石丸氏は1年後の販売比率について、「NFINITIとハイパワーモデルで30~35%に引き上げたい」との考えを示し、「NFINITI単独では10%程度の数値を確保したい」と語った。
このほか発表会では、IEEE 802.11g無線LANルータと比較したハイビジョン映像(最大20Mbps)の複数クライアント同時接続デモが行なわれた。石丸氏は、IEEE 802.11g無線LANルータ環境では同時2接続で映像に乱れが生じたのに対し、AirStation NFINITIでは3クライアントが接続した状況でもスムーズに視聴できる点を挙げ、「ストレスなく、安心して利用できることがご理解いただけると思う」と述べた。
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今後の製品ロードマップ。IEEE 802.11a/b/g互換製品も年内に発売を目指す
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無線LAN市場の推移。「ニンテンドーDSやPSPの登場で第2成長期に入った」と石丸氏
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最大20MbpsのHD映像を複数クライアントに同時配信するデモも行なわれた
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■ URL
ニュースリリース
http://buffalo.jp/products/new/2006/000207.html
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(村松健至)
2006/06/05 17:53
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