10月30~31日の2日間、六本木ヒルズ内のイベントスペースにて「ネットシネマカーニバル」が開催された。ブロードバンドタワー 代表取締役の大和田廣樹氏が委員長を務める実行委員会主催の下、トークショウに映画試写会、新会社設立発表など、ブロードバンドコンテンツに関する様々な説明・発表が行なわれた。
■ 堀江社長トークショウ、PRIDE調印式からスタート
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調印終了直後の一コマ。高田延彦PRIDE統括本部長と榊原信行ドリームステージエンターテインメント代表取締役社長も立ち会った
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10月30日のイベントは、まず大和田氏による開会挨拶に続いて、演出家のテリー伊藤氏とライブドア代表取締役社長の堀江貴文氏によるトークショウからスタート。テリー氏が取り組む、インターネット向けオリジナルコンテンツの企画が発表された。現代の同棲事情を掘り下げた番組や、堀江氏を追ったドキュメンタリー企画などが既に進行中だという。
続いては、総合格闘技イベント「PRIDE.28」のタイトルマッチ調印式。対戦予定のヴァンダレイ・シウバとクイントン・ランペイジ・ジャクソンの両名が姿を現わし、体重計量とタイトルマッチ宣言書へのサインを行なった。
この調印式自体は直接ネットコンテンツとは関係ないものの、シウバ、ジャクソンの両選手が出演する映画「殴者」に、ネットシネマカーニバルの協賛企業であるアーティストハウスが携わることもあって実施されたという。イベント当日は、試合を翌日に控えていたこともあり、マスコミやファンの注目を集めていた。
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会場では計量も実施
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堀江氏は花束贈呈の際にも登場し、報道関係者にせがまれてファイティングポーズを披露した
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■ “口コミ”がテーマの音楽配信会社を新設
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左からアーティストハウス 代表取締役社長の楠部孝氏、音楽プロデューサーの楠瀬誠志郎氏、ブロードバンドミュージックコミュニケーションズ 代表取締役社長に就任する高田清氏
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ネットシネマカーニバルでは、11月4日付で設立予定の新会社「ブロードバンドミュージックコミュニケーションズ(BBMC)」に関する会見も行なわれた。アーティストハウス、アイ・シー・エフ、ブロードバンドタワー、レッドライスメディウムの4社が出資する、音楽配信に向けた合弁会社という位置づけで、資本金は2,000万円。
BBMCの設立趣旨について、同社の代表取締役社長となる高田清氏は「『あの曲、いいよね』という“口コミ”を、(ビジネスの)システム上にのせること」と説明する。
「口コミは情報が広がっていく基本。インターネットの双方向性ともズバリ、マッチする」と続け、口コミの力を十分に活かせるような仕組み作りをしていきたいと語った。具体的にはネット上における音楽番組の配信、音楽を主体とした企業広告・プロモーション手段の提案、音楽レーベルの設立支援という3事業を核にすえるという。
またアーティストハウス 代表取締役社長の楠部孝氏も、出資企業の代表として登壇。「いい音楽はどんな形でもいい音楽。CDであるかダウンロードしたものであるかは関係ない時代だ。そんな中で一番いいプロモーション・楽曲販売をしていきたい」と、新会社に期待を寄せ、ゆくゆくは100万枚のCDセールスを達成したいと話した。
BBMCでは、すでに実際の楽曲製作を進めているという。「2005年春頃には、みんなが驚くような曲を発表できる(楠部氏)」。さらに音楽プロデューサーの楠瀬誠志郎氏が代表になる音楽レーベルの設立支援も決定している。
楠瀬氏も会見に同席し、さまざまな企画にチャレンジしていくことを表明すると共に、具体的なプランの一例として“楽曲先行型”の音楽作りを挙げた。「今までの楽曲プロモーションは、まず有能なアーティストを見つけ出し、その個性にあった楽曲を後から探す、“アーティスト先行型”のものがほとんど」と楠瀬氏は現状を説明。そして「誰でも口ずさめるような、単純なわかりやすいサビ」こそがヒットの条件とも語る。
「まずはサビの部分だけを作り、それをネットで人気投票にかける。そこから口コミで人気の広まったどれか1つに対してメロディを付け足していき、できあがった楽曲にあわせてアーティストを起用する」という逆転の発想で、楽曲製作に望んでいきたいと熱っぽく説明した。
さらに「CDが欲しいと思ってくれる人も、あと5年くらいはいてくれると思う。今後は『100万枚CDが売れた』ではなく、『100万ダウンロードされた』という言い方に必ずなる」と、音楽配信の重要性を説いた。
■ 「子供兵問題」のドキュメンタリーを配信
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プロジェクトのテーマ曲を提供する森友嵐士氏(元T-BOLAN)もビデオレターを寄せた
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アーティストハウが取り組む社会貢献プロジェクト「Peace Children」も発表された。アフリカのウガンダで問題になっている「子供兵問題」をより多くの人に知ってもらおうという活動で、まずは特設サイトを通じ、現地のドキュメンタリー映像を無料配信する予定だ。
ウガンダは現在、政府軍と反政府勢力による内戦状態にある。同プロジェクトでは「、反政府勢力は、子供たちを兵士として働かせているほか、子供に地雷源を歩かせて地雷探知機代わりにするような行為が繰り返されいる」とし、こういった現状を、少しでも多くの人に伝えようというのが趣旨だという。
取り組みの発端は、楠部氏が懇意にする森友嵐士(元T-BOLANのボーカリスト)氏より、ウガンダの窮状を伝え聞いた事にあるという。イベントのステージ上では、これらの経緯説明に加え、ウガンダ現地で撮影したビデオを上映。楠部氏は「何事もまず知る事から始まる。問題を伝達するための手伝いが少しでもできれば」と心境を語った。
ドキュメンタリー映像の配信は、Webサイト「ネットシネマ」で12月下旬のクリスマス頃をメドに開始する。森友氏も自ら唄う未発表楽曲「one room」をテーマソングとして提供する。ともに料金無料で視聴できる予定。
なお、30日に行なわれたネットシネマカーニバル1日目には、紹介したイベントのほかにもオリジナル連続ドラマ「SCRAMBLE」「Dreamer's High!」の上映会が行なわれた。また、。翌31日の2日目には映画監督の林海象氏、俳優の佐野史郎氏を招いてのトークショウや、新作ネットシネマの完成披露舞台挨拶・試写会が行なわれた。
■ URL
ネットシネマ
http://www.netcinema.tv/
ネットシネマカーニバル
http://www.netcinema.tv/carnival/
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(森田秀一)
2004/11/01 11:51
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