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発売時点で利用できる任天堂「Wii」のネットワーク機能をチェック

 Xbox 360、PS3に続き、「次世代ゲーム機」と位置づけられた任天堂の「Wii」が12月2日に発売された。これら次世代ゲーム機に共通する特徴は、いずれも標準でネットワーク機能に対応している点にある。

 WiiではIEEE 802.11b/gの無線LAN機能を標準搭載し、オプションで有線LANでの接続にも対応。ゲーム以外にインターネットを利用した機能も多く用意されている。今回は発売時点で利用できるネットワーク対応機能を中心にWiiの概要をレポートする。


Wii 前面に電源とリセットボタン。カバーを開くとSDスロットとWiiリモコンとのSyncボタン 背面。アダプタやセンサーバー、映像出力端子の他にUSBポート×2を搭載

縦置き時の本体上部にはゲームキューブのコントローラポートとメモリーカードスロット 横置きも可能 Wiiリモコン。最初からストラップがつけられている

Wiiリモコン背面。単3電池と本体登録用のSyncボタン オプションコントローラの「ヌンチャク」を装着 本体とコントローラ以外の同梱品

PS3とのサイズ比較。高さや幅がPS3の半分程度


インターネット接続は「AOSS」「らくらく無線スタート」をサポート

初回設定時はWiiリモコンのAボタンを押せば登録が完了
 まずは、Wiiの起動からネットワーク設定までを確認してみよう。初回はWiiの電源を投入し、画面の指示に従ってWiiリモコンのAボタンを押すだけでWiiリモコンの登録が完了。2台目以降のWiiリモコン登録には、本体とWiiリモコンのSyncボタンを押すという登録作業が必要なことを考えると、同梱リモコンに関しては出荷時にあらかじめ設定が行なわれているようだ。

 Wiiリモコンの操作が可能になったら、後は画面の指示に従ってセンサーバーの取り付け位置や日付、時刻、テレビ画面の設定、本体ニックネームを設定。これらの設定が終了するとWiiメニュー画面が表示され、ゲームのほかに自分のキャラクター「Mii」を作成できる「似顔絵チャンネル」、SDカードの画像を表示・編集できる「写真チャンネル」、ネットワーク経由でコンテンツを購入できる「Wiiショッピングチャンネル」が利用できる。

 なお、「お天気チャンネル」「ニュースチャンネル」については、アイコンは表示されているものの現時点では利用できない。お天気チャンネルは12月20日、ニュースチャンネルは1月27日から利用可能になる予定だ。


センサーバーの位置や画面サイズなどの設定が終了すればWiiが利用可能に


Wiiの設定画面
 インターネットの接続設定は、Wiiメニュー画面の左下に表示される「Wii」アイコンから設定が可能。接続先は無線LAN、有線LANの両方で設定できるが、有線LANでの接続にはオプションの有線LANアダプタが必要。有線LANアダプタの発売日は現時点では未定となっている。

 設定画面はニンテンドーDSの「ニンテンドーWi-Fiコネクション」に非常に近い。SSIDの検索に加えて「AOSS」「らくらく無線スタート」といった無線設定支援システムもサポートし、「ニンテンドーWi-Fi USBコネクタも利用可能。ただし、暗号強度に関してはWEPしか設定できなかったニンテンドーDSに対して、WiiではWPA(TKIP、AES)、WPA2(AES)もサポートしている。

 設定が終了すると自動でインターネット接続テストを行ない、本体情報を更新。Wiiショッピングチャンネルや、24時間インターネット接続されている機能を利用する「WiiConnect24」を利用する場合は利用規約に同意すれば、インターネット接続の設定が完了する。


接続先は3つまで登録可能 AOSSやらくらく無線スタートをサポート WEPだけでなくWPA/WPA2も対応

過去のゲームがダウンロードできる「バーチャルコンソール」

Wiiショッピングチャンネル
 前述の通り、発売時点ではお天気チャンネルやニュースチャンネルは利用できないが、ネットワークからコンテンツを購入できる「Wiiショッピングチャンネル」は利用可能。また、「似顔絵チャンネル」「Wii伝言板」でも、ネットワーク対応機能が用意されている。

 Wiiショッピングチャンネルでは、ファミリーコンピュータやスーパーファミコン、メガドライブなどのソフトをダウンロードして楽しめる「バーチャルコンソール」と、Wii専用ソフトの2カテゴリが用意されている。Wii専用ソフトではOperaブラウザの提供が予定されているのみで、現時点で利用できるコンテンツはない。

 一方のバーチャルコンソールは、ファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、ニンテンドウ64、PCエンジン、メガドライブのソフトがWii発売と同時に38タイトルを用意。年内にもさらにタイトルを追加する予定だ。

 なお、ニンテンドウ64などのソフトでは、Wiiリモコンでの操作に対応していない作品もある。バーチャルコンソールを楽しむのであれば、別売の「クラシックコントローラ」の購入を検討したい。クラシックコントローラであればバーチャルコンソールで購入できるすべての作品に対応している。


Wiiショッピングチャンネルのメニュー。Wii専用ソフトは現在未提供


Wiiポイントはプリペイドカードとクレジットカードで購入可能
 Wiiショッピングチャンネルでの決済方法は、1ポイントが1円に相当する専用ポイント「Wiiポイント」を利用する。Wiiポイントの購入はクレジットカードのほか、店頭で購入できるプリペイドカードも用意されている。クレジットカードでは1,000/2,000/3,000ポイントごと購入でき、プリペイドカードは1,000/3,000/5,000ポイントの3種類が用意されている。

 あらかじめWiiポイントを購入しておき、バーチャルコンソールで気に入ったソフトを選択するとコンテンツのダウンロードをWii本体の内蔵メモリで自動でダウンロード。メモリはブロック単位で保存でき、最大で2,200ブロックまで保存可能。ニンテンドウ64の「スーパーマリオ64」でもセーブデータのブロック数は161程度なので、当分ブロック容量で困ることはないだろう。

 バーチャルコンソールは、任天堂の会員制サービス「クラブニンテンドー」とも連携。クラブニンテンドーのIDとパスワードをWiiに設定しておき、購入したバーチャルコンソールのアンケートに答えることでクラブニンテンドーのポイントが付与される。


バーチャルコンソールの購入手順。購入したソフトはWiiメニュー画面に表示される


自分だけのキャラクターを作成できる「Mii」。ネット経由の交流機能も

Miiを作成できる「似顔絵チャンネル」
 WiiではPS3やXbox 360と異なり、ユーザーデータごとログインする仕組みは採用されていない。その代わり、Wiiやゲームソフトで利用できるキャラクター「Mii」を「似顔絵チャンネル」から作成できる。

 Miiは髪型や輪郭、顔のパーツや身長などをカスタマイズし、自分だけのキャラクターを作るこが可能。最大で100人までのMiiがWiiに保存可能で、「Wii Sports」などのMii対応ゲームでは、作成したMiiをゲーム中で利用できる。

 MiiはWiiリモコンに最大10人まで保存することも可能で、自分で作ったMiiを使って友達の家で対戦する、といった利用も可能だ。また、インターネットを利用した「似顔絵パレード」という機能も用意。「交流の設定」で「交流する」を選び、WiiConnect24をオンにしておくと、他のユーザーが作ったMiiがインターネットを通じて集まってくる。また、WiiリモコンでMiiを持ち運んだ場合も、似顔絵パレードにMiiが増えるという。


パーツを選んでオリジナルのMiiを作成できる 「交流」設定で他のユーザーのMiiがネットワークを介してやってくる

携帯電話やPCともメールできる「Wii伝言板」

Wii伝言板
 Wiiメニュー右下のアイコンからは、「Wii伝言板」機能が利用可能。同じWiiを利用している家族からのメッセージや、ゲームの結果などを日付ごとに確認できるほか、インターネットを利用したメッセージ送受信機能も用意されている。

 メッセージ送受信はWii本体同士に加え、携帯電話やPCのメールアドレスともやり取りが可能。Wii同士の場合はWii本体固有のWiiナンバーを利用し、携帯電話の場合は「Wiiナンバー@wii.com」というメールアドレスを利用する。

 ただし、通常のメールアドレスと異なり、Wiiとのメッセージ送受信は相手のWiiナンバーがわかっただけでは利用できない。メッセージを送受信したい相手と互いにWiiナンバーを登録するか、またはWiiからメールアドレス宛てに送信した登録依頼に返信するという、相互の了解を得た上で初めてメッセージ送受信が可能になる。ニンテンドーDSのネットワーク対戦に用いる「フレンドコード」と同じ感覚で考えるとわかりやすいだろう。

 携帯電話やPCのメールアドレスを利用する際は、POPサーバーやSMTPサーバーといったメール設定は必要なく、送受信するお互いの登録が終わればすぐに利用できる。これらメール設定はあらかじめ本体にプリセットされているようだ。また、送受信の時間はやや遅く、Wiiと携帯電話との間ではメール送受信に5分以上の時間を要した。

 Wiiナンバーを登録した同士で、自分が作成したMiiを送ることも可能。送られてきたMiiは「似顔絵チャンネル」に保存され、「はじめてのWii」「Wii Sports」など、Miiを使ったゲーム中にも登場する。なお、他のユーザーが作ったMiiを編集することはできないようになっている。


Wii同士や携帯電話・PCとメッセージを送受信できる 「アドレスちょう」から自分のWiiナンバーが確認可能 Wiiからのメッセージは「Wiiメッセージ」という件名で送られてくる

直感的な操作が可能なリモコン。細かい操作は苦手

 これまでのゲームとは一線を画した個性的なコントローラ「Wiiリモコン」だけに、その操作方法や感覚についても触れておこう。画面の操作はマウスのような感覚で、Wiiリモコンで該当の箇所を指し示し、Aボタンで決定するという流れ。操作自体は快適で、ほぼ思った通りの場所を指し示すことができる。

 ただし、単3電池を2本利用し、スピーカーや振動機能も内蔵していることから、リモコンは手に持つと少々重く感じる。「Wii Sports」などで思い切り振る操作などではそれほど気にならないが、カーソルを細かく動かさなければいけない場面ではやや入力が煩雑に感じた。

 もっともそれを顕著に感じたのが文字入力だ。Wiiではソフトキーボードを使ってWiiリモコンで入力する必要があるが、キーボードはWiiリモコンでカーソルを操作し、1文字1文字入力していくスタイル。ソフトキーボードは1つ1つが小さいため、入力文章が長いと手が疲れてくる。

 また、Wiiリモコンを大きく動かすとカーソルが画面の外に行ってしまい、カーソルがどこにいったかわからなくなってしまうことも多々あった。ゲームをプレイし続けている時はさほど問題がないが、いったん手を止めてリモコンを置き、改めてリモコンを手にするとカーソルの位置がわからなくなり、Wiiリモコンを振り回してやっと位置が確認できる、といった印象だ。

 入力そのものは直感的に行なえるWiiリモコンだが、細かい作業をすべてポインティングで行なうのは少々厳しい。特に文字入力に関しては十字ボタンを使った操作方法や、もしくはUSBキーボードなどの対応を期待したいと感じた。


ソフトキーボード画面。携帯電話感覚で入力できるキーボードも


発売時点で未対応のネットワーク対応機能に期待

 以上、発売時点で確認できるWiiのネットワーク対応機能を見てきた。設定に関してはニンテンドーDSとほぼ同様のインターフェイスで、AOSSやらくらく無線スタートも採用しているためにそれほど難しくは感じない。ニンテンドーDSですでにニンテンドーWi-Fiコネクションを経験しているユーザーなら、違和感なく設定できるだろう。

 ただし、サービス開始時点で利用できるインターネット対応機能は少ない。今後のバージョンアップで対応するお天気チャンネル、ニュースチャンネルのほか、Operaブラウザに関しては提供日も決定していない状態だ。

 任天堂のホームページでは、岩田聡社長が自ら「現在実現できているWiiの本体機能が、全て私たちが当初描いた理想通りというわけではないことなど、数多くの反省点もあります」と述べていることからも、これらの機能も当初は発売と同時に利用できる予定だったのだろう。本体発売日のアップデート対応ながらも当初予定のネットワーク機能をは発売日に対応してきたPS3に比べると、Wiiではネットワーク機能への対応の遅れが感じられる。

 お天気チャンネルやニュースチャンネルは、発表会などで「ゲームに興味のない人にも触ってもらう」ための存在として重要視されており、ブラウザについてもAjaxやFlashなどに対応し、家族がリビングで一緒に楽しめるブラウザと位置付けられていた。そうしたWiiの戦略にも関わる機能だけに、今後サービスが提供された際には改めて機能を確認してみたい。

 また、サービス開始当初はネットワーク対応のゲームが少なく、ニンテンドーWi-Fiコネクションを利用した他ユーザーとのオンラインプレイは12月14日発売の「ポケモンバトルレボリューション」を待つことになる。

 PS3とXbox 360では、ユーザーをお互いに登録することで、新しいオンライン対応ゲームでも毎回登録することなくオンラインプレイが可能になる。ニンテンドーDSではゲームごとにお互いを登録する必要があったが、WiiではMiiというユーザーごと固有のデータを持つだけに、PS3やXbox 360のようなユーザー登録機能も実現できそうだ。こうした点については、対応ソフトが揃った時点で別途レポートしたい。


関連情報

URL
  Wii
  http://www.nintendo.co.jp/wii/

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(甲斐祐樹)
2006/12/02 18:18
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