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インテル講演「広域エリアをカバーするWiMAXで現在の無線規格を補完」

 WIRELESS JAPAN 2004の最終日、インテル コーポレーションのマイケル・A・リッチ氏が「ブロードバンド・ワイヤレスがつなぐ未来~通信市場の変革をもたらすテクノロジーとは~」と題した講演を行ない、同社が提供する新しい無線方式「WiMAX」について解説した。


「融合」と「ワイヤレス」が急速に進む

インテル コーポレーションのマイケル・A・リッチ氏
 リッチ氏はインテル・コミュニケーションズ事業本部の副社長兼事業開発本部長を務める人物。講演冒頭ではまず「融合」をキーワードに挙げた。

「(銀塩式カメラやテープレコーダーなどの)アナログ機器が、急速なスピードでデジタル方式に置き換わっている。また単一の機能だけを持った機器が少なくなり、複合的な製品が増大した」(リッチ氏)

 また医療の世界や政治選挙の現場などでも、無線LANをはじめとしたワイヤレスネットワークの技術が効果的に使われていることに言及。さらにはアップルの携帯用HDD音楽プレイヤー「iPod」が一般ユーザーに受け入れられたことにも触れ、すでに「いつでも、どこでも、どんな機器でもコンテンツを楽しめる『融合』という名の時代だ」と語った。

 続いてリッチ氏は、融合の時代を読み解くための各論の解説に取りかかった。リッチ氏は「現在は、もうすでにブロードバンド・ワイヤレスの時代である」としたのち、「特に(IEEE802.11bを始めとした)Wi-Fi機器の成功は凄まじいもので、取り巻く法環境や絶対的なコストの面でも、有線ブロードバンドの成長を越えている」と、Wi-Fiの与えたインパクトの大きさに舌を巻いていた。

 なお、インテルではすでに「Centrino」と呼ばれるノートパソコン向けの製品を展開しているが、「WEPといった各種の無線設定を半自動設定できるサポートソフトも今年中にリリースする予定だ」とリッチ氏は語った。


「現在の無線規格を補完するのがWiMAX」

リッチ氏がデモンストレーションした無線設定ソフトは、今年中にもリリース予定だという
 そして次にリッチ氏が挙げたのはWiMAXの重要性だ。WiMAXとは先頃インテルがサポートを表明した無線規格で、IEEE 802.16方式をベースにする。1つの基地局で広範なエリアをサポート、1,000単位の端末へ高速な通信環境を提供するサービスだ。具体的な通信エリアや速度について講演内では触れなかったが(規格上は半径約50km、最大70Mbps通信を1台のアンテナで可能にする)、ラストワンマイル問題の解決にも適しており、ニュージーランドの一部ではすでに実用化しているという。

 リッチ氏ば「WiMAXへの投資額は大変なもの」とコメント、インテルの力の入れ具合をアピールする。インテルが今後販売するノートPC向けチップでもサポートすることに触れ、最終的にはWiMAXを携帯電話向けにも供給したいという方向性を語った。それらを総合し、2007年頃までにはWiMAXを本格化させたいとしている。

 ただこのWiMAXは「既存の無線通信技術を代替するものではない」(リッチ氏)。あくまでもWi-Fiや携帯電話ではサポートしきれない、中間的なエリアでの高速通信手段を提供するのが目的だという。「スキー場のような場所では携帯電話、その帰り道で都心部に戻ってきたならWiMAX、自宅に戻ったときはWi-Fi」と使い分ける用途をリッチ氏は想定。「無線技術は、決して1種類だけですむものではない。どの規格が主流になるかは常に流動的であるし、WiMAXも他の技術と共生できるようにする」と説明した。

 また、それにともない、「使用する無線規格が途中で変わっても、それを意識しないですむような、シームレス通信技術の提供も目指す」と、大きな目標を掲げている。


関連情報

URL
  WIRELESS JAPAN 2004
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2004/
  インテル
  http://www.intel.co.jp/


(森田秀一)
2004/07/23 20:09
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