FOE 2007の専門技術セミナーでは、USENの最高技術責任者兼グループ事業統括本部副本部長でGyaO事業本部技術局長も務める二木均氏が登壇。無料の動画配信サービス「GyaO」の概要や今後の展開について語った。
■ 「無料」「コンテンツの入れ替え」がGyaO成功の秘訣
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GyaO事業本部技術局長の二木均氏
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2005年4月にサービスを開始したGyaOは、ユーザー数は2007年1月23日時点で1,300万を突破。ユーザー数もピーク時は100万ずつ増加しており、メールアドレスを設定することで再登録が可能になって以降も毎月30万人近くの新規ユーザーを集めているという。
二木氏によれば、GyaOが成功した秘訣は有料の動画配信サービス「ShowTime」にあるという。ShowTimeはUSENと楽天が共同で運営しており、すでにサービス自体は黒字化を達成しているものの、会員数は伸び悩んでいたと二木氏は説明。「100円でも300円でも、価格にかかわらず有料というだけで会員数は伸びない」との考えから、ShowTime内で無料コンテンツを利用した実験を行なった。
具体的には同じコンテンツを無料と有料で用意し、1話のみを無料にする、3カ月で料金設定を変更するといった施策を行なったところ、無料コンテンツの場合、加入率が有料コンテンツに比べて50倍まで伸びるという成果が得られたという。また、「ShowTimeでは常にすべてのコンテンツがアップされているが、いつでも見られるサービスだと3カ月程度でユーザーは来なくなってしまう」とのデータも紹介。「GyaOは思いつきで始めたサービスのように思われているが」と前置いた上で、「無料かつ数百のコンテンツを毎日入れ替えていることがGyaOの秘訣」とした。
■ 性別や年齢、地域情報に基づいて広告を展開
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ユーザーごと異なる動画広告を挿入
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無料で視聴できるGyaOは、広告で収益を得るビジネスモデル。動画コンテンツの間には15秒から30秒の動画広告が挿入されるほか、動画と連動したバナー広告や、Amazon.co.jpを使ったアフィリエイト広告も展開。ユーザー登録時に入力された郵便番号や世代、性別情報に基づいたセグメント別広告も実施しており、「同じ動画でも地域ごとことなるCMを挿入したり、アルコールや煙草のCMを20時以降に表示するといったコントロールも可能」とのメリットを示した。
広告展開にはこうしたユーザーの視聴動向データが重要なために、CDNを使ったマルチキャスト配信は行なわず、GyaOのサーバーから直接コンテンツを配信するユニキャスト配信を採用。動画広告はコンテンツを分割して挿入するのではなく、1つのコンテンツに適切な動画広告を挿入してする作業をGyaOのサーバーで実施。ユーザーごとに異なる動画広告のを配信しているとした。また、コンテンツの著作権上、海外からのアクセスやアクセス数が極端に多いプロキシサーバーからのアクセスを拒否するという対策も行なっているという。
二木氏は、「最近ではテレビで広告を出しても若い世代に届かない」とした上で、「GyaOを毎日見ている人のうち、50万人くらいがM1(20~34歳男性)と呼ばれる若い層。そうした世代に広告が届けられるということで、自動車メーカーなどが前向きに広告を出している」と説明。「今では電通・博報堂でもGyaOを含めた広告パッケージを展開しており、やっとGyaOが広告媒体として定着した感がある」との感想を述べた。
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ユーザーの視聴データが重要なためマルチキャストではなくユニキャストで配信
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1つの動画データを動画を挿入し、ユーザーごと異なるパッケージを作成
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■ PCレスの「GyaO+」、モバイル向け動画配信などサービス拡充
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GyaOの現状
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一方で、「PCでGyaOを見るのは男性層が圧倒的」との課題も指摘。さらなるユーザーの拡大に向け、PC以外へのサービス展開も積極的に進めていく。
その1つがGyaOがテレビで視聴可能になる「GyaO+(Plus)」。詳細は2月1日に発表予定だが、リモコンを使ってGyaOをテレビで視聴することが可能で、「テレビで見られることでこれまでと違うユーザー層へアピールできる」と二木氏はコメントした。
携帯電話向けの動画配信も拡充。現在はNTTドコモのFOMA向けに、専用アプリを使って秒間3フレーム程度の動画を配信する「公式版ケータイGyaO」を展開しているが、近日中にWindows Media DRM対応の動画配信をドコモ向けに開始するという。二木氏は「現在ドコモのパケホーダイはiモードに限定されるが、iモード以外でもパケホーダイが利用可能になる料金プランが近日中に発表される」とし、その改定に合わせて新サービスも発表するとした。ビットレートなどは未定だが、二木氏は「128kbps程度のクオリティになるのではないか」との考えを示した。
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テレビでGyaOが視聴できる「GyaO+」
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GyaOの現状
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■ URL
FOE 2007
http://www.foe.jp/
GyaO
http://gyao.jp/
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(甲斐祐樹)
2007/01/24 17:07
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