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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
アセロス、モバイルに特化した小型の無線LANプラットフォーム「ROCm」

 アセロス・コミュニケーションズは、モバイル機器に特化した新しい無線LANプラットフォーム「ROCm(Radio-on-Chip for Mobile)」を発表した。ROCmの第1世代製品であるIEEE 802.11a/g準拠の「AR6001X」、IEEE 802.11g準拠の「AR6001G」はともにサンプル出荷中で、価格は12ドル程度。


MAC、ベースバンド、RFをワンチップ化した無線LANチップセット

ROCmのSDIOソリューションとCSP(Chip Scale Package)ソリューション
 ROCmは、MAC、ベースバンドプロセッサ、RFをワンチップに搭載した無線LANソリューション。SDIOやSPI、16ビットローカルバスといった組み込み機器向けのインターフェイスも搭載するほか、バージョンによってはチップにROMを搭載することで、外部メモリの必要なくプログラミングの動作が可能になる。なお、すでに出荷されているAR6001X/GはROCmの第1世代製品のため、無線LAN高速化技術「Super A/G」、無線距離延長技術「eXtended Range(XR)」には対応しない。

 VoIP向けのQoSやローミング、パワーマネジメント機能も搭載しており、音声やストリーミングで用いる場合も有効だという。また、IEEE 802.11aにも対応したAR6001Xであれば、Bluetoothなども利用する2.4GHz帯とは異なる干渉のない8チャネルを利用できるため、よりすぐれたQoSやシステムキャパシティが実現可能としている。

 無線LANのセキュリティ設定ツール「JumpStart for Windows」もサポート。Atheros製品以外でもBroadcom、Marvell、IntelのCentrinoなどの無線LAN機器やMicrosoft Zero Configurationといったプロファイル管理ツールでも利用が可能な相互運用性を持つほか、通信を暗号化したのちに設定を行なうことでセキュリティも高められている。JumpStart採用製品としては、すでにコレガから無線LANルータ2機種が発表されている。


ROCmの概要


AR6000シリーズの構成 JumpStartもサポート

VoIP利用時では「既存製品の6倍の電力効率を実現」

米Atheros Communicationsのウィリアム・マクファーランドCTO
 ROCmの大きな特徴の1つが低消費電力性。アナログの回路に流れる電流を動的に調整するダイナミック・バイアシング、チップ内で使われていない機能をセクションごとオフにする機能を搭載。スリープモード自体も低消費電力化が図られているという。

 システムレベルでも、チップに802.11プロセッサを内蔵することでホストCPUの負荷を軽減、システム全体の消費電力を最小限に抑える。また、IEEE 802.11eのオプション要素であるAPSD(Automatic Power Save Delivery)もサポート。APSDではほとんどの時間において最も電力消費が低いスリープ状態を維持すると同時に、通信が必要な時に高速な伝送で行なうことで通信時間を最小限にするという。なお、APSDを利用するにはクライアントとアクセスポイントの両方がAPSDをサポートする必要がある。

 米Atheros Communicationsのウィリアム・マクファーランドCTOは、「APSDはパケットが定期的に送信されるVoIPやストリーミングといったアプリケーションに最適」と説明。「VoIPのようなトラフィックを扱っている場合であれば、他社の既存無線LAN製品と比較して電力効率を6倍向上できる」と自信を示した。VoIP以外の通信においても、現在はテストが完了していないために具体的な数値は明らかにできないが、他社の1/3から半分程度の電力消費を実現できる見込みだという。

 「AR6001X」「AR6001G」の量産出荷は2005年第3四半期を予定。マクファーランドCTOは、「小型で低電力であり、IEEE 802.11aとIEEE 802.11gに対応するデュアルバンドの機能は携帯電話やデジタルカメラ、音楽プレーヤーなどのモバイル機器に最適」とコメント。「Atherosは4年間IEEE 802.11aに取り組んできた。他社は今になって5GHz帯に取り組んでいるが、Atherosは業界の中でもっとも完全なソリューションと自負している」と語った。

 なお、現在標準化が進められているIEEE 802.11nに関しては、「Athrosが所属するTGnSyncとWWiSEの2つがほぼ50%ずつの構成比。どちらかの技術を採用するには75%の票が必要なため、何かしらの妥協案が必要だろう」とコメント。「Atherosは他のベンダーとの妥協の部分に関しても実現できるよう準備を進めている」とした上で、「2006年内にはIEEE 802.11nの標準化が完了するのではないか」との見通しを示した。


ROCmの特徴は低消費電力性。VoIP利用時には既存製品と比較して6倍の電力効率を実現するという


ASPDの仕組み ROCmは「業界でもっとも完全なソリューション」とマクファーランドCTOは自信を見せる

関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.atheros.com/news/ROCm_AR6001.html

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(甲斐祐樹)
2005/06/07 14:23
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