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KDDI小野寺社長講演「NTTに取って代わる電話サービスを提供」

 10月7日より5日間に渡って、千葉・幕張メッセで行なわれているAV・通信関連の総合展示会「CEATEC 2003 JAPAN」。会期も終盤を迎えた10日には、KDDI代表取締役社長の小野寺正氏が「KDDIのユビキタス戦略」と題した講演を行なった。

 講演は、10月8日に発表した集合住宅向けのFTTHサービス「光プラス」を中心としたブロードバンド事業と、携帯電話サービス「au」の2つの話題を中心に展開された。ここでは前者を中心にお伝えする。


ブロードバンド事情、日米比較

KDDI代表取締役社長の小野寺正氏
 まず小野寺氏は、日米のブロードバンド事情から話を切り出し、「日本ではブロードバンドが猛烈に普及しているが、常時接続と定額料金がやはり大きかったのではないかと思う。米国の場合は、もともと市内通話が定額にできるので、ダイヤルアップでつなぎっぱなしにしても料金が変わらない。ここで差がついたのではないか」と分析。「米国の場合、ブロードバンド自体の魅力や、追加コストをはらってもいい、というサービスがでてこないと難しい」と語った。

 サービスについて小野寺氏は、「動画ストリーミングがやはり伸びてくるだろう。だが、DVDの画質で観ようと思ったら4~6Mbps、HDTVレベルになれば20~40Mbpsの帯域が必要になる。今はADSL全盛だが、2004年以降のことを考えるとどうしてもFTTHが必要だ」と語り、FTTHの将来性を強調。さらに、「下り方向のスピードだけを追求すればいいのかという問題もある」「ADSLでは安定性が問題。本格的で安定したブロードバンドサービスをやるにはFTTHでなくてはできない」といった理由を付け加えた。


「ブロードバンドは情報のコンセント」だという 「2004年以降を考えるとFTTH」と小野寺氏

「NTTはグループでやっているが、我々は1社でやっている」

アクセス回線からコンテンツまで一括してKDDIがサービスを提供する
 ここから話題はいよいよ「光プラス」に入る。小野寺氏は「Yahoo! BBがうまくいっている理由はなにかというと、アクセス回線からコンテンツまで一括で提供しているからだ。トータルで魅力を発揮している。我々もFTTHの分野で、どうやってその魅力を訴えていくかが重要だ。NTTはグループでやっているが、我々は1社でやっている」とコメント。「光プラス」が、回線からISP、コンテンツ配信までをKDDI自らが管理するビジネスモデルであることをアピールした。

 さらに、他社サービスとの差別化については「セットトップボックス(STB)だ」と明言。「やはり映像系が受けるのではないか。昨年からのトライアルでも“どうせ動画を観るのであればテレビで観たい”という結果が多かった。STBの提供で他社との違いを出していきたいし、これをメインに据えている」と語った。

 すでに、「光プラス」向けに、「Viewsic」や「カートゥーンネットワーク」、「スポーツ・アイESPN」、「スター・チャンネル」など専門チャンネルを中心に映像コンテンツの配信が決定されているが、「我々はもともと長距離事業者。コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)を全国に張り巡らしており、全国からさまざまなコンテンツを配信できる」とサービス面でも自信を見せた。さらに、「これだけではまだまだ需要を掘り起こせない。家庭向けのあらゆるサービスを組み込んでいこうと考えている」との意欲も示した。


ブロードバンドのシェア10%獲得を目指す

「光プラス」はインターネット、IP電話、テレビ配信の複合型サービス
 また、「光プラス」が提供するサービスのうち、大きく注目されているのがIP電話サービスだ。既存の電話番号をそのまま利用可能で、110や119といった緊急電話へのダイヤルもできる。IP電話サービスについて小野寺氏は「交換機ベースのままではどうしてもコストが高く、IP電話への移行は不可欠。今の一般電話のお客様がIP電話に移行するには何が必要か。やはりコストだろう。NTTに支払うメタル回線の基本使用料を不要にして、トータルコストを訴える」と語った。

 このようなサービスを始めたいきさつについて、「これまで、メタル回線の基本使用料のシステムを変えていこうと、NTTや総務省といろいろ交渉してきたが、このままでは現状を突破できる見込みがないことがわかった。ならば我々が新しい仕組みを作るほかない、と考えた」と述べた。講演中、「光プラス」の話題の中でも、特にこのIP電話に関しては、重点的に解説された。小野寺氏も「これに入れば、今までのNTTさんの黒電話は解約していただいてもかまわない」と語っており、相当自信を深めているようだ。

 「光プラス」は中型から大型のマンションを中心に展開するが、小野寺氏によれば、「2005年以降は小型マンションやアパート、一戸建てに展開していく」という。さらに、「近い将来、ブロードバンドアクセス契約が延べ3,000万になると言われているが、そのうちの1割はとりたいと思っている」とシェア獲得についても言及し、「光プラス」に関する話題を締めくくった。


関連情報

URL
  CEATEC JAPAN 2003
  http://www.ceatec.com/
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(伊藤大地)
2003/10/10 15:49
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