QUALLCOMMの子会社であるMediaFLO USAは、携帯電話向けの動画配信プラットフォーム「MediaFLO」を採用した動画配信サービスを2007年第1四半期に米国で開始すると発表した。Verizonが「V CAST Mobile TV」との名称でサービスを展開する。
■ 動画のストリーム配信からサービス開始。オンデマンド配信も提供予定
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QUALCOMMブースのMediaFLO USAコーナー
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V CAST Mobile TVは、米国内で獲得した716~722MHzの6MHz幅周波数を利用して携帯電話向けに展開。コンテンツはMTV Networks、FOX、NBC、CBSとの複数年契約を締結。対応端末はSamsungの「SCH-u620」、LGの「VX9400」が発表されており、今後も対応端末は拡充していくという。有料放送の価格などは現在未定で、2007年第1半期のサービス開始までには対応端末とともに発表予定だという。
動画の形式はH.264、画面サイズはQVGA(320×240ピクセル)。動画のフレームレートは30fpsだが、通信環境の悪い場所では自動で15fpsへレートを下げ、安定した場所では再び30fpsに回復する仕組みだ。
米国ではVerizonの「V Cast」に加え、「MobiTV」など携帯電話向けの動画配信サービスなどがいくつか存在するが、クアルコム ジャパンの小菅祥之ビジネス開発マネージャーは「他のサービスは番組を視聴するまでに数分を要するが、MediaFLOであれば端末の専用ボタンを押せば数秒で動画を再生できる」とのメリットを説明した。
サービス開始当初はストリーミング型の有料放送のみだが、今後はオンデマンド型の「ClipCast」に加え、データ通信サービスの提供も予定されている。データ通信は専用アプリケーションを用意し、天気情報や高通情報など更新データの差分のみを取得して反映させる方式になるという。
■ 日本での展開も視野に。「iモードの成功を携帯電話放送で実現」
米国ではサービス開始が正式に決定したMediaFLOだが、日本でもサービス提供に向けて地上アナログ停波後の周波数割当を求めているほか、KDDIやソフトバンクモバイルがMediaFLOに関する企画会社を設立している。小菅氏は「すべては周波数が獲得できてからの話で、総務省によれば夏頃には周波数割当に関する考えが決定されるようだ」と断った上で、日本でのビジネス展開について語った。
映像をリアルタイムにストリーミング配信するという放送的なサービスとしては、すでに日本ではワンセグ放送が人気を集めているが、小菅氏は「MediaFLOは通信キャリアにもメリットのあるサービス」と指摘。携帯電話とは異なる別の周波数で番組を提供するために携帯電話のインフラに負荷を与えないだけでなく、番組の決済を携帯電話のインフラで行なうことで、携帯電話事業者の課金収入にもつながるとした。
また、リアルタイムにのみ番組が提供されるワンセグに対し、MediaFLOであればオンデマンドに視聴できるClipCastやデータ通信サービスなども用意。ワンセグとは競合するものではなく、お互いに補完できる存在としつつ、「iモードの成功はPCの世界のインターネットを携帯電話に最適化して、ユーザーがいつでも見たいコンテンツを楽しめるようにしたから。我々はiモードと同じことを放送で行なう」との考えを示した。
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対応端末のLG「VX9400」(左)とSamsung「SCH-u620」(右)
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番組はEPGからも選択できる
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■ URL
2007 International CES(英文)
http://www.cesweb.org/
ニュースリリース(Verizon)
http://news.vzw.com/news/2007/01/pr2007-01-07c.html
(甲斐祐樹)
2007/01/12 17:17
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