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AOGC 2005、韓国におけるオンラインゲーム関連の調査・研究報告
~「ゲームリテラシー」でオンラインゲームの世代間ギャップを埋める~

 ブロードバンド推進協議会が3月1日まで開催している「アジア オンラインゲーム カンファレンス 2005(AOGC 2005)」では、韓国におけるオンラインゲーム関連の調査・研究報告も行なわれた。同国サイバー文化研究所の金良恩所長が行なった講演「韓国オンラインゲーマー特性の世代間の差」をレポートする。

 金氏らが行なった調査は、ソウル近郊に住むオンラインゲーム経験者の12歳から18歳までの青少年1,065人と、20歳から49歳までの成人1,036人を対象に行なったもの。調査対象の約4割は女性。青少年では414人、成人では430人の女性オンラインゲームプレーヤーが含まれている。


オンラインゲームの活用術、子供はコミュニケーション、大人はお金儲け

サイバー文化研究所の金良恩所長

青少年と成人の好むジャンル
 「プレイステーションなどの家庭用ゲーム機を所有するのは一部のマニア層」とコメントする金氏は、韓国の各世代が利用するオンラインゲームを説明。青少年の場合は、多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム(MMORPG)が54.6%に達し、成人では「Webボードゲーム」が72.0%を占めたという。なお、このWebボードゲームとは、花札やトランプなどのテーブルゲームを指す。

 続いて、オンラインゲームをプレイする動機を分析。青少年に関しては、「レベルが上がるのがおもしろい」などゲームそのものの楽しさに加え、「友だちと遊ぶため」「オンラインでの人付き合いがおもしろい」などの動機が報告された。こうした背景には、「テレビのチャンネルが少ない韓国では、オンラインゲームがコミュニティ性、メディア性を強く持つようになったのではないか」との見解も示した。

 一方、成人のオンラインゲームをプレイする動機では、「レベルが上がるのがおもしろい」のほかに、「お金を儲けることができる」「ほかのレジャー活動より利用料金が安い」など経済的な理由もあったという。「これは、オンラインゲーム内の通貨を現金に換金するサービスやRMT(Real Money Trade)の仲介サイトの存在が影響を与えている」と分析した。

 また、「韓国では、職場で昼休みなどを利用して、オンラインゲームを楽しむケースも少なくない。そのため、時間も取らずに手軽にプレイできる花札やトランプなどが成人層には好まれているようだ」と解説。「子供たちには『家庭で親がゲームをプレイする姿を見たことがあるか』と尋ねたが、ゲームする姿を見せる親は少ないようだ」とし、大人たちが家庭では遊ばないゲームを職場で遊ぶという韓国の傾向を紹介した。

 なお、「オンラインゲームの中で自分の友人に会う」と回答した青少年は61.6%となる一方、成人は18.9%にとどまった。成人の41.7%は、友人とのコミュニケーションに掲示板など活用すると回答しており、ゲームをコミュニケーションにも利用する青少年と、ゲームはゲームとして利用する成人とで対照的な結果になっている。


オンラインゲームで友達作りする子供、ゲームばかりと怒る親

 今回の調査では、オンラインゲームの平均接続回数は青少年で週4回、成人で週3.5回、1回のゲームあたりの平均時間では青少年が1.63時間、成人で1.48時間という利用実態が判明している。

 金氏は、これらの基礎データや韓国内での数値などを独自に指標化して、ゲームプレイヤーを「中毒危険集団」「中間集団」「非中毒集団」に分類。各分類ごとにプレイヤーと家庭の関係についての調査研究を発表した。

 「日本でもゲームの中毒性が問題になっているようだが、中毒になっているプレイヤーと親ではオンラインゲームに対する認識が異なっている点が問題」だという。「“ゲーム中毒”になっているプレイヤーは、青少年・成人に関わらずMMORPGにハマっている傾向が高い」と指摘。「MMORPGは、友人とのコミュニケーションを楽しむ側面も強く、子供たちは友達を作ったり、遊んだりする機会と捉えているが、何も知らない親はゲームばかりしてと感じてしまう。このギャップを理解せずに、ゲームばかりするなと叱っても無意味だ」と、親とインターネット世代である子供たちとの意識のギャップを解説する。

 「先日スポーツセンターで、『メイプルストーリー』というオンラインゲームのマンガをもった女の子と話す機会を得た。最初は見知らぬ人から話しかけられたため、なかなか話をしてくれなかった。そこで、メイプルストーリーのレベルは何レベルまで上がったのとたずねたら、『どこそこではレベルが上がりやすい』などゲームの話で1時間以上コミュニケーションできた」

 もともとはメディア教育の研究者だったという金氏は世代間意識の差を埋めるために、「メディアリテラシー」ならぬ「ゲームリテラシー」の重要性を訴える。「オンラインゲームを遊ぶ世代は、ゲームを通じてコミュニケーションし、文化を広めようとする。その世代と同じ文化圏にいるかどうかがポイント。コミュニケーションできれば家庭における世代差も克服できる」と指摘。また、学校でコミュニケーションの教材としてオンラインゲームを取り上げたり、業界的にも「なりすましログインの防止機能」「ゲームレベルの明記」など安全性の向上に取り組んでほしいと呼びかけた。


オンラインゲームの特徴 家庭、学校、業界といった各方面でにおける「ゲームリテラシー」が重要だという

関連情報

URL
  アジア オンラインゲーム カンファレンス 2005
  http://www.bbassociation.org/AOGC2005/


(鷹木 創)
2005/02/28 19:14
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