■USBポートやPCカードスロットを装備
NTT東日本/西日本から発売されるWeb Caster 7000は、インテルのIXP425ネットワークプロセッサを搭載した製品である。今年1月の記事でも触れた通り、NTTがFTTH向けにIXP425を搭載したルータを開発しており、それがやっと製品となって出てきたことになる。
IXP425自体は、昨年春のIDF(Intel Developer Forum)で初めて披露されたわけだが、その後なかなかDesign Winを獲得できないでいた。今年春のIDFでは、LinksysのトリプルバンドアクセスポイントにIXP422が採用されることが明らかになったものの、CISCO Systems社に買収された事も関係があるのか、当該製品は未だに出荷されていない状態だし、日本での具体的発売予定もめどがたたないようだ。その意味では日本マーケットには未だにIXP425が登場していない状態が続いたわけだが、それもWeb Caster 7000の登場で終止符を打ったことになる。
プロセッサや内部構成については後ほど詳解するとして、とりあえず本製品のポイントを挙げてみる。まずスループットは、FTP転送を計測した場合で94Mbps。SmartBitsによる計測では100Mbpsの値を発揮するという。
また、PCカードスロットを2基、USBポートを2ポート備えているのも特徴で、ここにオプション販売されている無線LANカードを装着すれば無線LANルータ、USBカメラを装着すればPC不要で映像配信ができる仕組みとなっている。
高速&高機能を両立するという点では、本連載でこれまで取り上げた製品の中でも目立っており興味深い。というわけで、早速試してみよう。
■ミラー加工が独特の印象
まず外観であるが、シルバーを基調にしつつ、ミラー加工を随所に施すという、通信関連機器としては独特な印象を与えるデザインである(写真01)。というか、これ単体で置いておくと、Cardスロットの穴を除けばかなり格好が良いのだが、ここに赤や青のLANケーブルを繋ぐと、途端に雰囲気がぶち壊しとなり、ミスマッチな印象が目立つようになるのは困ったものである。
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写真01 側面はゆったりとカーブを描いており、横置きは考えられてなさそうだ。サイズは約36×167×222mm(幅×奥行×高) |
写真02 ツヤやかな前面上部。LED類はLAN側の各ポートの状態、WANポートの状態、PPPoE接続の状態など、多くの情報が詰め込まれている |
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写真03 前面下部のUSBポート、PCカードスロット。各2基ずつ装備しており、将来的な拡張にも期待できる。残念なのはPCカードスロットに蓋がないところだ |
写真04 USBポート接続用のオプションであるUSBカメラ。30万画素/最大30fpsが可能で、Webカメラとしては高スペックなもの |
前面は、上部にLED類が配されている(写真02)。ここには赤外線ポートも備えられているが、これの用途についてはマニュアル等に記載がなく、現在のところは用途がないようだ。下部は、本製品の特徴ともいえるUSBポート×2とPCカードスロット×2が用意されている(写真03)。このUSBポートは、現段階ではオプションのUSBカメラ「EE260」のみの対応となっているが、今後もオプション品が登場する可能性はある。また、PCカードスロットについては、オプションのIEEE 802.11a無線LANカード「Web Caster:FT-STC-Pa」やIEEE 802.11b無線LANカード「Web Caster:FT-STC-Pb」が接続できる。これにより、本製品を無線LANアクセスポイントとして動作させられる仕組みだ。さらにPCカードスロットにフラッシュメモリ類を取り付ければ、このメモリ内のデータをWebサーバーとして公開したり、LAN内のファイルサーバーとして共有することもできる。こうしたオプションの実際の利用方法については、後に紹介する設定画面の項目で触れることにしたい。
さて、背面については、一見するとLAN×4、WAN×1、リセットスイッチなど一般的な配置に見える(写真05)。しかしよく見ると最上部に何やらフタが装着されているのが分かると思う。ここはPCI相当のバスが用意されており、将来的には、ここにVoIPユニットなどを装着する予定もあるそうだ。このバスについては、後の内部構造で改めて触れることにしたい。
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写真05 背面はLAN×4、WAN×1などのポートが並ぶ。最上部にフタが見えるが、ここにはPCI相当のバスがあり、当面予定されているものとしてVoIPユニットが装着される |
写真06 ACアダプタは、電源延長ケーブルが付属するのでどんなOAタップでも安心 |
最後に付属品についても簡単に触れておくと、まずACアダプタ、電源延長用ショートケーブル(写真06)、マニュアルが収められたCD-ROM、スタートアップガイドといったところで、ルータとしては一般的なパッケージ内容になっている。
■多機能さを感じさせる設定画面
それでは設定画面を紹介しよう。設定画面はWebブラウザで参照する一般的なものである(画面01)。
WAN側の設定は、シンプルなウィザード方式によるものだ(画面02)。この画面からも分かるように、VPN接続にも対応している。同社によれば、このVPN接続は現段階ではファームウェアベースで行っているそうだが、今後はIXP425が持つハードウェアアクセラレーションへと変更する意向とのこと。
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画面01 設定はWebブラウザから行う一般的なタイプ。初期IPアドレスは<192.168.1.1> |
画面02 WAN側の接続設定はウィザードによる簡単設定が可能 |
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画面03 インターネット接続はPPPoE、DHCP、固定IPから選択して設定でき |
画面04 VPN接続やPPTPサーバーの構築も行なえる |
ちなみに、インターネット接続については、PPPoEや固定IP、DHCPによるIPアドレス取得の3種類が選択できる(画面03)。VPNに関しては、PPTPとIPsecによる送受信が可能となっている(画面04)。
ウィザードで設定した接続設定内容は、「ネットワーク詳細設定」で参照できる(画面05)。(画面06)はPPPoEに関する設定画面だが、MTUの設定や認証方式の設定なども用意されており、とくに不足は感じない内容だ。さらにその設定内容を細かく修正することもできる。
LAN側設定についても「ネットワーク詳細設定」から設定できる(画面07)。ここで設定できる内容は、LAN側IPアドレスやDHCPの割り当て範囲など一般的なものだ。
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画面05 WAN/LANの各設定は「ネットワーク詳細設定」から参照/変更が行なえる |
画面06 PPPoEに関する詳細設定。ウィザードでは設定できない項目もあるので、ウィザードで設定後にこの画面を参照するようにしたい |
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画面07 LAN側の設定項目は一般的なもの |
画面08 セキュリティは大まかに3段階に分けられるほか、下部にメニューがあるようにパケットフィルタなどの詳細設定も可能 |
セキュリティについては、大まかに3段階から設定できる(画面08)。とくに理由がない限りは[最大]に選択しておいて問題はないだろう。
もちろんパケットフィルタリングの機能も持っている。パケットフィルタはLAN/WANそれぞれの送受信パケットに対して個別に設定できるようになっている(画面09)。設定されたルールは(画面10)のように一覧表示されるが、ここから[新規作成]を選ぶとルールを設定できる。その設定は、送受信先/元のIPアドレスやパケットの処理内容を選べるものだ(画面11)。ポートについては主なものはあらかじめ用意されており、処理対象のポートにチェックをつけるだけでOK(画面12)。非常に簡単である。
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画面09 パケットフィルタはWAN/LAN側それぞれの送受信パケットに対してルールを作れる |
画面10 ルール一覧では設定したポート(サービス名)や、その動作などを一覧表示してくれる |
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画面11 フィルタの内容は、送受信IPアドレスや動作を細かく設定できる高度なものだ |
画面12 ポート番号はあらかじめ主要なものが登録されているのでチェックするだけ。もちろん最上部に示した例のようにユーザーが定義することもできる |
ちなみに、最近対応するルータが多い、LAN側からのURLフィルタにも対応している(画面13)。
NATに関する設定は2つ。1つは一般的なIPマスカレード設定で「ローカルサーバ」という表現が使われている(画面14)。転送先のIPアドレスを指定するほかは、さきのパケットフィルタリングの設定同様に、主なポート番号があらかじめ用意されているので、チェックをつけるだけで設定は終了である。
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画面13 LAN側からのアクセス制限の一つであるURLフィルタ機能も装備 |
画面14 ローカルサーバーの設定は簡単。転送先IPアドレスのほかに、ポートをチェックするだけ |
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画面15 簡易なものではあるが、DMZホスト機能も装備する |
画面16 本製品の独自部分についてのほとんどは、「カスタム設定」から設定を行なう |
もう一つはDMZホスト機能である(画面15)。とくにDMZポートなどは用意されていないので、主なコンシューマ向けルータ同様に全パケットを指定ホストに転送する機能を持つものだ。
さて、冒頭でも述べたとおり、本製品にはUSBポートやPCカードスロットを持っており、ほかのルータとは一線を画している。そうした特徴的な機能を設定する画面が「カスタム設定」画面だ(画面16)。ここから設定できる内容をいくつか紹介しておこう。
まず「ユーザ」設定画面というのがある(画面17)。ここでは、本製品にログインできるユーザーアカウントを管理する。「本製品にログインできるユーザーアカウント」というのは、この設定画面にアクセスできるユーザー以外に、外部からのアクセス、つまりPPTPサーバを設定した場合にアクセスできるアカウントや、フラッシュメモリカードを装着してそこをWebサーバーとして公開した場合のアクセス権などを設定できるわけだ。
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画面17 Webサーバーなどの機能を持つルータならではのユーザー設定画面 |
画面18 オプションのハードウェアを追加した場合は、こちらから設定を行なう |
もう一つ紹介しておきたいのは「オプション設定」画面である(画面18)。ここでは、PCカードスロットやUSBポートに装着するオプション類を稼動させるための設定を行える。
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画面19 無線LANに関する設定は無難なもので、とくに過不足は感じない |
画面20 USBカメラの設定。オン/オフの切り替えのほか、ライブ配信時のビットレートを指定できる |
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画面21 リモートアクセス設定画面では、USBカメラのライブ配信や本製品の設定をリモートで行うさいの設定などを行なえる |
画面22 本製品を利用したUSBカメラのライブ配信を受信する画面。動画のほか、静止画のスナップショットも受信できる |
例えば無線LANカードの設定であれば、使用チャネルやSSID、WEPといった無線LANアクセスポイントの設定でお馴染みの項目が設定できる(画面19)。USBカメラについてはオン/オフの切り替えと取り込みビットレートの設定のみだが(画面20)、リモートアクセスの設定を行うことで、冒頭で述べたようにPCを利用しなくてもUSBカメラによるライブ配信が可能である(画面21、22)。
■簡単なPCの雰囲気すらある内部構造
さてそれでは、いよいよ注目の内部構造を見てみよう。基板の表面はご覧の通り(写真07)。堂々と「PCi」の文字が躍っているように、ハードの設計はプラネックスコミュニケーションズによるものである。今年1月に展示されたボードとほとんど同じで、違いはLED周りのパーツ配置と、いくつかの信号線が変わっている程度。またDMZと思しきポートとシリアルポートは、パターンは残っているがパーツが実装されていない。ちなみに裏面は(写真08)のようになっており、メモリとUSBコントローラは裏面実装になっているようだ。
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写真07 プラネックスのロゴが目立つ本製品のメイン基板 |
写真08 背面もかなり密度の高いパターンとなっている |
メインのプロセッサであるIXP425は表面の中央に鎮座している(写真09)。このIXP425は、冒頭でも述べたとおり、昨年春のIDFにおいてインテルが発表したネットワークプロセッサである。内部のブロック図などは当時の記事に掲載しているが、Xscaleコアをベースに、3つのMIIポート(うち1つはADSLモデムなどにも利用可能)を装備するほか、USB1.1コントローラやシリアルポート、PCIバスなどを組み込んだ典型的なSoC(System
on Chip)である。その後Intelは機能を制約したIXP420/421/422という廉価版チップをリリースしており、IXP422はLinksysに採用が決まったりしているが、高機能・高価格のIXP425が採用されたのは、公表されている中では今回が最初である。
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写真09 "FWIXP425BB"の記載から判る通り、動作周波数は266MHz。平均消費電力は1W程度なので、ヒートシンクなしでもOKということだろう |
写真10 取り立てて特徴があるわけでもない、ALTIMAのAC101L |
ちなみにMIIポートはMACまでで、PHYを外付けにする必要があるあたりは、前回紹介したBEFSR41C-JPに使われているKS8695よりちょっと集積度が低いともいえるが、機能自体はIXP425の方が多いから、単純にこれだけで優劣は語りにくい。そのPHYだが、WANポート向けにはAltima Communicationsの「AC101L」が利用されている(写真10)。
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写真11 参考までに以前のIDFで展示された記事の写真3を別アングルから |
写真12 スペック的にはLAN5ポートも可能なのだろうが、そうすると一般的でない5ポートトランスフォーマーか、4ポートに1ポートの追加が必要になるから、避けたのだと思われる。一般的にはLAN側が4ポートあれば十分だろう |
一方LAN側のPHYチップは、ハンダ付けされていて外れないヒートシンクの下に隠れているために判別がつかない。ただ、昨年10月のIDF Japanで公開されたプらネックスコミュニケーションズの試作機の基板(写真11)を見ると、台湾ADMtekのADM6996が搭載されている事がわかる(写真12)。このADM6996、5ポートの10/100BASE-TXポートと1つのMIIポートを装備しており、このMIIポートでIXP425と接続していると思われる。この試作機、ボードの形状こそ大きく違うが、搭載されている部品は殆ど同じなところを見ると、WebCaster 7000でもADM6996が搭載されていると考えられる。
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写真13 W982516BH-75は16bit幅になる。メモリバスは32bitなので、2つ並べて利用しているという事だろう |
写真14 StrataFlashとは多値化技術を使い、チップサイズを変えずに容量を倍にしたシリーズの事。既存の製品は64Mbit品が最大だから、きっちり倍である |
SDRAMは裏面に、Winbond製のW982516DH-75が使用されている(写真13)。1チップあたり32Mバイトの容量で、133MHz/CL3動作である。
フラッシュメモリはIntelのStrataFlashである28F128が利用されている(写真14)。容量は128Mbit、つまり16MBになる。ルータ向けにはちょっとサイズが大きめだが、今後の拡張性を考慮しての事だろう。
さて、本製品の特徴といえば、PCカードスロットやUSBポートにある。そのPCカードスロットのコントローラには、テキサスインスツルメンツのCardBusコントローラ「PCI1520PDV」が使用されている(写真15)。
USBポートについては、IXP425に組み込まれているUSB1.1コントローラを使わずに、VIAのUSB2.0コントローラであるVT6202が搭載されている(写真16)。現時点でこのUSBポートを使うのは、USBカメラのEE260のみだが、このEE260はUSB 1.1の対応だから、これは明らかにオーバークオリティである。しかしながら、コスト高となる外部コントローラをわざわざ追加するあたりは、今後はHDDのようなもっと高速なデバイスを接続するためと思われる。
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写真15 他のチップの集積度を考えると、異様に大きい気がするが、どのみちPCカードスロットの下はデッドスペースになっているから、丁度いいという事なのかもしれない |
写真16 ここでNECのUSB 2.0コントローラを使わず、VIAのVT6206を使うあたりが独特(?) |
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写真17 IXP425のスペックから考えると3.3V専用のPCIバスということになる。消費電力が大きいものは無理かもしれないが一般的な拡張モジュールならば無理なく入るだろう |
ちなみに、前述した背面パネル上部からアクセスできるPCIバスは、汎用の80ピンのカードエッジコネクタが使われている(写真17)。構造やパターンからするとPCIバスがそのまま接続されていると思われる。コネクタ規格自体は独自のようだが、通常の32bitPCIスロット(94ピン)にしても、フルに使っているわけでもなく、不要なピンもあるから80pinあればおそらく十分だろう。一応このコネクタ、今後はVoIPユニットの装着が予定されているほか、サードパーティに仕様を公開する可能性もあるそうで、ひょっとすると追加モジュールが色々出てくるかもしれない。
なお、NTTはこの製品を「成長するレジデンシャルゲートウェイ」と位置付けているそうで、USB
2.0の搭載とか64MB Memory/16MB Flashなど、ルータにはオーバークオリティなスペックは、こうした将来の拡張のためのヘッドルームという事になるようだ。現時点では
- 現在はVoIPをソフトウェアで処理しているが、これをIXP425のハードウェア・アクセラレータを利用する方法に置き換える
- ファイル共有、さまざまなUSBデバイスのサポート
- Webサーバー機能にPHP/Perlなどのスクリプト対応化
- IPv6サポート
- IEEE 802.11gカードへの対応
- USBハードディスク、USBプリンタのサポート
- IrDA機能の活用(携帯電話・PDAなど)
- SIベンダー向けにソフトウェア開発ツールの提供検討
といった事が考慮されているそうである。どうも話を聞く限り、ハードウェア自体はプラネックスコミュニケーションズの製造ながら、ソフトウェアに関してはNTT側でも色々手を入れているように見受けられる。仮に今後プラネックスから同様の製品が出たとしても、内部的には違うものと考えるべきかもしれない。
■スループットは90Mbpsオーバー
最後にスループットの測定を行うことにしよう。冒頭で述べたとおり、本製品の公称スループットはFTP転送の実測値で94Mbpsという高速なものである。その実力はいかばかりだろうか。
環境は図及び表1に示すとおりである。まずはLAN環境のテスト結果を表2に示すが、ダウンロード(サーバー→クライアント)のスループットは89~92Mbps程度。パケットフィルタリング+NAT環境でのhttpダウンロードで94Mbps超は、直結のスループットより高いという、凄まじいまでの高性能ぶりを発揮した。アップロード(クライアント→サーバー)は55~59Mbpsでややダウンロードに劣るが、それでもこれだけのスループットを実現したケースはこれまでテストした中では存在しなかった。「圧倒的に高速」と言って差し支えないだろう。
表1、図1:テスト環境
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サーバー |
クライアント |
CPU |
AMD Athlon MP 1.2GHz×2 |
AMD Athlon XP 1700+ |
マザーボード |
TYAN TigerMP(AMD760) |
EPoX EP-8K3A+(Apollo KT333) |
メモリ |
Registerd DDR SDRAM 512MB(256MB×2) |
PC2700 DDR SDRAM 512MB(256MB×2) |
HDD |
Seagate Barracuda ATA IV40GB |
Seagate Barracuda ATA IV 80GB |
LANカード |
メルコ LGY-PCI32-GT |
Intel 21143搭載LANカード |
OS |
RedHat Linux 9(kernel 2.4.20-8smp,Apache 2.0.40-21,VSFTPD1.1.3-8) |
Windows XP Professional 日本語版+SP1(IIS 5.1) |
RAMディスク |
128MB |
128MB |
表2:計測結果(LAN) |
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プロトコル |
転送条件 |
速度(Mbps) |
直結状態 |
ftp |
サーバー → クライアント |
93.33 |
クライアント → サーバー |
80.27 |
http |
サーバー → クライアント |
92.53 |
クライアント → サーバー |
73.17 |
NTT WebCaster 7000 |
ftp |
サーバー → クライアント |
パケットフィルタリングなし |
89.87 |
パケットフィルタリングあり |
91.47 |
パケットフィルタリングあり+NAT |
89.60 |
クライアント → サーバー |
NATあり |
59.15 |
NAT+パケットフィルタリングあり |
63.97 |
http |
サーバー → クライアント |
パケットフィルタリングなし |
90.93 |
パケットフィルタリングあり |
92.27 |
パケットフィルタリングあり+NAT |
94.67 |
クライアント → サーバー |
NATあり |
57.16 |
NAT+パケットフィルタリングあり |
55.13 |
次いでWAN環境でのテストである。フレッツ・スクウェアの速度測定、及びspeed.RBBTodayの測定結果を表3にまとめてみた。いずれも10回の測定を行ない、その平均値と10回中の最大値を示している。フレッツ・スクウェアでは平均68Mbps超で最大70Mbpsに達するという高性能ぶりを見せており、間違いなく最速である。Speed.RBBTodayの結果も優秀で、特にアップロードの成績はLinksysのBEFSR41Cを上回る好成績である。FTTH環境でも全く問題なく使える、と断言できるだけのパフォーマンスだ。
表3:計測結果(WAN) |
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平均値(Mbps) |
最大値(Mbps) |
フレッツスクエア |
68.51 |
70.32 |
Speed.RBBToday |
Download |
51.03 |
57.12 |
Upload |
11.88 |
15.07 |
■将来的な拡張性にも期待できる製品
以上、本製品を試用してみたが、機能と速度の両面で申し分ない。価格だけ見れば高めではあるが、拡張性の高さを考えれば32,800円の価格も納得である。
思うにこの製品、サードパーティだけと言わず、積極的にユーザーに開発キットを公開すべきではなかろうか。OSはLinuxで、必要ならPCMCIAやUSB経由でフラッシュメモリなどの外部ストレージを使うこともできそうだから、XScale搭載Linux BOXとしての活用も可能そうである。これに似た製品が、例えばワイルドラボの「子羊ルーター」や、Laser5の「L-Router」、少し素性は違うがぷらっとホームの「OpenBlockS」もこれに含まれるだろう。もちろん、単体でルータとして使うことは可能だが、中がわかれば色々いじってみる事が可能になる。
古い話だが、SCEのプレイステーション 2向けLinuxキットが発売された途端売れまくる、という事が起こった事例もあり、そうしたプラットフォームとしても本製品はかなり魅力的である。NTTがこうした製品を出すのは珍しいとも言えるが、筆者はこの路線を非常に高く評価したい。今後の展開が楽しみである。
■注意
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・この記事の情報は編集部が購入した個体のものであり、すべての製品に共通するものではありません。
・この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はBroadband Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
・Broadband Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。
□NTT東日本 Web Caster 7000 製品情報
http://www.ntt-east.co.jp/ced/goods/7000/index.html
□NTT西日本 Web Caster 7000 製品情報
http://www.ntt-west.co.jp/kiki/consumer/flets/7000/index.html
(2003/07/23)
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