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【WIRELESS JAPAN 2007】
アセロスが語る「IEEE 802.11の今後の展開」

 WIRELESS JAPAN 2007のネットワークコンファレンス IEEE 802ワイヤレス技術フォーラムでは、アセロス・コミュニケーションズ フィールドアプリケーションエンジニアの百名盛久氏が、IEEE 802.11の標準化動向や周波数開放について講演を行なった。


時速200kmで通信する「IEEE 802.11p」などさまざまな規格を策定

アセロス・コミュニケーションズ フィールドアプリケーションエンジニアの百名盛久氏
 IEEE 802.11のTask Groupでは、IEEE 802.11a/b/g、IEEE 802.11nといった規格が有名だが、百名氏はこれら以外のTask Groupの活動も紹介。「無線LANは静止時もしくは歩行速度で使うものと考えられがちだが、これを路車間や車車通信でもサポートしようというのがIEEE 802.11p」とし、北米での5.85~5.95GHz帯を利用した時速200km、通信距離1kmをターゲットに検討を進めている」とした。

 IEEE 802.11pの利用シーンとしては「家の車庫に車を止めている時に音楽などのコンテンツをダウンロードする」「ゲートを通り抜ける際のチェック」「ガソリンスタンドでの支払い」などの例を紹介。実際に料金所を使った実証実験や、時速100kmでの車車間通信での実験風景などを公開した。

 静止時での利用が中心である無線LAN規格を高速移動時にも利用するため、IEEE 802.11pでは無線LANに比べて接続の手順も簡略化されている。具体的には無線LANのスキャンや認証などを行なわず、アクセスポイントが定期的に発信するビーコン的なフレームをクライアント側が受け取った瞬間にデータ送信を可能とすることで、高速移動中でも利用が可能になるとした。

 このほかにも、共通のSSIDが設定されたアクセスポイントへのハンドオーバー時間を最小限にするための「IEEE 802.11r」、3GPPなど「外部ネットワークとの相互接続に向けた「IEEE 802.11u」、通信技術ではなく、仕様書に対して変更や修正をかけるための「IEEE 802.11m」といったTask Gropが存在。また、Task Groupの前段階となるStudy Groupでは、IEEE 802.11nを超える高速化を実現するための「IEEE 802.11/VHT SG(Very High Throughput)」、アクセスポイントを介さず端末間で通信することで、ネットワーク負荷の半減および品質向上を図る「IEEE 802.11/DLS SG(Direct Link Setup)」も構成されているとした。


IEEE 802.11の変遷 Task Groupの一例

時速100kmでの車車間通信の実験 IEEE 802.11pの特徴

IEEE 802.11pの利用イメージ IEEE 802.11nを超える速度を検討するStudy Groupも

5GHz帯の周波数開放で面的エリア展開が可能に

5GHz帯無線LANの開放状況
 国内における5GHz無線LANが開放された経緯についても説明。2000年に屋内システム用として開放された5.15~5.25GHz帯は日本独自のチャネル構成だったため、2005年には国際規格に合わせるためにチャネルを10MHzシフトするとともに、新たに5.25~5.25GHzを屋内無線LAN向けに開放。さらに2007年1月には屋内外で利用できる5.47~5.725GHz帯を開放し、6月にはIEEE 802.11nの規格に合わせて40MHzでの無線LAN運用が可能になったとした。

 こうした周波数開放により5GHz帯の利用可能チャネルが大幅に増えたことで、百名氏は「無線LANの面展開ネットワークにメリットが生まれる」と指摘。2.4GHz帯のIEEE802.11b/gでは干渉を受けずに利用できるチャネルが少ないが、IEEE 802.11aであれば同じチャネルを利用するアクセスポイントの距離を離すことが可能になり、「きれいな帯域で干渉ない面展開が可能になる」とした。


関連情報

URL
  WIRELESS JAPAN 2007
  http://www8.ric.co.jp/expo/wj2007/

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(甲斐祐樹)
2007/07/18 20:11
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