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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
J-COM上場会見「100Mbpsサービスの投入ですべてのサービスに優位性が」

 ジュピターテレコム(J-COM)は23日、ジャスダック上場に関する記者発表会を開催した。発表会では2004年度の連結業績や今後投入予定の新サービスの概要、上場を機に一新した新ロゴなどが明らかにされた。


100MbpsインターネットやHDD内蔵STBを2005年中に投入

J-COMの森泉知行社長
 2004年度の営業収益は、2004年8月より連結子会社となったケーブルシステムや加入世帯数の増加により前年同期比13%増の1,613億円を達成。営業費用は加入世帯数増による番組費用の追加、カスタマーセンター費用の増加、新規ユーザーへの回線設置といった要因から前年同期比で7%減の1,388億円となったものの、固定費を抑えるなどの努力により、営業利益は前年同期比71%増の226億円となった。

 J-COMの加入世帯数は、テレビ放送サービス「J-COM TV」が前年同期比4%増の159万2,500世帯、インターネット接続サービス「J-COM Net」が前年同期比19%増の75万1,600世帯、電話サービス「J-COM Phone」が前年同期比39%増の77万3,000世帯。J-COM全体の総加入世帯数は前年度同期比7%増の187万3,000世帯で、複数サービスの加入率は前年同期の1.55から1.66へと伸びを示した。

 J-COMの森泉知行社長は、「本日をもってジャスダックへ上場した。公開会社としての責任と社会的使命をあらためて自覚するとともに、ユーザーや株主の期待に応えるべく努力してきたい」との豊富を語ったのち、「J-COMは今年で10周年を迎える。今までを成長の第1段階とするなら、今年は新たな成長の第2ステージになる」との意欲を見せた。

 2004年には、4月にデジタルテレビ放送サービス「J-COM TVデジタル」を開始し、これまでに25万世帯のユーザーを獲得。さらに2005年1月からは、CATV事業所としては初めてというVODサービスをJ-COM TVデジタル向けに開始した。また、HDD内蔵型のSTBもすでに開発に入っており、2005年中には市場投入したい考えだという。

 インターネット接続サービスでは、2005年中にc.LINK技術を採用した最大100Mbpsのサービスを投入予定で、すでにサービスの最終的な検討に入っているという。電話サービス「J-COM Phone」では、初めてIP網を採用した電話サービスを札幌局で開始。0AB~J番号が利用可能なほか、緊急通報やナンバーポータビリティにも対応している点が特徴で、森泉社長は「テレビ放送、インターネット、電話の3サービスを総合的に提供できるのがJ-COMの強み」と自信を示した。

 FTTHによるサービスも「すでにノードまでは光ファイバ化されているため、ノードからユーザーまでを光ファイバ化すればいつでも実現できる(森泉社長)」ことから提供も検討しており、すでに新築マンションから3、4件の受注があるという。森泉社長は「CATVも100Mbpsのサービスは実現できる。なおかつ建設コストを考えればCATVが3、4分の1は安い。優位性はCATVにある」とした上で、「高級新築マンションでは、マーケティングとして光ファイバ化の要望も多いため、そういう物件には柔軟に対応していきたい」とした。


インターネットの100Mbps化ですべてのサービスに優位性が

J-COMの新ロゴ
 森泉社長は、「CATVは『100Mbpsが実現できない』と世に言われているが、2005年中に100MbpsのサービスをCATVで実現すれば、コスト比較では圧倒的にCATVが上。放送サービスも、IP伝送でやっているところは地上波の再送信ができない。電話サービスも様々な事業者が参入しているが、NTTの回線に頼ることなくラストワンマイルまでの電話サービスを提供できるのは我々だけ」と指摘。「劣っていると言われるインターネット接続サービスを100Mbps化することで、すべてのサービスにおいて我々は優位性を持つことになる」との考えを示した。

 今後は年に3、4社のCATV買収を視野に入れたエリア拡大と、複数サービスの加入率増加により収益を高めていく方針。また、すでに投入しているVODサービスに加え、ホームセキュリティやホームモニタリング、ローカルショッピングといった新たなサービスの投入も検討しているという。森泉社長は「複数のサービスを1カ所で提供することは、何かあった場合も1カ所で対応できるということを意味する。ユーザーにとって利便性も高い」と説明した。

 一方で森泉社長が危惧するのはデジタルデバイド。森泉社長は「デジタルのリモコンが使いこなせないというユーザーも相当数に上り、便利なサービスの投入がサービスを複雑化している面もある」とコメント。「複雑化したサービスを30秒のCMスポットだけで売れるのだろうか。セールスマンが実際の顧客に応じてきめ細かく商品を提供できるCATVは圧倒的な強みだろう」と自信を示した。

 モバイル事業への展開も、既存の携帯電話事業者との提携といった方向で検討を進めるほか、HDD搭載STB向けに携帯電話からの録画予約サービスなども2005年末までに投入予定だという。森泉社長は「日本はスカパー!やCATVの加入率もまだ低く、成長余力は大いに残されている。今はパイを取り合うのではなく、いかに市場全体を大きくしていくかが重要だろう」との考えを示した。


関連情報

URL
  J-COM
  http://www.jcom.co.jp/

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(甲斐祐樹)
2005/03/23 19:51
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