KDDIは15日、小野寺正社長の定例記者会見を行ない、今年1年の同社の取り組みを振り返るとともに、災害用伝言板サービスの提供開始や2005年3月オープン予定の「KDDI DESIGNING STUDIO」についての発表を行なった。
■ 通信業界が大きな変革期を迎えた2004年
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KDDIの小野寺正社長
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小野寺社長は2004年を振り返り「通信業界が大きな変革期を迎えていると感じている」と語り、電気通信事業法の改正、ソフトバンクによる日本テレコム・ケーブルアンドワイヤレスIDCの買収、パワードコムとフュージョンコミュニケーションズの電話事業の統合、NTTの基本料金の見直しなどを大きな出来事として挙げた。
KDDIグループとしても、DDIポケットをカーライルグループに事業譲渡したほか、ツーカーグループの完全子会社化を決定し、固定通信の法人営業部門を再編した子会社を発足するなど、KDDI本体に比較してやや遅れていた子会社群の再編成を行ない、KDDIグループ全体の強化を図ってきたとした。
携帯電話事業については、2003年末に導入したパケット定額制を改定した「ダブル定額」を導入するとともに、デザインを重視した「talby」や通常のWebサイトが閲覧できる「PCサイトビューアー」搭載端末などの発売、楽曲配信サービスとなるEZ「着うたフル」の開始などを進めた結果、J.D. パワー アジア・パシフィックの調査によれば全国9地域中8地域で顧客満足度が第1位となるなどの成果が得られたとした。
また、auの年末年始の通信対策として、例年大晦日から元旦にかけて通話やメールなどが増大することから、監視体制をさらに強化するとした。この時間帯には最大で85%程度の発着信規制を実施することも考えられることから、大晦日から元旦にかけての利用はできるだけ控えていただきたいとユーザーに呼びかけた。
固定通信事業については、直収型のIP電話サービス「メタルプラス」を2005年2月から開始するとともに、FTTHについても2005年1月から戸建て住宅向けの「光プラスホーム」を開始し、2007年度末の固定電話網オールIP化に向けて事業を推進するとした。
■ 2005年はCDMA 1X WINとメタルプラスを積極的に展開
2005年の事業については、魅力的なコンテンツの拡張を図りつつ、au事業ではCDMA 1X WINの浸透に努力するほか、メタルプラスによる固定通信の顧客獲得を積極的に進めるとともに、光プラスなどブロードバンドを着実に展開することで、同社の中長期的な発展を確実なものにしていきたいと語った。
新たなサービスとしては、「災害用伝言板サービス」を2005年1月下旬から開始することを発表した。被災地域の居住者でau携帯電話の利用者について、EZwebから安否情報などを登録できる伝言板を提供するもので、登録された情報は電話番号による検索が可能。EZwebやインターネットからの閲覧もできる。また、NTTドコモが提供する「iモード災害用伝言板」との相互リンクを実施し、検索で該当者がなかった場合などに双方の伝言板へのリンクを表示するとしている。
また、2005年3月には東京都渋谷区神宮前に企業コミュニケーション施設「KDDI DESIGNING STUDIO」をオープンし、auやKDDIのブロードバンドサービスが体験できるショールームやイベントスペースを設けることが発表された。
■ ルールに基づいた参入であれば歓迎だが、ソフトバンクの主張は理解できない
質疑応答では、携帯電話事業についてソフトバンクが800MHz帯での新規参入を求めていることに対する質問が多く寄せられ、小野寺社長は「ルールに基づいた参入であれば、認めるのは当然であるし歓迎する」とした。
ただし、「今回の話は、本来は2GHz帯のTDD方式用にリザーブされていた帯域について、どの事業者が参入するかという話。世界的に見ても、新しい通信方式を利用する場合には新しい周波数を割り当てるのが一般的。TDD方式で新規参入するのであれば技術の発展という面からもぜひやってもらいたいが、既存の技術で既存の周波数帯に入りたいというのはいかがなものか」と述べ、800MHz帯での新規参入を求めるソフトバンクの孫社長の主張については「まったく理解できない」と語った。
■ URL
ニュースリリース(災害用伝言板サービスの提供開始について)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/1215/index.html
ニュースリリース(KDDI DESIGNING STUDIOの開設について)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/1215a/index.html
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(三柳英樹)
2004/12/15 20:25
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