「WIRELESS JAPAN 2006」で19日、イー・モバイル代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏が、「イー・モバイルの描くモバイル事業展開計画」と題した講演を行なった。モバイル事業の進捗状況や同社の戦略などが語られた。
■ 携帯電話の料金体系にメスを入れる
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イー・モバイル代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏
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種野氏はまず、親会社のイー・アクセスが手がけるADSL事業について触れ、「ADSLの市場規模は、移動体市場に比べると10分の1程度。その中で多くの企業が競合したことで、ADSLサービスは世界で最も安くなった」と指摘した。
さらに、海外との携帯電話通話料金を比較し、2005年9月における通話1分あたりの料金を紹介。それによれば、香港は7円、米国は8円、台湾は12円と割安だが、日本は47円に上るという。種野氏は、「この料金体系に新規参入の勝機がある」と語り、携帯電話料金にメスを入れることが新規参入の発端になったとした。
イー・モバイルは2005年1月に設立し、同年11月に1.7GHz帯における携帯電話事業の免許を取得。2006年5月には、株式および借入枠で3,600億円超の事業資金を確保した。種野氏によれば、「ネットワークも顧客も売上も存在しないのにかかわらず、これだけの資金が集まったのは前代未聞」という。
現在、この事業資金をもとに関東・中部・関西を中心に無線ネットワーク設備を建設、また全国規模でコアネットワークの建設に着手している。すでに、ネットワーク設備の主要サプライヤーにはエリクソンを選定しているが、7月19日に中国のHuawei Technologiesをサプライヤーに追加。今後は「2社と協同でネットワーク設備を建設する」ことで、2007年3月に東名阪でデータ通信サービスを、2008年3月に音声サービスを開始し、最終的に500万契約を獲得する考えだ。
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海外との携帯電話料金の比較
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3,600億円超の事業資金を確保した
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■ 利用料金の安さだけではユーザーに選んでもらえない
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イー・モバイルの事業展開スケジュール
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また、新規参入にあたっては、携帯機器向けの高速通信技術「HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)」や「HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)」を採用し、モバイルのブロードバンド化を図ると強調。「固定分野で利用されたサービスは、数年後にモバイル上で実現する」という持論を述べ、現在PC上で利用される画像や動画などのコンテンツを、次世代携帯電話事業で展開するとした。将来的には固定電話や携帯電話、インターネットなどの通信網をIPネットワークで統合することで、システムの効率化を図るという。
2006年4月1日には携帯向け地上デジタルテレビ放送「ワンセグ」がスタートするなど、放送とモバイル通信の融合が進んでいるが、イー・モバイルでも、ワンセグ搭載端末を投入するほか、HSDPAを用いて高品質のビデオ配信を手がける予定だ。具体的には「オンデマンド配信による高画質動画の選択」「放送コンテンツの再送信から携帯電話専用のコンテンツ配信」などのサービスを提供するという。
最後に種野氏は、「イー・モバイルは携帯電話事業で後発であるため、何かの理由がなければユーザーに選んでもらえない。そのためには、利用料金の安さだけでは魅力が足りない。端末を買えば、面白いコンテンツが見られるというような世界を実現したい」と将来の展望を語った。ただし、具体的な端末やコンテンツについては、「サービスが開始する2007年3月まで楽しみに待って欲しい」として明言を避けた。
■ URL
WIRELESS JAPAN 2006
http://www.wjexpo.com/
イー・モバイル
http://www.emobile.jp/
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(増田 覚)
2006/07/19 19:54
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