電子マネーを使うメリットの1つとも言えるポイントサービス。これまで各サービスを個別に紹介してきましたが、今回はサービス全体を整理してみましょう。
■ 電子マネーを使うメリット
電子マネーのメリットと言って、真っ先に挙げるのはどのような点でしょうか? もちろん、支払いの手間や時間を短縮できるというメリットも大きいでしょうが、今なら「ポイントが貯まること」と答える人も少なくないことでしょう。
クレジットカードと同様に、電子マネーにもさまざまなポイントサービスが提供されています。しかし、どのサービスを使うと、どのポイントが貯まるのか? いつポイントが貯まるのか? という内容はサービスごとに違いがあり、ポイントサービスとしてはとても複雑なものとなっています。
以下の表は、これまで本コラムで紹介してきた電子マネーのポイントサービスのうち主なものをまとめたものです(サービスによっては表以外にもポイントサービスが提供されています)。サービスごとにさまざまなポイントサービスが提供されていることがわかるでしょう。
電子マネー | サービス | 貯まるポイント | レート | 対処店舗 | 登録 |
Edy | Edyでポイント | ANAマイル | 1ポイント/200円 | 加盟店 | 必要 |
楽天スーパーポイント | |||||
Tポイント | |||||
ヤマダポイント | |||||
ベルメゾンポイント | |||||
auポイント | |||||
ドライバーズポイント | |||||
Suica | Suicaポイントクラブ | Suicaポイント | 1ポイント/100円~200円 | ポイント対象店舗 | 必要 |
PASMO | 乗車ポイント | クレジットカードのポイント | 2~10ポイント | ポイント対象店舗、サービス | サービスによっては必要 |
nanaco | nanacoポイント | nanacoポイント | 1ポイント/100円 | イトーヨーカドー、デニーズ、セブン-イレブン | 不要 |
WAON | WAONポイント | WAONポイント | 1ポイント/200円 | ミニストップ、JUSCOなど | 不要 |
iD | ドコモプレミアムクラブ | ドコモポイント | 1ポイント/100円 | 加盟店 | 必要 |
WebMoney | ウォレット+ | ゴールド | 10% | クレジットからのチャージのみ | 必要 |
BitCash | ポイントバックサービス | びっ得ポイント | 0.1% | 加盟店 | 必要 |
Pちょコム | ちょコムポイント | ちょコムポイント | 毎月の利用総額の0.5% | 加盟店 | 必要 |
表を見ると、やはり目立つのは、非接触ICカードを採用したプリペイド型電子マネーのポイントサービスです。いわゆる後払い式のポストペイのサービスは、基本的に支払いに利用するクレジットカードのポイントサービスが適用されるため、iDなど独自のポイントサービスはあまり提供されません。
たとえば、Edyでは、おサイフケータイ向けのポイントサービス「Edyでポイント」で貯めるポイントを利用者が選ぶことができるようになっています。通常、ポイントサービスは自社の商品やサービスの再利用を目的とした顧客サービスとして提供されますが、Edyは電子マネーを提供するのみの中立的な存在となるため、加盟店のポントサービスをそのまま提供していることになります。
一方、nanacoやWAONのようにポイントが貯まる場所が自社の関連店舗に限られているサービスは、その内容に特徴があります。nanacoやWAONでは、利用場所が限られる反面、特定の店舗で特定の商品を購入すると、通常のポイントに加えてボーナスポイントが付与されるなどの特典が提供されています。
言わば、商品割引サービスのような形でポイントサービスが提供されているというわけです。こういった多彩なポイントサービスが存在するのも電子マネーならではの特徴と言えるでしょう。
ただし、1つ注意したいのは、電子マネーのポイントサービスは申し込みが必要な場合と不要な場合の2種類があることです。
nanacoやWAONのように電子マネーのサービスに加入すれば自動的にポイントサービスも利用できるものもあれば、前述したEdyのように事前の登録が必要な場合もあります。登録をしないと、せっかくのポイントサービスを受けることができませんので、事前によく確認して忘れずに申し込みをしておきましょう。
なお、Edyのam/pmカード、百貨店系のPASMOカードなど、クレジットカードや会員サービスなどと連携するカードが提供されているサービスでは、上記の表にまとめた以外のポイントを貯めることもできますが、ここでは代表的なポイントサービスのみを掲載しています。また、レートも特定店舗や特定日時での利用でボーナスポイントが付与されるなど例外が多いのですが、ここでは全体を整理するために個別サービスについては表から省きました。これら個別の情報については、過去の本コラムを参照してください。
■ ポイント交換からポイントの相互関係を整理
このように電子マネーではさまざまな方法でポイントを貯めることができますが、貯めたポイントはどのように使えば良いのでしょうか?
ポイントの使い道は基本的に3種類あります。1つ目はポイントとしてそのまま利用する方法です。EdyのANAマイル、iDのドコモポイントなどが代表的ですが、電子マネーの利用で貯まったマイルを旅行のときに利用したり、携帯電話の機種変更のときに使うといったように、貯めたポイントをそのまま消費します。
2つ目の方法は、電子マネーとして再び利用する方法です。Suicaやnanaco、WAONなどは貯まったポイントを再び電子マネーにチャージして利用することができます。通常、プリペイド型の電子マネーでは、現金やクレジットカードなどを電子マネーにチャージして支払いに使いますが、同様に貯まったポイントをチャージして支払いに使えることになります。
支払いに充当できるという意味では、家電量販店のポイントと同様に考えることができますが、家電量販店などのポイントは基本的にその店舗でしか支払いに使えない反面、電子マネーの場合は支払いに対応した場所であればどこでも利用できます。たとえば、Suicaの場合、買い物で貯めたポイントを再びSuicaにチャージすれば、売店での買い物、電車の乗車にも使えることになります。
■ ポイントを交換して別の用途に利用する
そして、ポイントの用途の最後の3つ目となるのは、他のポイントへの交換です。クレジットカードのポイントなどではすでに一般的ですが、たとえばSuicaの利用で貯めたSuicaポイントをWAONポイントに交換するといったように、別のポイントに交換することができます。
もちろん、どのようなポイントに交換できるかはサービスによって異なります。詳しくは各サービスのホームページを参照して頂くのが確実ですが、これまで本コラムで紹介してきた電子マネーのポイントサービスの交換先とレートをまとめたのが以下の図です(2009年3月時点)。
電子マネーのポイントサービス交換先とレート |
もちろん、この図で示しているのは一部のみとなります。クレジットカードのポイントを加えれば、さらにいろいろなルートでの交換が可能となりますが、複雑になりすぎてしまうため主なサービスのみに限定しています。
しかしながら、この図を見ることで、各サービスの特徴があらためてよくわかります。たとえば、電子マネーとしてのSuicaは、いろいろなルートからのポイントを交換できるようになっています。Suicaポイントからのチャージはもちろんのこと、JALのマイルイオンカードのポイント、メトロポイント、さらにSuicaポイントを経由することで、ANAマイルやちょコム、Yahooポイントなどからの交換も可能となっています。Suicaは利用者が多いだけにポイントの出口として使いたいというニーズが多いのでしょう。
また、マイルも言わばハブのような役割を担っているうえ、クレジットカードのポイントサービスも実に多彩なポイントへの交換が可能になっています。このほか、意外にサーバー型の電子マネーもいろいろなルートで他のポイントや電子マネーに交換できるようになっていることがわかります。
もちろん、ポイント交換は必ずしもメリットばかりとは限りません。図の交換レートを見れば分かる通り、ポイントを交換する際に手数料が必要だったり、その価値が目減りしてしまう場合もあります。また、最近では交換できるポイントの上限が限られている場合などもあります。
ポイントサービスによっては、ポイントの期限があるため、ポイントが消滅してしまうよりは目減りしてでも交換した方が得ですが、実際に交換する場合は、どれくらい価値が減るのかを確認しておくと良いでしょう。
また、交換ルートによっては、交換の申し込みから、実際に交換後のポイントが付与されるまでに数日から数週間の期間がかかる場合もあります。すぐに交換できるわけではないことにも注意が必要です。
貯めるだけでなく、どのように使うのかもよく考えて電子マネーのポイントサービスをうまく活用しましょう。