マイクロソフトは2日、オンラインサービスの事業戦略説明会を開催。MSNやWindows Liveについての2008年度の戦略を説明した。
■ オンラインサービスや広告戦略の拡大を説明。「Surface」も近い将来に
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執行役オンラインサービス事業部長の笹本裕氏
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説明会にあたり、執行役オンラインサービス事業部長の笹本裕氏は「昨年度の第4四半期は高成長を遂げたので、今年は勢いよく事業を進められる」と前置きした上で、「我々のソフトウェアという資産にオンラインサービスを加えることで、資産の最大活用が可能となり、ユーザーが豊かになるエクスペリエンスの実現ができる」と、オンライン事業の拡大に注力している状況を説明した。
また、米Microsoftが5月にインターネット広告企業の米aQuantiveの買収意向を示した件について、「aQuantive買収は、マイクロソフト史上最大の投資であると言え、大きなチャンスだと捉えている」と説明。「高度なターゲティング広告技術を利用することで、広告ビジネスの拡大を図り、これが大きな波になればいいと思う」と広告戦略の拡大も示した。なお、笹本氏によれば、今年中にもXbox 360向けの広告配信を開始するほか、他のプラットフォームへの広告提供も予定しているという。
このほか、米Microsoftが5月に発表したキーボードやマウスを使用せずに指で操作が可能なデバイス「Surface」についての説明も行なった。Surfaceは、モニターを搭載した机の上に携帯電話やデジタルカメラを机に置くと自動認識され、指の操作でファイルの転送などが可能となる機能を持つデバイスで、笹本氏は「端末も含めて、近い将来に投入できるだろう。新たなデジタルライフスタイルを提供できると期待している」と予定を述べた。
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ソフトウェア+サービスの事業戦略概要
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マイクロソフトのポータル/サービス戦略の概要
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広告やポータルでの戦略アプローチ
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マイクロソフトのオンラインサービス一覧
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公開された「Surface」のデモムービー
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■ MSNは、“都会派”ユーザー向けにサービス拡大。動画共有「Soapbox」も
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オンラインサービス事業部MSNメディアネットワークエグゼクティブプロデューサーのSean Chu氏
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続いて、MSNの今後の戦略についてオンラインサービス事業部MSNメディアネットワークエグゼクティブプロデューサーのSean Chu氏が説明を行なった。
2008年度の戦略説明に先立って、Chu氏は2007年度サービスのハイライトを説明。2007年度は「“知る”と“調べる”に加えて“楽しむ”を提供する目的で新サービスをローンチしてきた」として、中でも5月に開始した環境特集では「コンテンツを見せるだけでなく、どのようにコンテンツを深く見せるかがテーマとなっており、MSNの象徴ともいえるサービスだと思う」と説明した。
また、7月に実施した世界9都市で開催されたライブイベント「LIVE EARTH」のライブ配信については、800万人が視聴したオンライン史上最大のイベントであったと説明。「数字以上にコンサートの見せ方に注意した結果、テレビ放送を行なったNBCよりも高い評価を得られた。我々が提案する次世代の見せ方が実現したと思う」と抱負を語った。
これらを踏まえて、2008年度については「今後はメディア色を強めるのがキーワードとなり、ただ単にコンテンツを持ってくるのでなく見せ方が重要な要素となる」と前置きした上で、25~45歳のいわゆる“都会派”なユーザー向けのサービスを展開していくと説明した。また、コンテンツについては10月からは「MSN産経ニュース」の提供を開始し、2007年にはMSNサイトのリニューアルを実施する予定であることを明らかにした。リニューアルにあわせて、MSNの各サービスのバージョンアップも図るほか、新聞や雑誌やイベントと提携も拡大するとしている。
このほか、今後提供予定のWebブラウザ用プラグイン「Silverlight」と動画共有サービス「Soapbox on MSN Video」も紹介した。Soapbox on MSN Videoについては、今年度中にローンチを行なう予定であることを明らかにしたほか、編集を行なう側からサービスのパーツを組み直すことが可能となっており、MSNの他サービスや他社サービスへの提供もできる、と仕様の説明も行なった。
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今年度MSNで新たにローンチされたサービス
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5月に開始した環境特集
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7月に実施した「LIVE EARTH」ライブ配信の結果
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MSNの新たなターゲットユーザー
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MSNで提携予定のコンテンツなど。いくつかは非公開
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MSNの今後の予定
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「Silverlight」のデモ画面
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「Soapbox on MSN Video」のデモ画面
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■ Windows LiveのID統合や、フォトアルバムサービスなどの提供を秋より予定
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オンラインサービス事業部Windows Liveチームディレクターの小野田哲也氏
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最後に、Windows Liveの今後の戦略についてオンラインサービス事業部Windows Liveチームディレクターの小野田哲也氏が説明を行なった。
Windows Liveについては2007年秋には、Windows Liveの各サービスのIDを統合した「Windows Live ID」の利用について、Windows Liveの各サービスが1回のログオンで全て利用可能となるよう仕様変更することを明らかにした。小野田氏はWindows Live IDについて「Windows Liveの各サービスを統合化した、1つのサービスとして提供することになる」と説明している。また、複数のIDを1つに統合できるサービスも今後提供を予定しているという。
このほかの既存サービスでは、Webメールサービス「Windows Live Hotmail」について8月中にはメールの保存容量を拡張するなどの機能強化を行なうこと明らかにした。また、「Outlook Express」や「Windows メール」の後継版にあたるクラアントソフト「Windows Live Mail」についても、正式版を2007年秋には提供を開始する予定であるという。Windows Live Mailのクライアントソフトは、Outlook Expressの設定などを引き継いで利用可能なほか、Windows Live Hotmailや他社のWebメールサービスなどもクライアント上で利用可能になる見込みだという。
新サービスでは、フォトアルバムサービス「Windows Live Photo Gallery」と、オンラインストレージサービス「Windows Live SkyDrive」の提供も2007年秋から提供開始する予定であるとしている。このほか、Windows Liveの各サービスの横断利用を可能とするヘッダメニューやプルダウンメニューを付加するといったWindows Live事態の強化も実施するほか、Windows Liveの新機能をMicrosoft Updateを利用して追加できる機能も実装予定であることを明らかにした。
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Windows Liveの今後の戦略
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Windows Liveの各種サービス
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新たに実装するWindows Liveのヘッダメニュー
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「Windows Live Mail」のデモ画面
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「Windows Live Photo Gallery」のデモ画面
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Windows Live Photo Galleryには、パノラマ写真を作成する機能も搭載よていだ
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■ URL
マイクロソフト
http://www.microsoft.com/ja/jp/
MSN
http://www.microsoft.com/ja/jp/
Live.jp
http://www.live.com/
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(大久保有規彦)
2007/08/02 18:19
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