フェンリルは28日、同社の開発者とユーザーの交流イベント「フェンリルユーザーミーティング」を開催した。イベントではSleipnirの新サービスやプラグインなどが発表されたほか、WebKit対応や他プラットフォームへの展開も検討していることが明らかにされた。
■ SDKや新ポータルを公開。WebKitへの対応も予定
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イベントの模様
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フェンリルの開発チームからは、Sleipnirのプラグイン開発のためのSDK公開を発表。「SDK公開は長い間待たせてしまったが、今年こそは公開するという覚悟で臨んでいる」とし、「温かい目で見守って欲しい」と語った。
今後のSleipnir開発方針としては、Geckoエンジンの作りこみやプラグインの充実を挙げた上で、「もっさり感を軽減し、より安定したSleipnir」という目標も掲げられた。また、ブラウザのレンダリングエンジンとしてSleipnirで採用しているTrident、Geckoに加え、新たにアップルのSafariで採用されているWebkitについても実装を検討しているという。開発チームは「まずはGeckoの作りこみで安定度を向上させてから」と断った上で、「SleipnirでもWebkitを使えるようにしたい」との方針を示した。
フォルダ構成やデザインといったユーザーインターフェイスの面でも、「より使いやすく直感的にしていきたい」。一方で、「ユーザーからはあれこれ手をつけて中途半端にならないで欲しいといわれており、きちんと1つ1つを順番に開発していき、ユーザーに喜んでいただけるよう開発チーム一同がんばっていきたい」と語った。
ポータルチームからは、Sleipnir向けの新ポータルページについて説明。これまでSleipnirではiGoogleの機能をベースとした「Pota(ポータ)」を提供していたが、「元々iGoogleの機能が優れていることもあり、Potaの機能についてはマイナス面の指摘が多かった」と説明。「スタートページとは何なのか、どういったページが使ってもらえるのか、そうした根本的なところから作り直していく」とし、開発中の新ポータルを公開した。
新ポータルは検索フォームを中心としたシンプルなデザインを採用し、検索フォーム下のアイコンによって検索サービスを切り替えられる。検索サービスはドラッグ&ドロップで追加でき、アイコン下の▼マークをクリックすることでRSSリーダー機能を表示することも可能。さらに「プラスアルファのコンテンツも考えている」とし、「今はまだフェンリルとして出すべきレベルになく、デザインを完全に作り上げてから公開したい」とした。
■ 新プラグインも多数公開。モバイルやMac対応も視野に
開発室は、Sleipnir向けの各種プラグインを紹介。現在フェンリルのラボで公開されている、ドラッグ&ドロップ機能にSleipnirの機能を割り当てられる「SuperDrag Extension」は7月の正式公開を予定。「正式版では設定もSleipnirオプションから行えるようになる」とし、「ユーザーの要望も取り入れ、カスタマイズも可能になっている」とした。
Sleipnirのエクスプローラバーの表示方法を拡張する「Nun Extension」ベータ版も紹介。Sleipnirでエクスプローラバーを表示すると、ブラウザの表示領域がエクスプローラに合わせて移動するが、Nun Extensionはエクスプローラバーをブラウザの表示領域の上に重ねるように表示することができるようになる。
クライアント型のRSSリーダー機能「Headline-Reader Plugin」も1.2.5にバージョンアップ。URLフィルタによるスパム対策機能が追加された。このほか開発中のプラグインとして、ドラッグ操作でブラウザの表示領域を移動できる「Panning Extension」も紹介。「まだまだ公開を待機しているプラグインもいくつかあり、今後も期待して欲しい」と呼びかけた。
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SuperDrag Extension
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Nun Extension
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Headline-Reader Plugin 1.2.5
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Panning Extension
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フェンリルの柏木泰幸代表取締役社長は、「Sleipnirの歴史は、自分が中学生の頃開発したプログラムを先生に褒められたところからスタートしている。高校や大学も1人でプログラムを開発しては友達に使ってもらって喜んでいた」と自分の過去を振り返りながら、「ソフトウェアは無機質なものではなく開発者とユーザーがつながるすばらしいもの」とコメント。今回のユーザーミーティングについても「こうやってSleipnirを使ってくれている人が集まってくれるのはすばらしいこと。今後も開発者とユーザーが一体となれる会社を作っていきたい」との考えを示した。
今後の展開としてはモバイル向けブラウザやMac版Sleipnirの開発に加え、Sleipnirの海外展開も検討。ブラウザの他プラットフォーム展開については冒頭で紹介されたWebKit対応も含め「技術的にはほとんどが可能だが、問題は開発リソース」とし、「会社の組織としてそういった開発に着手できるよう、会社組織を開発している段階」とコメント。「最近は2ちゃんねるやフォーラムにあまり登場できていないがきちんと見ているので、要望をたくさん欲しい。要望があればあるほどSleipnirは良くなっていくので、期待していて欲しい」と呼びかけた。
■ URL
第2回フェンリルユーザーミーティング(フェンリルデベロッパーズブログ)
http://www.fenrir.co.jp/blog/2008/05/2.html
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(甲斐祐樹)
2008/06/30 11:36
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