エキサイトは、音楽コミュニティサービス「Last.fm」日本語版を7月25日にスタートした。ユーザーIDを取得すれば無料で利用できる。
■ 聴く・共有・発見のサイクルで新たな音楽との出会いを
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Last.fm日本語版
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3つのサイクルで描かれるLast.fmのミュージック・ライフ
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Last.fmは、PCで再生した楽曲データを利用したソーシャル音楽ネットワークサービス。英国では登録ユーザー数200万、月間ユニークユーザー850万、月間PV1億を超える最大級のユーザー参加型音楽コミュニティサービスで、日本ではエキサイトが日本市場における各種契約業務やプロモーション、サイト運営のサポートなどを担当する。
Last.fmのサービスは、音楽を聴く「Listen」、音楽を共有する「Share」、音楽を見つける「Discover」の3つで大きく構成されている。ユーザーは専用のアプリケーションをインストールしたPCで楽曲を再生すると、楽曲データがLast.fmの自分のページへ自動でアップロードされる。楽曲データのアップロードをLast.fmでは「Scrobble(スクロブル)」と呼んでいる。
対応する楽曲再生ソフトはWindows Media Player、iTunes、Winampなどで、1曲の長さの半分以上が再生されるとデータの送信を行なう。アップロードした自分の楽曲再生データは、ブログなどに表示することもできる。
ユーザーが楽曲データをアップロードすることで、Last.fmのアーティストページにはどの楽曲が何回聴かれたかなどのデータを蓄積。同じアーティストの楽曲を聴いているユーザーの数やランキングデータなどをユーザー間で共有できる。アーティストのページにはWiki形式でアーティスト情報を記入でき、任意のキーワードを付与できるタグ機能もサポート。タグは専用アプリケーションから行なうことも可能。
Last.fmでは、ユーザーがどの楽曲を何回再生したかという情報に基づき、お勧めのアーティストを紹介する機能も搭載。また、自分の楽曲嗜好に近いユーザーを紹介する「ご近所さん」といった機能も搭載する。なお、「ご近所さん」でユーザーをマッチングする仕組みは非公開だが、楽曲を数多く再生すればデータの蓄積も多くなるため、「ご近所さん」が表示される可能性が高くなるという。
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Last.fmの専用アプリケーション。楽曲データをアップロードするだけでなく、楽曲情報も閲覧できる
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ユーザーの再生した楽曲履歴を表示
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アーティストや楽曲ごとのページも用意
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似た音楽嗜好のユーザーを紹介する「ご近所さん」機能。マッチングの仕組みは非公開
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■ 楽曲配信サービスは秋を予定。エキサイト独自の展開も
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エキサイトがパートナーとして日本展開をサポート
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すでに英国版のLast.fmを利用しているユーザーはIDをそのまま利用できるほか、エキサイトのIDでもLast.fmを利用可能。楽曲のデータベースは英国と共通だが、アーティストの情報ページなどは日本専用となっており、英国版サービスに日本からアクセスした場合も日本語版にリダイレクトされるようになっている。
エキサイトの「エキサイトネームカード」と連携できる機能も日本独自に搭載。エキサイトネームカードはブログなどに自分のプロフィールを表示できるブログパーツで、エキサイトではエキサイトネームカード用のLast.fmコンポーネントを提供。最近再生した楽曲データをエキサイトネームカードに表示できるほか、エキサイトネームカードのユーザー同士が訪問した場合に楽曲データから互いの相性を判断する機能も用意されている。
英国版ではLast.fm上で楽曲をストリーミング再生できるサービスも提供しているが、日本での楽曲配信サービスは2006年秋頃となる見込み。また、アーティストの画像素材なども日本の著作権者と交渉を進めていく。英国版では広告が非表示になり、自分のプロフィールページの足あとが確認できる有料サービスも提供しているが、こちらも日本では準備が整い次第提供する予定だ。
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英国版との違い
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エキサイトネームカードとの連携機能
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■ 携帯電話などPC以外にも対応を検討。日本独自の展開も進める
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エキサイト エンタテイメント事業部 音楽サービス部の郡司部長
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エキサイト エンタテイメント事業部 音楽サービス部の郡司部長は、Last.fmのコンセプトを「新しい音楽との出会いがテーマ」と説明。「すべての音楽を知ることはできないが、世の中に誰も聞いていない楽曲も存在しない。音楽のデータをLast.fm上で収集し、人それぞれにカスタマイズされたお勧め情報を作り出すことで、今までなら出会うことのなかったアーティストや楽曲との出会いを演出するのがLast.fm」とした。
Last.fmで重視するのは楽曲情報の「偏り」。「CDを買ったからといって、そのCDの楽曲すべてが好きではないだろう」(郡司氏)との考えからデータの単位を楽曲ごととし、「どの楽曲を何回聞いたか」という偏りでユーザーの嗜好を判断する。アップロードする楽曲データも「半分以上を聴けばその曲を嫌いではないだろう。逆に半分より前で止めたらその価値はないということ」という観点に基づき、半分以上が再生された楽曲データのみを対象とする。
秋に予定する楽曲再生サービスは、「音楽配信サービスを始めた頃に比べれば、サービス開始までのハードルは低くなっているだろう。音楽のストリーミング配信サービスもいくつか登場し始めている」との考えを示しつつ、「売れ筋の楽曲をすべて揃えられるかと言えばそれは難しい」とコメント。「どのくらいの楽曲を集められるかはわからないが、秋を目標に交渉を進めていく」とした。
日本独自の展開も積極的に進めていく。「Last.fmではメインとなるターゲットが若年層だと考えているが、エキサイトではそうは思わない」と英国との考えの違いを指摘した郡司氏は、携帯電話やポータブルプレーヤーなどPC以外に蓄積される楽曲データも対応を検討するとコメント。また、「日本ではSonicStageやLISMOなど、いくつか対応をお願いしたいところがある」と、対応する楽曲再生ソフトも拡充していく方針を示した。
Last.fmの先には定額制の音楽配信サービスも視野にあるが、「定額制で何十万もの楽曲が選べても、ユーザーはどう選べばいいのかわからない。まずは定額制サービスの前に、ユーザーが音楽を発見するための手段を提供するべきと考えた」(郡司)。具体的なサービス提供については「やれたらいいよね、というレベル」だが、「具体的なサービス提供は、Last.fmの成功にかかっている」と、Last.fmにかける意気込みを示した。
■ URL
Last.fm
http://www.last.fm/
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(甲斐祐樹)
2006/07/25 14:06
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