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【NGN+S2007 Autumn】
NTT東日本大木副社長「NGNの基本プランは現行サービスの同額程度を予定」

 11月20日に開催されたNGN+S2007 Autumn初日の基調講演には、NTT東日本の大木一夫代表取締役副社長が登壇し、NTTグループが2008年3月のサービス提供を予定する次世代ネットワーク「NGN」について講演を行なった。


2008年にもFTTHの加入者数がADSLを超え「光の時代に突入」

NTT東日本の大木一夫代表取締役副社長
 大木氏は初めに日本におけるブロードバンドの動向をデータを用いて説明。ブロードバンドの加入者数が2,700万を超える一方、固定電話の加入者数は5,400万と年々減っているほか、IP電話も1,500万を超えるほど加入者が伸びており、「2000年くらいを境としてトレンドが変化している」とした。

 ブロードバンド回線では依然としてADSLが半数近くを占めるが、FTTHが1,000万回線近い加入者を集めて急激に伸びていると指摘。「光は四半期ごとに80万近いレベルで伸びており、DSLは2006年の第1四半期から純減している」との状況を踏まえ、「2008年には加入者数全体でもFTTHとADSLが逆転するだろう」とコメント。NTT東日本の加入者数も300万がピークだったADSLに対してFTTHは400万を突破しており、「まさに光の時代に入ったと確信している」との考えを示した。

 一方、ブロードバンド化によってトラフィックは急増しており、「日本のトラフィック規模は700Gbps相当と1年で約1.4倍の伸び。2008年5月には1Tbpsに達するだろう」。大木氏はこうしたインフラ面の課題も踏まえた上で、「新たなサービスをいかに提供していくかが重要」とした。


日本の情報通信サービス加入者数の推移 ブロードバンド回線数の推移

NTT東日本のフレッツ純増数 フレッツシリーズの施設数推移

NGNは電話とIPそれぞれの特長を生かした次世代ネットワーク

NTTが次世代ネットワークで目指すもの
 NGNに関しては「長年かけて作り上げた電話の世界と、この10年近くで進化してきたIPの世界、それぞれの特長を生かした次世代ネットワーク」と説明。信頼面でも「春にはIP電話の大きなトラブルでご迷惑をおかけしたが、NGNでは電話で培った信頼性や安定性も重視する」とし、「多様なサービスをIP技術によって低コストで実現する」との狙いを示した。

 具体的な特徴としては、ベストエフォート型の通信に加えてネットワーク制御で品質を確保する「QoS」、回線ごと割り当てたIDでなりすましや不正アクセスなどを防止する「セキュリティ」、当初から大規模ネットワークを想定して構築したネットワークによる「信頼性」、インターフェイスを他事業者に公開する「オープンなインターフェイス」の4点を説明。「NGNのキーワードはオープンとコラボレーション。NTTだけが抱え込んでいくのではなく、他の事業者やパートナーと協業していく」とした。

 2006年12月から開始していたNGNのフィールドトライアルでは、情報家電ベンダーやコンテンツ事業者に加え、相互接続などの確認のために他の回線事業者やプロバイダーも参画。東京と大阪にNGNのサービスが体験できるショールームを開設したほか、NTTグループ社員や約500名の一般モニター向けにもNGNのトライアルサービスを提供した。

 トライアルでは通常のインターネット接続とテレビ電話サービスに加え、高品質のIP電話や地上デジタルのIP再送信、ゲームソフトのダウンロード配信などを提供。ショールームの来場者でアンケートに回答した300名のうち8割弱が「NGNで生活やビジネスが変化する」と回答しており、地上デジタルの再送信や認証サービス、ハイビジョン映像配信に注目が集まったという。

 モニターからの評価では、「帯域保証のメリットがわかりにくい」「テレビ電話や高品質IP電話には専用端末が必要」との課題が指摘された一方、「映像系のサービスは評判が良かった」と大木氏は説明。さらに高品質IP電話は「今までに無いものという実感が得られる」と高く評価し、「今後の電話機ではこの品質が標準化されれば」との期待を示した。


NGNの特徴 フィールドトライアルの参加企業

ショールーム来場者の声 モニターの評価

2008年3月より商用サービスを開始。基本料金はBフレッツと同程度を予定

商用サービスのスケジュール
 NGNの商用サービスは、2008年3月の開始を目標に現在活用業務の認可申請を行なっており、当初は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の一部エリアでサービスを開始。2008年度第2四半期には東京23区や横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市へ、第3四半期には札幌市や仙台市、新潟市など県庁所在地級へエリアを展開し、2010年までに「現行の光アクセスサービス提供エリア全域に拡大したい。これで電話加入者数の80%近くはカバーできる」との目標を示した。

 具体的なサービスメニューに関しては「Bフレッツで提供するサービスはすべてサポートする」としたほか、「プラスアルファとして高品質なIP電話、SDやHD品質のテレビ電話も提供する」と説明。具体的な料金に関しては「現在も詳細を詰めている」と明言を避けたが、「基本的には既存のBフレッツと同等な料金で、その上でQoSなど新しいメニューに付加的な料金を加算する」と語った。

 NTTが目標としていた光アクセス加入者数目標値の下方修正についても触れ、「当初掲げていた3,000万という数字は単に固定電話の6,000万を半分にしただけ」とコメント。「その後3年間に渡ってサービスを続けていく中でマーケットもつかめており、年度末には1,000万まで到達するといった需要動向を踏まえて新たに2,000万という数字を設定した」と語り、「電話の開通ピーク時の数値が年間に330万回線で、それを毎年続けてたどり着く数字。目標を下げたというよりも、実際の動向を踏まえて積極的に光アクセス化に取り組む宣言だと思っている」と語った。


商用化時のサービスメニュー 光アクセスの純増数推移

関連情報

URL
  NGN+S2007 Autumn
  http://www.ric.co.jp/expo/ngns2007a/

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(甲斐祐樹)
2007/11/20 16:25
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