Skype Day in Japanの特別講演では、ライブドアの堀江貴文代表取締役社長が登場、同社が推進する公衆無線LANサービス「livedoor Wireless」について講演を行なった。
■ 正式サービスでは接続ツールも提供予定。iBurst対応も視野に
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ライブドアの堀江貴文代表取締役社長
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堀江社長ははじめにlivedoor Wirelessを開始した経緯について説明。「日本では固定回線であれば非常に速いスピードでインターネットできる。(IT先進国の)米国ですら日本のブロードバンド環境に慣れると遅く感じる」と感想を述べた一方、「電話は携帯になっているのに、なぜインターネットはワイヤレスにならないのかと疑問を感じた。ワイヤレスへのアプローチは様々な議論があるだろうが、今すぐ使えるWi-Fiという技術を使ってアクセスポイントの数を重視しようという考えを実践したのがlivedoor Wirelessだ」とした。
すでにアクセスポイントは1,000カ所に設置、延期された正式サービス開始時には2,200カ所にアクセスポイントを設置する予定。「すでに新宿や高田馬場はアクセスポイントがかなり密集している(堀江氏)」。講演では、正式サービスと同時にlivedoor Wireless専用の接続ツールを提供予定であることも発表された。
2,200カ所のアクセスポイントによる正式サービス開始後は、YOZANとの提携による電柱設置の追加分として、東京23区内に4,000カ所のアクセスポイントを設置するほか、自動販売機などを利用した屋内施設への展開も進めていく。2006年12月までには東京以外にもエリアを拡大、1都8県60,000カ所までアクセスポイントを増設し、2007年には以降はiBurstの採用も視野に入れているという。
iBurstに関して堀江氏は「免許が必要でWi-Fiより速度も遅いが、Wi-Fiよりも数倍から数十倍のエリアカバーが可能になる」と指摘。「速度も10Mbpsまでは高速化できるだろう」との見通しを述べた上で、「重要なのは格安なコストで実現できること。今でもドコモなどの携帯電話事業者は、HSDPAなど既存の3Gを拡張する方向だが、ああいったものよりもはるかに低価格でインターネットに接続できる」と語った。現在帯域の開放が進められている2GHz帯にライブドアは申請していないが、「2.5GHz帯が開放されるという話も聞いているので、こうしたところで申請していければ」。
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正式サービスで提供予定の接続ツール
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livedoor Wirelessのサービス展開計画
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YOZANやホーキング、ブロードバンドタワーとの提携でエリアを拡大
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iBurstの導入も積極的に検討
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■ livedoor Wirelessとスカイプで新たなコミュニケーションを実現
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livedoor Wirelessではスカイプの動作確認済み
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イベントのテーマであるスカイプについては、すでにlivedoor WirelessでPCやPDAからのスカイプ利用が動作確認済みであることを示した上で、「僕はあまり電話機能は使わないが、むしろメッセンジャー機能が便利だと思う」とスカイプを評価。自身が所有する携帯電話を取り出して会場に見せたのち、「こういった形のシンプルな携帯電話を使っているのは日本だけ。米国ではBlackBerryというキーボード付きの端末が人気がある」と語り、「小さい携帯電話端末や3大キャリアの支配する文化は終わったのではないか」との考えを披露した。
堀江氏の場合、携帯電話で自分から通話するのは週に5回程度で、着信も着信音を無音に設定しておき、重要なものだけメールや電話で折り返すスタイルだという。「こういうコミュニケーションも、今後はもっとメジャーになるのではないか」。
堀江氏の考えでは、新たな携帯端末はiPodのような音楽プレーヤーが鍵になるという。堀江氏は「どういった形の端末になるかという確実なアイディアはないが」と断った上で、「iPod nanoは非常に小さく、液晶も大きい。また、音楽を聴く時にマイクが付いているものもある。こうした形でPDAとは違う携帯音楽プレーヤーの延長線上に、キーボードが付くようなものが出てくるのではないか」とコメント。「そうしたハードウェアにスカイプが搭載されて、電話だけでなくメールやメッセンジャーが普及するのでは。livedoor Wirelessのインフラと、PCから出てきたスカイプのようなツールが組み合わさることで世の中を席巻するだろう」とした。
携帯電話事業者に対しても自身の考えを披露。「携帯電話のキャリアが高い通信インフラを設置し、その結果としてユーザーが高い料金で使わされているのははっきりいっておかしいし、その費用がユーザーに転嫁されるのはまっぴらごめんだ」。
堀江氏は「これからは電話のような同期コミュニケーションではなく、メールやメッセンジャーのような非同期コミュニケーションがメジャーになるだろう」とコメント。「音声をやりたければ2Gのインフラでも十分。わざわざ3Gや4Gといった高額な技術を使うのではなく、インターネット由来の安くてシンプルな技術が普及するのは世の常ではないか」との考えを示した。
■ URL
Skype Day in Japan
http://ac.nikkeibp.co.jp/ncc/skypeday/
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(甲斐祐樹)
2005/11/07 18:40
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