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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ソフトバンク株主総会が開催。「携帯電話事業は必ず参入する」と孫社長

 ソフトバンクは24日、第24回定時株主総会を開催した。株主総会には1,369名の株主が参加、様々な質問が投げかけられた。総会後に行なわれた経営近況報告会では、代表取締役社長の孫正義氏が携帯電話事業へ強い意欲を示した。

 株主総会では、ソフトバンクグループが最も注力するブロードバンド事業の説明が行なわれた。Yahoo! BBの接続回線数は3月末で400万を突破。今後も顧客数の拡大を図り、9月末までに600万回線の獲得を見込むという。また、「Yahoo! BB 45M」のような高速ADSLサービス、「BBフォン」「無線LANパック」といったオプションサービスの投入により、顧客あたりの平均収入と変動利益率も向上しているという。

 ブロードバンドインフラ事業以外の連結営業利益は大幅に増加しており、インターネットカルチャー事業では広告やオークション、ショッピング事業が順調なほか、イーファイナンス事業ではソフトバンク・インベストメントによるワールド日榮証券の子会社化、イートレード証券の業績が好調に推移していると説明。このほかYahoo! BB向け映像配信サービス「BBTV」のサービス拡充などが紹介された。

 また、2004年2月に発覚したYahoo! BBの顧客情報漏洩事件については、二度と同じことを引き起こさないよう、649項目における具体的な対策を実施。今回の事件を真摯に受け止め、保有する情報資産の保護に努めるとした。

 株主総会の議案としては、配当金を前期と同額の1株7円にするほか、本社の移転、監査役辞任に伴う新監査役1名の選任、退任取締役への慰労金贈呈、ストックオプションとしての新株発行などが挙げられ、いずれも過半数をもって可決された。

 株主からは「ソフトバンクの従業員平均勤続年数2.71年は短いのではないか」との質問が投げかけられた。孫社長は「この平均勤続年数はソフトバンク単体であって、グループではもう少し長い」と断わった上で、「急成長している企業であり、特にソフトバンクBBは事業を開始して3年。中途採用だけは足らずに派遣や業務委託をたくさん使っていたのも事実で、その結果今回のような事件が起きてもおかしくない環境だったと反省している」とコメント。「一般論では新卒や中途からの正社員に比べて業務委託や中途はロイヤリティに欠けるのは事実であり、5,000名の社員募集も含めてしっかりした社員を集めていきたいと考えている」と語った。


21世紀のライフスタイルカンパニーを目指す

 株主総会の後には引き続きソフトバンクの経営近況報告会が開催された。報告会では四半期ごとの営業損益推移が示され、孫社長は2002年度第4四半期を底として営業損益が回復しつつある点を強調。また、日本テレコム買収後も4,406億円の流動資産と未使用分の銀行借入額1,000億円があり、「十分に潤沢な資金が手元にある」点も説明された。

 ソフトバンクグループの今後の展開として孫社長は「21世紀のライフスタイルカンパニーを目指す」と宣言。短期間で伸びるがブームが去れば売れなくなってしまう商品ではなく、人々の生活様式そのものを変えてしまう製品やサービスを提供していく考えだという。孫社長は「ブロードバンドは3年間で世帯普及率30%を突破したライフスタイル商品であり、これから本当の使い勝手やアプリケーションが伸びていく」と語った。

 孫社長は「ナローバンドの時代はほぼ1社が独占していたため、先進国の中でも最も高く、遅く、保守的なネットワークだった」と指摘。「国の開放政策によって民間でも参入できるチャンスが生まれたため、日本は革新的なブロードバンドを実現した。インフラがしっかりしていれば国家は繁栄するものであり、21世紀はブロードバンドが普及した国が国際競争力を持つ」と、ブロードバンドの重要性を説いた。

 ソフトバンクグループのビジネスモデルは、ユーザー数という面を獲得した上で付加価値を高めていく「面を取って深堀するやり方」で進めてきたと孫社長は説明。そのためには回線数の獲得が不可欠であり、「見てくれは下品だが体験してもらえばわかるという考えのもと、路上でのモデム配布を続けてきた」と語った。また、日本テレコムを買収したことで法人サービスを強化、さらなる面確保と深堀が可能になるとの見通しも示した。


携帯電話事業は「必ず参入」。光ファイバも「準備はできている」

 株主から「孫社長は株主価値を高めると発言しているが、現状ではそれほど価値が高まっているとは思えない。自身を“ほら吹き孫”と称していた頃の調子で今後の展開を語って欲しい」との要望が飛ぶと、孫社長は「あくまで“ほら”だと思って聞いてください」と前置いたのち、「利益で1兆、2兆と数える規模になりたい」とコメント。「“ほら”ではあるが、完全に不可能だと思っているわけではない。大切なのは思いを持つこと」と付け加えた。

 移動体通信事業への参入に関しては「携帯電話事業はどんなに時間がかかろうとも、どんな方法でも必ず実現する」と宣言。「ただし、携帯電話事業は免許事業であって、周波数がなければできない。いつ、どのような形で免許が下りるかはわからないが、真剣に実験した上で検討を進めていく」と語ったのち、「どの免許が下りて、どの周波数帯が使えるかでテクノロジーも変わってくる。これは戦略的な要素なのでコメントは控える」と締めくくった。

 光サービスへの参入については「何年も前から用意しており、法人向けには千数百社にサービスを提供しているほか、マンション向けの試験サービスも行なっている。法の規制緩和とNTTとの接続といった問題があったために本格展開とはいかなかったが、課題の前進も見られており、光ファイバサービスへ取り組む準備をしている」とコメント。ただし、こちらも時期や価格などは控えられた。

 総会に参加した学生から「ソフトバンクで求める学生像は」と聞かれると、孫社長は「理念を共有して一緒に志を持ってもらえる人物」と答えたのち、「若者にはそういう熱い思いを持って社会に出ていただきたい」として説明会を締めくくった。


関連情報

URL
  ソフトバンク
  http://www.softbank.co.jp/

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(甲斐祐樹)
2004/06/24 19:23
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