マイクロソフト、産経新聞社、産経デジタルの3社は、新たなニュースサイト「MSN産経ニュース」を10月1日に開設する。これに先立って、9月25日にサイトコンセプトや概要に関する説明会が行なわれた。
■ 「ウェブ・パーフェクト」を掲げ、ネット特性を活かした報道を目指す
|
MSN産経ニュース(9月25日時点のベータ版サイトの画面)
|
MSN産経ニュースは、産経デジタルが運営する「Sankei Web」を発展的に成長させて、新たに開設されるニュースサイト。ネットの特性を活かした質と量を伴った報道を目指す「ウェブ・パーフェクト」をコンセプトに、ユーザー満足度の向上を目指した運営を行なっていくという。
産経新聞社ではこれに伴って抜本的な組織改革を行ない、国内新聞社で初めてだという紙とWebの編集統合を実施したという。具体的には4人の編集長が交代で紙面とWebのニュース編集を指揮し、ニュース価値のある情報をネット上で素早く詳細に報道するという。
また、同社記者や編集者への意識改革として、ユーザーニーズを満たすニュースを最大限提供する「マキシマム・ユース」ポリシーを掲げる。インターネット上でニーズの高い話題や事件に関して、MSN産経ニュースで独自取材して多角的に記事を掲載するほか、重大事件の公判冒頭陳述や判決文などの1次情報の詳細を掲載、紙媒体を優先してきた目玉連載や解説記事なども積極的に掲載するとしている。
|
|
|
「ウェブ・パーフェクト」というコンセプトを掲げる
|
紙面とウェブの紙面統合を実施
|
紙とウェブにとらわれない取材姿勢を同社記者・編集者に対して促していく
|
記事掲載にあたっては、ユーザーの関心度の高いニュースを事件や話題などを集めた「トピックス」を開設。関連記事やニュース写真に加え、図表や用語解説、動画、イザ!記者ブログの転載、外部サイトの関連リンクなどを集約し、「情報ハブ」としての活用を促していく。なお、サービス開始時点のトピックス数は200以上を予定するという。
また、Sankei Webで2カ月間だった記事掲載期間を原則6カ月へと拡大。加えて、主要トピックスの重要記事は掲載期限を設けず、固定URLで記事を掲載するとしている。また、同社所属のカメラマンらが撮影した写真の一部を最大1,024×768ピクセルで掲載するほか、掲載枚数も大幅に増加させる。
掲載記事については、サンケイスポーツやフジサンケイ ビジネスアイといった産経新聞グループ各紙とともに、米「USA TODAY」紙の記事を原文および日本語訳で掲載する。このほか、紙面ではスペースや諸条件で掲載されなかった記事や写真、記者会見の詳報、音声データや動画なども掲載する考えだという。
|
|
|
トピックスを通じた「情報ハブ」
|
“壁紙サイズ”で報道写真を提供
|
ネットのニーズに応える記事や生データの提供も
|
■ Live Search サイドビューの導入やメッセンジャー連携も実施
|
産経新聞グループの取材・編集力とマイクロソフトの技術融合を目指す
|
検索機能の強化も図られ、記事中にあるキーワードの検索結果を同一ページ上で確認できる「Live Search サイドビュー」を導入。また、Windows Live メッセンジャーのサブウインドウ上で記事をチャット相手と同時表示できる機能も搭載する。同機能は、各記事ページの「メッセする」ボタンから利用できる。
加えて、最新ニュースを配信するWindos Vista向けのガジェット、ブログパーツ「ざわざわニュース」、RSS配信の提供も実施。ブログパーツは、最新ニュースを随時配信する「サイドバー型」と、ニュース記事と連動してユーザーが設定したコメント付きのニュースをキャスターが紹介する「エントリー型」の順次提供を行なう。
MSN産経ニュースでは、オープン記念特集として2つの連載を10月1日に開始。インターネットの普及によって変化を遂げた社会の仕組みや生活などを記者がリポートする「インターネットが変えたもの」と、これまで報道した事件や社会情勢を未公開写真を含めて当時の取材記者らが振り返る連載「記者は見た 世紀の事件」がサイト上で先行公開され、ユーザーの反応を見ながら一部を紙面で掲載する予定だとしている。
なお、マイクロソフトでは9月末まで「MSN毎日インタラクティブ」を毎日新聞社と共同運営している。10月1日以降に関しては、MSN毎日インタラクティブで使用したURL上に「MSN産経ニュース」と、毎日新聞社が単独運営する「毎日jp」の誘導URLを設け、ユーザーに告知を行なっていくという。
|
|
|
「Live Search サイドビュー」の導入で記事ページから検索結果が確認可能に
|
Windows Live メッセンジャー連携も実施する
|
Vista向けのガジェットも用意
|
■ スクープも随時掲載する「ウェブ・ファースト」。紙とウェブの融合も
|
(左から)マイクロソフトのヒューストン氏と産経新聞社の住田氏
|
産経新聞社の住田良能 代表取締役社長は説明会の席で、「MSN産経ニュースでは新聞締め切りを待たずに、スクープも随時掲載する『ウェブ・ファースト』を実現したい」とコメント。一方、「単に速さを強調するのではなく、質の高さも追求する報道コンセプトを示し、完全なる質の高いウェブを創出する」とた。
住田氏はその上で、「今回の提携を期にネットと紙の融合を一段と加速させたい」と発言。「他の新聞社でも大きな連携があると聞いている。我々はそうした方々と切磋琢磨しながら、インターネット時代の言論報道機関の使命を果たしていきたい」と抱負を述べた。
産経デジタルの阿部雅美 代表取締役社長は、「(説明会を行なった)9月25日は福田内閣の組閣の日。将来、組閣日とともに新しいネット報道を日本で切り開いた日であると記憶される日にしたい」と語った。サイト運営にあたっては「多くのユーザーに対して魅力あるものにするに尽きる」と語り、「インターネットの報道ははじまったばかりで、秘められた可能性を持っている」と述べた。
阿部氏はまた、Web上でスクープを掲載することなどによる紙への需要低下について「紙とWebはどうちがうのか、という議論を日々重ねている」と説明。「紙が減るとすれば、紙の理由にもよるかもしれない。ただ、ネットとは違う特性を活かしていけば減らないのではないか」と付け加えた。
マイクロソフトのダレン ヒューストン 代表執行役社長は、「MSN産経ニュースは、日本におけるデジタルライフスタイルを新たなレベルに進めるもの」とコメント。「10月1日はスタート地点でしかなく、これを起点に革新的なデジタルライフスタイルを提供していきたい」と語った。
なお、2007年8月時点における産経新聞グループ5サイトの合計ユニークユーザー数は1,600万で、ページビュー数は3億5,000万になるという。MSN産経ニュース単独での具体的な数値目標は示されなかったが、阿部氏は「数倍になると考えている」という。また、「MSN毎日インタラクティブ」では最高5億PVを2006年8月に達成しているが、マイクロソフト側では「1つの目標値として5億PVの達成も目指している」とした。
|
|
産経デジタルの阿部氏
|
産経新聞の25日付け朝刊を手にする産経デジタルの近藤取締役。一面記事は24日23時にWebで先行掲載したものだという
|
■ URL
MSN産経ニュース(10月1日~)
http://sankei.jp.msn.com/
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3206
関連記事:「MSN毎日インタラクティブ」9月で終了、10月から「MSN産経ニュース」に[INTERNET Watch]
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/06/27/16174.html
■ 関連記事
・ 毎日新聞社、オープン化や信頼情報の発信を謳う「毎日jp」を10月開設
(村松健至)
2007/09/25 15:37
|