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【ITU TELECOM ASIA 2004】
ITU事務総局長内海氏「アジアが通信市場の未来を牽引する」

ITU 事務総局長の内海善雄氏
 ITU TELECOM ASIA 2004初日の9月7日には、「Asia Leading the Future」と題した開幕基調講演が行なわれた。本講演ではITUの事務総局長である内海善雄氏がアジアにおける通信市場の現状や今後の展望について語った。

 内海氏は初めに、現状におけるアジアの通信市場の成長度について説明を行なった。内海氏によれば、2003年のアジア通信市場は、10年前から約10倍の成長を遂げ、通信サービスのユーザー数は10億ユーザーを超えたという。また、内海氏は世界全体でのモバイルと固定回線ユーザーのうち1/3を、ブロードバンドと3G携帯電話ユーザーの約半分をアジアが占めている点を指摘。さらに3G携帯電話市場ではアジアが国際的な先駆者の役割を担っていることが「アジアが通信市場の未来を牽引していく」理由につながるという。

 アジアのブロードバンド市場では、DSLが72.5%ともっとも普及しており、次いでCATVインターネットが22.1%、ワイヤレスインターネットやFTTHといったその他のブロードバンドが合計で5.4%。アジアの主要国における住民100人あたりのブロードバンド加入者数を国別に比較すると、アジアでもっとも高いのは韓国の23.3だが、国内でのブロードバンドの全体的な浸透率では香港が高いという。また、日本は台湾の13.4に次いで4番目となる11.7という数値が示された。

 一方、ブロードバンドを価格面で見ると日本が突出している。内海氏はITUが2004年に発表した調査結果の中から、ブロードバンドサービスの月額料金を100kbpsあたりの単価で算出した国別の数値を紹介。日本の次に安価な韓国の0.24ドルと比較しても、日本は0.06ドルと一桁違う価格を実現している。また、ブロードバンドにおけるエントリーサービスの月額総費用比較でも、日本は16.78ドルと中国に次いで安価ながらも、中国の512kbpsと比較して倍の1,024kbpsのサービスを提供している。


 これらアジアにおける通信市場の成長を踏まえて内海氏は「今後、通信市場におけるリーダーシップを取るのは、米国に代わって中国となるだろう」と指摘。米国と中国の通信サービスを比較した場合、2004年にはブロードバンドユーザー数で、2008年にはインターネットユーザーの総数で中国が米国を上回るだろうとの予測を示した。

 また、3G携帯電話で先駆者的な地位にあるアジアだが、中でも日本と韓国の2国は飛びぬけて大きな存在だという。世界全体での3Gユーザー約1億1,800万のうち、1億300万ユーザーともっとも主流なCDMA 1x方式では日本と韓国が合わせて35%近いシェアを誇るほか、より高速な方式であるW-CDMAとCDMA 1xEV-DOでは日本と韓国がその80%以上を占めている。

 内海氏は今後のユビキタスネットワーク社会の実現に向けた技術として、9月6日(現地時間)にITUが発表したレポート「Portable Internet」を紹介。モビリティは高いが通信速度が低い3G携帯電話、通信速度は高いがモビリティが低い無線LANとの中間に位置する「Portable Internet」市場の可能性があるとし、その市場を実現する次世代のワイヤレス標準技術としてWiMAXやMIMOの名前を挙げた。


アジアが未来を担う5つの理由 世界を牽引するアジアのブロードバンド市場

ブロードバンドの価格面では日本が優れる 2004年にはブロードバンドで中国が米国を越えるとの予測

関連情報

URL
  ITU report, "The Portable Internet", foresees a wire-free future
  http://www.itu.int/newsroom/press_releases/2004/19.html
  ITU TELECOM ASIA 2004
  http://www.itu.int/ASIA2004/


(甲斐祐樹)
2004/09/07 19:18
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