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【CEATEC JAPAN 2004】
「移動網」の時代をNTTはいかに乗り切るか

 CEATEC JAPAN 2004では、NTTの和田紀夫代表取締役社長による基調講演「新たなブロードバンド社会の実現に向けたNTTの取り組み」も行なわれた。現在策定中の同社中期経営計画などに触れながら、将来的なネットワーク構成の展望などを語った。


固定網から移動網への大転換

NTTの和田紀夫代表取締役社長
 講演冒頭で和田氏は、世界の通信業界について「固定網から移動網、音声からデータへと移りつつつある」と改めて現状を解説。とくに携帯電話の普及台数を強調した。日本国内だけで約8,000万台が利用され、うち7,000万台強はiモードをはじめとしたデータ通信が可能な端末となっている。

 和田氏は「携帯電話のパケット通信でも定額制サービスがスタートした。今までのビジネスモデルが通用しないことは明らか」と語った。NTTの管理するネットワーク全体についても、トラフィックの増大やサイバーテロ対策、ネットワークの悪用防止、さらには大災害時への対応など、多くの課題が山積みである現状を危惧した。

 NTTではこれらへの対応策を、新たに制定する中期経営計画に盛り込む予定だという。また、携帯電話の問題だけでなくユビキタス社会実現に向けての施策も同様に盛り込む。CMなどでも目にする「レゾナント・コミュニケーション」というスローガンも、ユビキタス社会をNTTなりに解釈した上での造語だと和田氏は説明した。

 この中期経営計画は、NTTが今後構築する“次世代ネットワーク”の方向性を決めるものでもある。「光ファイバー化やIPv6を前面に打ち出しつつ、電話網の利点である安定性の高さと、IP網ならではの柔軟性を兼ね備えたものにしなければならない」と和田氏は語っている。


固定網と移動網の連携が必須に

 続いて和田氏は次世代ネットワークについて解説。「まず大前提となるのは、従来からある固定電話網の維持。その上で、回線交換機器の老朽化などに対応する形で光ファイバやIP電話技術も取り込んでいく」。

 実現に向けて検討すべき課題は多い。講演中では、IP電話の音声遅延を具体的にどの値まで許容するか、緊急性の高い通信を輻輳時に優先させたい場合はどうするかといった事を例に挙げて、「関係する団体も多く、一通信事業者では決定しきれない」という。政府や業界団体による話し合い、一般顧客からも理解を得ていくことが重要だとしている。

 和田氏が期待を寄せるサービスとしては、「固定網と移動網の連携」を取りあげた。グループ会社のNTTドコモでは無線LANによる内線通話をサポートする携帯電話端末なども開発。また、講演の同日にはFOMAと固定電話間で動画をやりとりする試験サービスも発表した。今後は、利用シーンに応じて固定網と移動網を使い分けたり、シームレスに連携させることが一層顕著になるとしている。


関連情報

URL
  CEATEC JAPAN 2004
  http://www.ceatec.com/

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(森田秀一)
2004/10/05 21:51
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