ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、東京都新宿区にある飲食店「BUTTU TRICK-BAR 新宿」で4月14日にプレスカンファレンスを開催し、同社が運営する第3弾MMORPGの「TANTRA」の正式サービスを4月27日15時より開始すると発表した。アイテム販売による課金制を採用し、基本料金は無料。
■ ガンホーのMMORPGタイトルとして初めてアイテム課金制を採用
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プレスカンファレンスにはタケカワ氏(中央)をはじめ、ガンホーの森下社長(左から2番目)らが出席した
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TANTRAは、2004年12月10日にオープンベータサービスを開始したMMORPG。韓国HanbitSoftが開発したタイトルで、ヒンドゥー神話をモチーフにしたオリエンタルな世界を舞台にしている。
アイテム課金制の採用について同社では、先行して正式サービスを開始している韓国でも同様にアイテム課金制が採用されており、長期にわたって同タイトルの支持が集まっていると説明。そうした状況を踏まえて、同社が運営するMMORPGタイトルとして初めてアイテム課金制を採用することを決定したという。
TANTRAでのアイテムは「プレミアムアイテム」という名称で販売が行なわれ、価格帯は20円~2,500円。正式サービス開始時には、スキルやチャクラを初期化して再分配できるアイテムをはじめ、TANTRAでのギルド的組織である「アシュラム」の紋章変更、キャラクターの顔や髪型変更アイテムなど合計40種類を用意。一定期間ステータス上昇などが福袋も複数販売され、最上位の福袋は2,500円の「パールヴァティの福袋」になるという。
プレミアムアイテム購入時には、ガンホー公式サイトのアトラクションセンターで販売される「ShopPoint」を利用する。ShopPointは正式サービス開始当日の12時より販売が開始され、クレジットカードやWebMoney、Edy、G-MONEYにより購入可能なほか、コンビニエンスストアで購入できる「ガンホープチチケット」にも今後対応予定だという。
なお、同社では正式サービス開始後ユーザーのアイテム購入状況を判断した上で、1カ月あたりに購入できるShopPointの上限設定も検討したい考えだという。
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アイテムの価格は20円~2,500円までで、サービス開始時には40種類を用意
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紋章の変更や、スキル・チャクラの再振り分けといったアイテムも
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プレミアムアイテムを装備したキャラクター
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■ 「主神戦」「カーリーの奈落」を実装へ。今後の計画も明らかに
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主神戦の概要
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TANTRAでは正式サービス開始に合わせて、「主神戦」や「カーリーの奈落」を実装するなどの大幅アップデートが実施される。
主神戦は、ゲームプレイ時に各プレイヤーが信仰の対象として選択した「ブラフマー」「ヴィシュヌ」「シヴァ」の3主神の名の下に、他の主神に仕えるプレイヤー間と三つ巴の戦闘を繰り広げるシステム。聖地にある「カーラ」と呼ばれる9つ宝玉のうち、5つのカーラを先に支配した主神陣営が勝利をおさめることができる。勝利した主神陣営は、“神々の遊戯場”である「チャトランガ」へ他陣営に先駆けて挑戦でき、新たな試練や宝物を取得することが可能。なお、敗北した主神陣営も一定時間経過後、チャトランガへと入ることができる。
チャトランガは25個の部屋がある将棋盤のようなマップで、マップ内に存在する神軍を倒しながら、鍵を合成して次の部屋へと進んでいく。王の居室を守る「玄武」を倒すことで、ボスキャラクターである「羅剛」との戦闘が可能になるという。
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主神戦では各主神を信仰するプレイヤー間で三つ巴の戦いが繰り広げられる
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チャトランガは天空に浮かぶ城
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チャトランガで登場する「羅剛」
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一方、ヒンドゥー神話でシヴァの婦人とされている「カーリー」の名を冠する「カーリーの奈落」は、1日に数回決まった時間に1時間だけ滞在できるマップ。主神別に3マップ、レベル別(30~45/46~61/61以上)の3マップに分かれ、合計9つの奈落が存在する。
カーリーの奈落は、通常のフィールドよりもプラーナや収集品がより多く得られるマップだが、奈落内に存在す敵キャラクター「マーラ」の能力も通常よりも高く設定されている。同マップについて、アップデート内容の説明した同社コンテンツ開発部第3開発グループの田口敏之氏によれば、「ガンホーでは仲間と協力してクリアを目指すマップと位置づけている」と述べた。
なお、正式サービスの準備期間として4月25日10時よりゲームサービスを一時中断するとしている。
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カーリー
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カーリーの奈落では、主神別、レベル別に合計9つの奈落が用意される
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■ 日本風のマップが登場する「Kathana III」を世界初公開
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始皇帝陵
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田口氏はまた、正式サービス開始以降に実装を予定するアップデート内容も明らかにした。5月には「流配地」での新クエストが追加されるのをはじめ、6月から7月にかけてレベル60以上のキャラクターを対象にした新マップ「始皇帝陵」が実装される。
始皇帝陵は、北斗星君が築いた巨大な地下墳墓を舞台にしたマップで、王を守る兵馬俑などとの戦闘が待ち受けている。田口氏によれば、「始皇帝陵は敵キャラクターが、ユーザーを本気で全滅させるようなマップに仕上がっている」という。
また、8月~9月にはアシュラム間で要塞を奪い合う「要塞戦」が実装予定で、田口氏は「バトルロイヤル的な要素が盛り込まれたマップで、巨万の富を得ることもできる」と説明した。要塞戦では加えて、ペルシャ風の衣装を着た専用アイテムを販売するNCPなども登場するという。
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始皇帝陵を守る護衛兵
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要塞戦は8月~9月に実装を予定
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ペルシャ風の衣装をまとったキャラクターも登場する
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このほか田口氏は、2005年秋から冬頃にかけて実装を予定するという日本風マップ「Kathana III(正式名称未定)」を世界で初めて公開した。同氏によれば、日本風マップはガンホーとHanbitSoftが全面協力して制作しているマップだという。カンファレンス会場ではイメージイラストが数点公開されるにとどまったが、田口氏は「資料をHanbitSoftに送った甲斐もあり、日本風なイラストが仕上がったと思う」とコメントした。また、ガンホーでは今後のアップデートとして主神スキルの実装も進めていくという。
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日本風マップで登場を予定するキャラクターのイメージイラスト
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弓使いなどのイラストも公開された
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女性キャラクターも登場するという
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■ バイオハザードなどを手がけた「フラグシップ」制作によるイベントも
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ガンホーの森下社長
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プレスカンファレンスでは加えて、TANTRAのマーケティング展開などについての説明も行なわれた。
冒頭登壇したガンホーの森下一喜代表取締役社長は、「オンラインゲーム市場全体のユーザー数が約1,900万人、課金ベースでは約265万人に上っている」とオンラインゲームフォーラムが4月に公表した「オンラインゲーム市場統計報告書2005」について触れた。その上で、前日まで出張していたという台湾について「市場が成熟してきている印象で、日本市場もますます成長していくだろうと認識した」と述べた。
また同社のスタンスに関しては「当社オリジナルタイトルも公表しているが、前提としているのはあくまでパブリッシャーであり、どちらのタイトルも重要である」と語った。TANTRAの正式サービスについては、「新しい試みを取り入れるとともに、韓国や台湾といったビジネスモデルを検討していく中で、当社の経営理念である“挑戦と創造”という部分にもチャレンジしていきたい」と抱負を述べた。
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同社が運営するMMORPG3タイトルの位置づけ
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ガンホーにおける「TANTRA」の位置付けについては、マーケティング部第2企画グループの小島幸博マネージャーから説明が行なわれた。小島氏は同社が運営するMMORPG「ラグナロクオンライン」と「A3」、「TANTRA」各タイトルのゲームカラーを紹介した上で、「TANTRAはプレミアムアイテムがキーになる、気軽に楽しめるタイトル」であると説明。「ゲームが持つスピード感や爽快感も、1つの売りになっている」とした。
加えて、「TANTRA」「A3」の2タイトルに関して、「バイオハザードシリーズ」などの家庭用ゲームの脚本や企画、開発を手がける「フラグシップ」とコラボレーションしたゲームイベントを投入することを明らかにした。公開時期は両タイトルともに未定。
TANTRAでは、イベント用の登場人物が舞台劇のように長いセリフを語ったり、ゲーム特有の喜怒哀楽をキーワードにしたイベントを展開される予定。同社では「TANTRA千夜一夜」という名称で、第1回イベント「戦乱の叙事詩『マハーバラタ』(仮称)」など合計8イベントの提供を予定する。
また、A3では「A3ドラマティックレボリューション」という名称でTANTRAと同様に合計8本のイベントを提供予定で、第1回イベントタイトルは「悪魔に魅入られた子」だという。
小島氏は、フラグシップとの協力に関して「これまでGMが主体だったイベントから、日本のコンシューマゲームを手がけるフラグシップのシナリオを活かした新しいイベントである」とコメントした。
このほか、マーケティング部第2企画グループの神崎崇氏からネットカフェなどでのマーケティングプランも一部発表された。神崎氏によれば、スタータキットの販売も予定するほか、TANTRAで利用できるチケットが付属した「TANTRAカレー」の企画が進んでいることを明らかにした。また、ゲーム中に登場するラクシャを実際に登場させる「ラクシャガール・プロジェクト」も進めているといい、「TANTRAカレーにとどまらず、マーケティング施策を進めていく」と抱負を語った。
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フラグシップとの協力によるイベントは、TANTRA、A3で各8本ずつ提供される
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TANTRAカレーのパッケージイメージ案。かなりの辛さになるという
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主神戦に連動して、大阪のネットカフェに設置してあるTANTRA神社が移動する企画も検討中とのこと
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■ ガンダーラのTANTRAバージョン制作も発表
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タケカワユキヒデ氏
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合わせて、同タイトルイメージソングであるゴダイゴの「ガンダーラ」のTANTRAバージョン制作も発表された。
プレスカンファレンスには、TANTRAバージョンの制作とアレンジを担当するタケカワユキヒデ氏が出席した。同氏は、「ガンダーラを作曲した当時はオリエンタル的な楽曲がなかったので、曲調については西洋風にアレンジしていた」と当時を振り返り、「TANTRAバージョンでは、曲調についても打楽器を取り入れるなどオリエンタル風に変えようと思っている」と述べた。
また、娘2人と結成したユニット「T's COMPANY」としても制作を進めているとのことで、「日本語、英語、T's COMPANYバージョンに加えて、娘2人がボーカルを務める女性ボーカルバージョンも作りたい」とコメント。一方、同氏によれば「『ガンダーラ』は一番有名な楽曲なのに『銀河鉄道999』や『モンキーマジック』などと比較して、これまで使用される機会が少なかった」という。今回TANTRAで採用された点に関して「思い入れのある楽曲でもあり非常に嬉しく感じる」と述べた。その上で、「制作楽曲はTANTRAの世界観を踏襲した楽曲になるのは間違いない」と語り、TANTRAバージョンへの意気込みを語った。
■ URL
TANTRA公式サイト
http://www.tantraonline.jp/
ニュースリリース
http://www.gungho.jp/press/050.asp
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(村松健至)
2005/04/14 19:45
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