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PS3のブロードバンド機能をチェック(後編)

 前編ではPS3のネットワーク設定やブラウザ機能を中心にレポートした。後編ではネットワーク対応機能やコンテンツ配信サービスなどを中心に紹介する。


PS3本体用とオンライン用に用意された2種類のアカウント

PLAYSTATION Network
 PS3では、2種類のユーザーアカウントが用意されている。1つはゲーム内のデータ管理に使うユーザーデータ。もう1つはオンラインサービス「PLAYSTATION Network」用のアカウントだ。

 ユーザーデータは、ゲームのセーブデータなどを個別管理するために利用するもので、PS3起動時にどのユーザーデータでログインするかを選択する(自動ログインも可能)。ただし、PS2/PSなど前機種のセーブデータは個別管理できないほか、HDDに保存された動画や音楽、写真なども全ユーザー共通となる。

 PLAYSTATION Networkは、さらに「マスターアカウント」と「サブアカウント」の2つが用意されている。マスターアカウントは18歳以上を対象としたアカウントで、最大で16通りまで作成可能。サブアカウントは18歳未満も利用できるアカウントで、マスターアカウントがなければ設定できない。1つのマスターアカウントに対し、最大6通りのサブアカウントが作成できる。


起動時に選択するユーザーデータ PLAYSTATION NetworkのID

PLAYSTATION Networkのアカウントは「マスター」「サブ」の2種類
 マスターアカウントはサブアカウントに対し、チャットの利用制限や設定可能なほか、有料アカウントを利用するためのウォレットの使用限度額も月ごと0円から20,000円の範囲で設定できる。家庭で親がマスターアカウントで利用し、子供はサブアカウントで利用するというシーンが想定されているのだろう。課金はマスターアカウントと共通で、サブアカウントで購入した料金はマスターアカウントで決済される。

 これらの制限を除けばマスター、サブでの機能の違いはほとんどなく、取得方法もほぼ共通。メールアドレスをログインIDとして設定し、さらにPLAYSTATION Networkで表示される「オンラインID」を取得。オンラインIDはフレンド登録などに利用するため、重複アカウントは作成できないが、プロフィールに表示される名前は別途自由に設定でき、トロやピポザルといったゲームキャラクターなどをアイコンに表示できるアバターも100種類以上用意されている。

 ユーザーデータとPLAYSTATION Networkのアカウントは関連付けられており、例えば「ユーザー1」で作成したアカウントを「ユーザー2」で利用することはできない。また、1つの本体内で同じアカウントを複数のユーザーデータに設定することもできないようになっている。


PLAYSTATION Networkには登録したメールアドレスでサインイン アバターアイコン。ゲームキャラクターのアバターも用意されている

サブアカウントに設定できる機能制限 一度PLAYSTATION Networkに登録するとアイコンが変化する

フレンド登録やオンラインゲームへの招待が共通IDで可能

フレンド登録した他ユーザーの状況を確認できる
 アカウントを取得し、PLAYSTATION Networkにサインアップすれば、ユーザーIDを指定して他のユーザーをフレンド登録することが可能。フレンド登録したユーザーはログイン状況や、現在プレイ中のゲームなどを確認できるほか、メッセージの送受信なども可能だ。

 なお、プレイ中のゲーム表示を個別に表示・非表示にするといった設定はメニューの中では見つけられなかった。オンラインゲームの場合、1つのタイトルでフレンド登録したユーザーにすべてのゲーム状況が見られてしまうことを快く思わないユーザーもいるだろう。ユーザーをブロックする機能も搭載されてはいるが、できればユーザーごとにプレイ中のゲーム表示をカスタマイズする機能も望みたい。

 PLAYSTATION NetworkのアカウントはPS3向けソフトでも共通して利用可能で、フレンド登録した友達をゲームからオンラインプレイへ招待できる。ゲームへの招待はメッセージボックスで受信するが、受信したメッセージからオンラインプレイへ移行することはできず、ゲームを起動してからそれぞれのゲーム内で表示される招待を選択する。


IDを指定してフレンド登録依頼 プロフィールを表示できる

メッセージ送受信機能 オンラインプレイへの招待

オンラインプレイ時の遅延などはほぼ感じられず

招待はゲーム内でも受け取れる
 PS3と同時に発売されたソフトのうち、オンラインプレイに対応しているのは、FPS「RESISTANCE」とレースゲーム「RIDGE RACER 7」の2タイトル。今回は最大14人での同時レースが可能なRIDGE RACER 7で実際にオンラインプレイを試してみた。

 RIDGE RACER 7のオンラインゲーム機能は、PLAYSTATION Networkのアカウントがあればすべて無料で利用可能。タイトル画面から「ONLINE BATTLE」を選択するとメニューが表示され、オンラインプレイが楽しめる。PLAYSTATION Networkにサインインしていない場合は、ここからサインインすることも可能だ。

 オンラインプレイは1人のユーザーが「ルーム」を作成し、他のユーザーがそのルームに参加するという形式。ルームの参加人数や使用できる車種、レースのセッティングなどはルーム作成者が自由に設定できる。

 フレンドリストに登録した友達は、ルーム入室後に招待可能で、自分が作成していないルームであっても招待は可能だ。ルーム内ではあらかじめ用意された定型文によるチャットが可能で、「おはよう」「こんばんは」といった挨拶に加え、「そろそろレースを始めます」といったゲーム進行も可能だ。選択したテキストは自動翻訳されるため、海外のユーザーともコミュニケーションできる。

 実際にオンラインプレイを体験してみたところ、車が途中で止まる、別の場所に突然移動してしまうということは1回もなく、オンラインであることはまったく意識せずにゲームが楽しめた。最大人数である14人での対戦時でもネットワークの遅延などはほとんど起きていない。ネットワークは速度が低めである無線LANを利用していたが、オンライン対戦には十分だった。今後ユーザー数が増えれば影響は出るだろうが、現時点ではブロードバンド回線があれば十分にオンラインゲームを楽しめそうだ。

 面白かったのが「ヒーローインタビュー」機能。他のユーザーがレースクリア時に残したコメントが、ONLINE BATTLEのメニュー画面下にテロップ表示されるという機能で、ネットワーク上に他のユーザーがいる、という臨場感が感じられた。RIDGE RACER 7のオンライン機能は公式サイトでも詳しく紹介されているので、興味のあるユーザーはそちらも参照して欲しい。

RIDGE RACER7 リッジレーサー7 | モード紹介
http://namco-ch.net/ridgeracer7/mode/online.php


HD動画などを配信する「PLAYSTATION Store」

PLAYSTATION Store
 PLAYSTATION Networkでは、サインインすることでコンテンツ配信サービス「PLAYSTATION Store」も利用可能。ゲームの体験版や動画コンテンツのダウンロードに加え、追加アイテムやダウンロード専用ゲームの購入なども可能だ。追加アイテムは現在のところ「GENJI -神威奏乱-」用のアイテムが用意されている。

 11月11日のサービス開始時点でダウンロードできる動画コンテンツは無料サンプルのみ。DRMなども設定されていないため、PS3だけでなくPCでも再生できた。メモリーカードやUSB接続したPSPなどにも保存できるが、PSPではファイルが「非対応」と表示されて再生できなかった。

 ゲームは無料の体験版に加えて、オンライン配信専用ソフト「BLAST FACTOR」が購入できる。有料コンテンツの購入には、PLAYSTATION Networkの「ウォレット」へチャージが必要で、チャージは1,000円から20,000円の間で行なえる。現在のところチャージ方法はクレジットカードのみだが、チャージ方法の選択画面が用意されているため、チャージ方法の拡充も予定されているようだ。

 決済が終了してゲームをダウンロードすると、ダウンロード後にソフトが自動でインストールされる。本体を再起動する必要はなく、インストールした直後にプレイだ。ただし、ダウンロードしたゲームをプレイする場合には、毎回PLAYSTATION Networkのサインインによる認証が必要になる。自動サインインも設定できるので、ダウンロードゲームのプレイ頻度が高い場合には自動設定にしておくといいだろう。


ゲームや動画コンテンツなどが用意されている 1080pの動画コンテンツも

「GENJI -神威奏乱-」の追加アイテム ダウンロード履歴も確認できる

有料コンテンツは「ウォレット」にチャージして決済する チャージ方法は現在のところクレジットカードのみ

ゲームに留まらないネットワーク機能の充実

 前後編に渡ってPS3のネットワーク機能を見てきた。ネットワークの設定はそれほど難しいものではなく、無線LANの場合でもすでに家庭内に無線LANルータを導入しているユーザーであればさほど敷居は高くないだろう。

 ブラウザは動作がやや遅く、容量の多いサイトを開くとメモリ不足になり、いくつかのサイトを閉じなければいけなくなるなど、PCと同等とまではいかないものの、Webブラウジングには十分。ワイヤレスコントローラのショートカットやUSBキーボードを使うことで快適に操作できる。何かWebの情報を得たい時に、PCを立ち上げるよりもリビングにあるPS3でサイトを見る、ということが便利なシーンも多いだろう。

 オンラインゲームも、PLAYSTATION Networkという1つのIDを共通して利用でき、RIDGE RACER 7は無料でオンライン対戦が可能。PLAYSTATION Storeを使うことで、ゲームのシナリオやアイテムの追加など、パッケージ購入したゲームの機能を後から拡充することも可能だ。発売同日に開設された「Portable TV-HD」など、HDクオリティの動画コンテンツ配信も行なわれており、動画配信サービスにも期待が持てる。

 「エンターテイメントコンピューター」を謳うPS3だけに、ネットワーク機能もオンラインゲームだけではなく、さまざまな要素に盛り込まれている。ネットワークによる機能拡充も可能であり、携帯ゲーム機のPSPがすでにアップデートで多様な機能を追加搭載してきた実績があるだけに、PS3の今後の更なる機能拡充やサービス展開にも期待したい。


関連情報

URL
  PlayStation.com
  http://www.jp.playstation.com/

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(甲斐祐樹)
2006/11/14 10:52
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