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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
アッカ・ワイヤレスが2.5GHz帯の免許申請。TBSやISP5社などが新たに参加

 アッカ・ワイヤレスは11日、2.5GHz帯を利用したモバイルWiMAX事業を展開するための免許申請を行なった。これに合わせて、NTTドコモ以外の新パートナーや免許取得後のビジネスモデルに関する説明会が開かれた。


09年3月のサービス開始が目標。現行サービスより安価な料金体系を予定

アッカやNTTドコモなどアッカ・ワイヤレスに参加するパートナー企業の代表者たち

サービス計画の概要
 アッカ・ワイヤレスは、アッカ・ネットワークスがモバイルWiMAX事業の展開を視野に2007年7月に設立した企業。その後、8月31日にNTTドコモと出資よび戦略的提携を結んでいた。

 今回新たなパートナーとして、東京放送(TBS)や三井物産、ISP5社(朝日ネット、NECビッグローブ、ソネットエンタテインメント、ニフティ、フリービット)、鉄道系2社(アイテック阪急阪神、京浜急行電鉄)、金融系3社(JPモルガン証券、Ignite Group、DCM)のほか、韓国通信企業のKT、YRP事業開発研究所が出資企業に加わると発表。免許取得時には各社から出資を受け、資本金を300億円規模へと増資。最終的には総額720億円までの増資を見込み、それ以外の企業にも資本参加を募っていくという。

 アッカ・ワイヤレスの事業計画案については、同社の木村正治 代表取締役社長が説明した。同社は、モバイルWiMAX(IEEE 802.16e)を用いた下り最大40Mbps、上り最大5Mbpsの定額制データ通信サービスを、2009年3月に提供する考え。料金体系のイメージは明かされなかったが、現行のPHSを含めたデータカード利用の定額制サービスと比較して「かなり安くできる」(木村社長)とした。

 加入者目標は、2009年で25万、2013年で500万を目指し、売上高は2009年で60億円、2013円で1,500億円規模を見込むという。また、経常利益の黒字化は2012年が目標で、黒字化の損益分岐となる加入者数は350万から400万加入だとしている。なお、設備投資額は2015年までに累計2,000億円を予定している。

 サービス特徴として木村社長は、1つのIDを複数の端末で利用できる点や、MVNOによってパートナー企業からの多種多様なサービスが実現できる点を紹介。加えて、申し込みや利用開始手続きをスムーズに完了する体制を整える考えだという。

 2009年3月のサービス開始当初は、アッカ・ワイヤレスが直販するPC向けデータ通信カードが中心になる。その後は、PCへのモバイルWiMAXチップの組込やゲーム機やデジタル家電、PDAに加え、自動車や鉄道といった車載端末としての広がりも期待する。また、サービスエリアは首都圏16号線内、大阪市/神戸市/京都市/名古屋市から順次全国に拡大し、2013年には人口カバー率で約70%までサービスを展開するとしている。


端末および販売計画のイメージ エリア展開スケジュール

木村社長「通信産業の活性化と豊かな社会実現に貢献したい」

(左から)NTTドコモの中村社長とアッカ・ワイヤレスの木村社長
 アッカ・ワイヤレスの木村社長は、「グローバルスタンダードをベースにした、オープンかつ水平分業モデルを目指したい」とコメント。その上で、「モバイルビジネスの変革」と「ワイヤレスサービスの変革」の実現を掲げ、「日本の通信関連産業の活性化と、ユビキタスサービスによる豊かな社会の実現に貢献したい」と抱負を語った。

 NTTドコモの中村維夫 代表取締役社長は、すでに発表済みの無線ネットワークや技術に関する技術協力に加えて、ドコモブランドでのサービス提供を表明。「ワイヤレスブロードバンドが進展することで、映像ストリーミングができないといった除外規定がない完全な定額制サービスが実現できる」とした。

 また、新たにパートナーとなった企業のうち、TBSはモバイルWiMAXを利用したリアルタイム配信サービスに加え、有料コンテンツサービスのプラットフォーム開発も検討。三井物産は課金認証などをアウトソーシングするMVNE事業で協力を行なう考えだという。また、KTはグローバルローミングなどの面で協力するとしている。

 ISP5社は、MVNOによるモバイルWiMAXサービスに加え、販売協力や同サービス上での新事業などを視野に展開を進めていく。なお、朝日ネットを除いた4社は、イー・アクセスとソフトバンクを軸とした「オープンワイヤレスネットワーク」にも出資している。これについて4社では、「ADSLやFTTHと同様に、ユーザーのサービス選択や利便性に応えるためだ」とその理由を説明した。

 アッカ・ワイヤレスの木村社長は、KDDIが軸の「ワイヤレスブロードバンド企画」について、京セラやインテルなどメーカーが参加している点を「オープン性を担保してサービスを展開する上で、ハードウェア企業とのパートナーシップは現時点であまり良い決断とは言えないと思う」とコメント。また、鉄道に関してはアッカ・ワイヤレス、ワイヤレスブロードバンド企画ともに参加しているが、「できるだけ多くの業界・分野とMVNOのポテンシャルを含めて拡大すること重要で、鉄道はその1つ」と語り、「我々だけの新しいパートナーや事業・業界という広がりもある」と付け加えた。


参加表明済みのパートナー企業と担当分野 アッカ・ワイヤレスを軸にサービスや端末、放送連携などの広がりを視野に入れる

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.acca.ne.jp/release/071011.html

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(村松健至)
2007/10/11 19:48
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