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【GLOBAL IP BUSINESS EXCHANGE 2006】
YOZAN小松氏、WiMAXサービスの現状を語る

 2月15日、16日の2日間、秋葉原コンベンションホールにおいて、IPv6関連のイベント「GLOBAL IP BUSINESS EXCHANGE 2006」が開催された。2日目となる16日、「WiMAXとIPv6」と題した講演が行なわれ、YOZANの取締役 CTO 小松宏輔氏とIRIユビテック代表取締役社長の荻野司氏が、次世代通信技術として注目されるWiMAXについて語った。


IRI荻野氏、既存通信サービスを補完するMANの必要性

IRIユビテック代表取締役社長の荻野司氏
 まず荻野氏より、国内のブロードバンド市場について説明が行なわれた。ADSLの普及によって家庭内の固定ブロードバンドは既にピークは迎えており、データ通信・IP電話・放送の分野でブロードバンドが利用されている現状が語られた。こうした中で、固定ブロードバンド網の届かないエリアや、固定網を補完する形で無線ブロードバンドの需要があるという。

 また、現状のモバイルデータ通信の利用状況を示したデータを例に挙げながら、自宅やホットスポットといった無線LANエリアより、広範なエリアをカバーするMAN(Metropolitan Area Network)が必要とした。

 このほか、同氏は、「我々はIEEE802.16、つまりWiMAXはMANだと考えている。WiMAXについては誤解されている部分もあり、既存の3G携帯電話の領域をWiMAXが食っていくと思われているかもしれない。3Gや無線LANのエリアを補完する役割になるのではないか」と語った。

 さらに、WiMAXの活用方法も提案された。大規模マンションなどにWiMAX基地局を設置し、マンションまでは光ファイバーで有線接続、マンション内は無線LANでさまざまなサービスを提供し、マンション周辺をWiMAXでカバーするというもので、こうした活用法では、大規模の工事が必要なく、既存の建築物でも導入しやすいメリットがあるとした。

 ただし、その際の問題点も指摘し、「国内で割り当てられている4.95GHz帯は直進性が強く、ビルに当たると反射してしまう。このあたりの緻密な基地局配置が必要になる」と加えた。なお、YOZANがサービスインしているIEEE802.16-2004(IEEE802.16d)のWiMAXでは、現在4.95GHz帯で展開している。


YOZAN、2月より順次サービスエリアを拡大

YOZANの取締役 CTO 小松宏輔氏
 続いて、YOZANの小松氏より、同社がサービスを展開しているWiMAXサービスについてプレゼンテーションが行なわれた。

 YOZANが昨年12月に開始したWIMAXサービスは、IEEE802.16の中でも固定通信向けとして定義されているIEEE802.16-2004(IEEE802.16d)を利用したもの。WiMAXをバックボーンに、「BitStand」と呼ばれる無線LANアクセスポイントを設置し、IEEE 802.11b/g対応の公衆無線LANサービスを提供するものだ。移動体向けのいわゆる「モバイルWiMAX」はIEEE802.16eという規格で、昨年12月に標準化が終了。国内ではKDDIなどがモバイルWiMAXの実証実験を行なっている。

 小松氏は冒頭、会社の概要を説明する中で、昨年無線LAN事業でライブドアと業務提携した件に言及し、「事業締結をしたが現在はかなり流動的。今後は適切な動きをとる」と語った。

 荻野氏と同様に、国内の固定ブロードバンド市場がピークアウトしている状況を説明した同氏は、「その次に来る802.16eに向けて現在着々と準備を進めている」と語り、WiMAXの利点を「ポイントとポイントを数kmで結べる広域な無線LAN」と表現した。

 モバイルWiMAXについては、「6GHz帯以下の帯域で、非ライン・オブ・サイトで伝搬すると言われているが、現在調査中だ。詳細なデータがわかり次第お知らせする」とするに留まり、「規格では、反射波などを使ってビルの裏側などにも届き、5MHz以下の帯域で15Mbpsの通信速度が実現すると言われている」とした。また、「実際に昨年12月よりサービスを提供しているが、ほぼこれに近い状況」と語っており、固定通信向けのIEEE802.16dでも同程度の通信速度が確保できるとした。

 なお、WiMAXでは20MHz幅の帯域で最大75Mbps(64QAMの場合)の通信が行なえると言われているが、YOZANではこの実験は行なっていないという。

 このほか、同社の保有するページャー(ポケベル)システムもWiMAXで活用するとしており、「万が一WiMAXが届かない場所でも、データを送りましたよ、とページャーで連絡できるようにする」とした。携帯電話型端末のイメージなども紹介したが、「現在のところ、WiMAXを直接受けられる機械で、携帯電話に搭載できるものはない」という。同社では、2年後を目処に携帯電話タイプの端末を提供したい考えだ。

 YOZANでは、公衆無線LANサービスのエリアとWiMAXのサービスエリア、そしてページャーのサービスエリアの3段階のサービスで事業を展開するという。現在展開しているWiMAXのサービスエリアについて小松氏は、「(昨年の)12月25日に間違いなく日本初のWiMAXのサービスを開始した。ただし、こうした新しい技術は必ずいくつか不備が出てくるものだ。今回は、パフォーマンスが多少落ちるとか、機械のメンテナンスがリモートでできないなどがあった。そのため、サービスを開始はしたが、サービスエリアの拡大は見合わせていた。ただし、それも商用サービスとして充分であり、リモートメンテナンスが動くことが確認できたため、基地局の量産を開始した」と話した。

 同社では、2月に20カ所、3月に100カ所、4月に500カ所、5月に700カ所の合計1500カ所の基地局を敷設し、東京23区内のカバーエリアを拡大するという。


関連情報

URL
  GLOBAL IP BUSINESS EXCHANGE 2006
  http://www.ip-bizex.jp/
  YOZAN
  http://www.yozan.co.jp/
  IRIユビテック
  http://www.ubiteq.co.jp/


(津田啓夢)
2006/02/16 20:00
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