富士通のセミナーイベント「富士通フォーラム2005」が、7月14日と15日、東京国際フォーラムで開催されている。イベントではQVGAサイズでのテレビ電話が可能な無線LAN端末や、RSSを利用した情報共有システムなどが参考出展されていた。
■ QVGAで15フレーム/秒のテレビ電話が可能なモバイル端末
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無線IPテレビ電話のデモ
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テレビ電話のデモ端末は、CPUに同社のメディア・プロセッサ「FR-V」のFR461 400MHzを、OSにLinuxを採用し、128MBのSDRAM、64MBのフラッシュメモリを搭載。ディスプレイは、26万2,144色表示が可能な3.7インチVGA(640×480)サイズで、タッチパネル操作に対応する。
端末にはマイクやスピーカーのほか、35万画素のCMOSイメージセンサーとIEEE 802.11b準拠の無線LAN機能を内蔵しており、端末間でテレビ電話が利用できる。呼制御プロトコルにはSIPを採用し、QVGA(320×240)画面サイズで15フレーム/秒での通話が可能。スタッフによれば、この画像サイズとクオリティは業界最高水準という。また、Push To Talkにも対応しており、端末間で画像データ付きのトランシーバー機能を利用できる。
CFスロットとSDカードスロットも1つずつ搭載しており、CFスロットにはデータ通信カードも装着できる。また、クレードル使用時にはUSBによる接続も可能だ。本体サイズは73×165×26mm(幅×奥行×厚)、重量は245g(バッテリ含む)。
テレビ電話機能以外にも、同社の組み込みブラウザ「Inspirium」を搭載しており、Webブラウジングが可能。また、MPEG-4で15フレーム/秒の動画再生機能も搭載しており、参考出展ではメモリーカードに保存した動画を再生しているが、将来的にはチューナーを用意することで地上デジタル放送も視聴できるという。
富士通ではモバイルTV会議端末や修理・保守サポート端末、セミナー・イベント用端末といった業務シーンでの利用を想定。カーオーディオやカーナビと連携した車間コミュニケーション端末、車内エンターテインメントとしての利用も考えているという。
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テレビ電話と動画再生、インターネットの3機能を搭載
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テレビ電話画面。ディスプレイはVGA、テレビ電話はQVGAで表示できる
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MPEG-4の動画再生画面
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ブラウザ画面。現在は縦表示のみだが横表示も対応可能という
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側面にはSDスロット、CFスロットのほか、無線LANの切り替えスイッチも搭載
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反対側にはクレードル用ポートと電源端子
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■ RSS非対応サイトをRSSに変換するシステム。精度は95%以上
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参考出展されていた「情報活用型RSSリーダ」
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7月11日に発表されたRSSシステムも展示されていた。メーラー型のRSSリーダーとRSSサーバーで構成されている点が特徴で、ドラッグ&ドロップ操作のみでRSS非対応サイトからRSSを抽出して登録する機能を備える。RSSへの変換はWebサイトの構造を見て判断しており、95%近い精度でRSS変換が可能という。また、変換できなかったサイトも、GUIを利用して日付や見出し部分などを指定することでRSS化が可能であり、この機能を利用することでほぼ100%のRSS変換が可能とした。
ブックマーク共有機能も備えており、気になったサイトのURLを1クリックでサーバーに登録、グループ内で共有できる。同じサイトを登録したユーザー数も集計されるほか、サイトに対してコメントを書き込むことも可能。コメントの内容はサイトの概要画面に表示され、この概要画面から直接サイトへアクセスできる。
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ドラッグ&ドロップ操作でRSS非対応サイトからRSSを抽出できる
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ブラウザ画面右上のボタンで気になるサイトを登録できる
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登録したサイトにはコメントが付けられる
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コメントはサイトの概要画面に表示される
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■ 無線LANを利用した位置情報管理システムも参考出展
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無線LAN位置情報管理システム
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無線LANを利用した位置情報管理システムも参考出展されていた。TDOA(Time Difference of Arrival、到来時間差)測定による三辺測量によって、誤差1~4mの精度での位置特定が可能であり、GPSやPHSと比較して屋内での高精度な位置検出が可能だという。
クライアント側の端末は、無線LAN機能を搭載していれば特別なソフトウェアの必要なく位置情報が取得できる。ただし、管理のためにあらかじめ端末のMACアドレスを登録しておく必要がある。無線LANは現在IEEE 802.11b/gをサポートするが、技術的にはIEEE 802.11aの対応も可能という。
ユーザーごと位置情報を確認することも可能で、一覧画面にはユーザーの現在位置が表示される。一覧画面からユーザーに電話することも可能で、PCを利用したソフトフォンのほか、サーバーを介して無線LAN搭載IP電話端末から発信することもできる。
TDOAによる無線LAN位置情報管理システムは、日立製作所が「日立AirLocation(エア・ロケーション)」として提供しているが、スタッフは「AirLocationがアクセスポイントとレシーバーの一体型を利用するのに対して、富士通は端末がレシーバー機能のみである点が違い」と説明。すでに無線LANを構築しているエリアでもレシーバーを追加するだけでシステムが導入できるなど、柔軟な配置が可能としている。
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ユーザー一覧から位置を確認、通話することが可能
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無線LAN機能を搭載したタグ(左下)。サーバーを介して無線IP電話端末(右)から通話することもできる
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■ URL
富士通フォーラム2005
http://forum.fujitsu.com/
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(甲斐祐樹)
2005/07/14 12:49
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