マイクロソフトは2日、記者向けの懇親会を開催した。執行役オンラインサービス事業部長に就任した笹本裕氏がマイクロソフトのオンラインビジネスに関する考え方や取り組みなどを説明した。
■ ソフトウェア市場の資産を活かしながらオンラインへ積極展開
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執行役オンラインサービス事業部長に就任した笹本裕氏
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笹本氏は1988年にリクルートに入社。不動産事業者へリクルートの住宅情報データベースを配信する端末を納入する事業や、海外旅行誌「エイビーロード」のサイト立ち上げなどに関わったのち、コミュニティサイト「レストランガイド」を立ち上げ。2000年にはMTVジャパン取締役COOとして入社し、2002年にはMTVジャパンの代表取締役社長兼CEOに就任。マイクロソフトの執行役には2007年2月に就任したばかりだという。
笹本氏は、「6兆円規模という広告市場の中でインターネット広告市場が3,000億円まで広がってきている」と語り、「これが5,000億円、1兆円と成長していくと、今までのインターネットの広告とは違う戦略がないと市場自体が成長しない」と指摘。「今まではリスティングやバナーなど販売促進の展開がインターネットで有効と思われていたが、これからはブランディングを踏まえてインターネットを活用していく必要がある」との考えを示した。
マイクロソフトの掲げるLive戦略に関しては、「ソフトウェア市場で大きく成長してきたマイクロソフトが、その資産を活用しながらオンラインの技術やサービスによってさらに大きく成長していこうという考え」と説明。「ソフトウェア市場も現在のインストール型や販売型だけでなく、いかにオンラインを活用し、そこからOSやソフトウェアにつなげていくかという考えが重要だ」と語った。
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インターネットの広告市場が急速に成長
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マイクロソフトのLive戦略
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■ 「感動」×「感謝」がメディアビジネスを最大化
そうしたオンラインサービスに対する思いを笹本氏は「『感動』×『感謝』=メディアビジネス」という言葉で説明。自身が手がけてきたコンテンツ事業を例に取り、「MTVのようなコンテンツは感動できるが、それが無くても生活に支障はない。一方でリクルートのように情報を整理して紹介するサービスは、ユーザーにとって感謝の対象になる」とし、「この2つを単純に足すのではなく、掛け合わせていくかけ算こそがメディアビジネスを最大化する」と語った。
マイクロソフトのオンライン事業のうち、ソフトウェアプラットフォームポータルであるWindows Liveは「ユーザーにとってカスタマイズしやすいサービスを提供することで感謝の部分を最大化していく」。一方、メディアポータルの役割を担うMSNは「コンテンツを中心に、ユーザーに感動を与える存在」と、それぞれのポータルの違いを示した。
こうした「感動」×「感謝」の事例として笹本氏が紹介したのが、MSNムービーで展開中のアカデミー賞特集。笹本氏はアカデミー賞ノミネート情報を例に取り、「ノミネートの受賞作品やプロフィールなどをリンクやサーチで紹介していたのが従来のメディア」とした上で、MSNの特集ではノミネートされた作品や俳優にマウスオーバーするだけで検索結果を表示する仕組みを紹介。「サーチも表現を変えるだけで楽しみが伝えられる」とし、「さまざまなアイディアや技術、コンテンツ、ツールを混ぜ合わせ、かけ算の考え方でビジネスを展開していきたい」と語った。
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感動と感謝がメディアビジネスを最大化
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Windows LiveとMSNの位置付け
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■ URL
マイクロソフト
http://www.microsoft.com/ja/
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(甲斐祐樹)
2007/03/02 16:06
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