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アクセスポイント、アダプタでも利用できるロジテックのモバイルルータ


 ロジテックのモバイル無線LANルータ「LAN-PWG/APR」は、利用環境に応じて「アクセスポイント」「ルータ」、そして「アダプタ」の3つの機能を切り替えて利用できる1台3役の製品だ。手のひらサイズとコンパクトなため、持ち運びにも大変便利な点も特徴である。


「アクセスポイント」「ルータ」「アダプタ」の3モードを切替可能

ロジテックの「LAN-PWG/APR」。標準価格は10,290円。ダイバシティアンテナは内蔵型
 昨年以降、精力的にネットワーク関連の新製品をリリースしているロジテック。それまで、親会社のエレコムが展開していたラニードブランドのハードウェアを事実上引き継ぐ形で、スタンダードなハブやLANボードはもちろんのこと、過去に紹介したLANアダプタとUSBハブを一体化した「LAN-TX/U1H2」のように、オリジナリティのある製品もラインナップに加えつつある。

 今回紹介するモバイルルータ「LAN-PWG/APR」は、「無線LANアクセスポイント」「無線LANルータ」、そして「ネットワークアダプタ」の3つの機能を切り替えて利用できる。利用するモデムの種類に応じてルータ機能の有無を切り替えられるほか、アダプタとしてデスクトップパソコンやデジタル家電の無線化にも対応するという、非常に欲張りな製品だ。以前、本連載で紹介したBelkinの「Wireless G Travel Router」とよく似ている。

 このうち、アクセスポイントとルータを切り替えられる機能は、昨今の1つのトレンドでもある。プロバイダーの変更やモデムの交換などにより、ルータ機能が不要となるケースは少なくない。こうしたときにルータ機能をスイッチ1つでオン・オフできれば、長く使う上で非常に重宝する。また、ホテルでの利用など、設置環境が頻繁に変わるモバイルユースにおいても、ルータ機能の有無を切り替えられる点は有り難いところだ。

 手のひらにすっぽり収まるコンパクトな筐体は、モバイルユースはもちろんのこと、家庭内での利用シーンにおいても重宝する。例えば、AVラックに収納しているネットワーク対応のデジタル家電を無線化したいが、ラックが狭くてネットワークアダプタを入れるスキ間がないという場合、本製品の約2cmという薄さはメリットは大きい。


本体は手のひらサイズで、重量も55gと軽量 ウィルコムの「WX310K」と並べると、コンパクトさがよくわかる。上面には無線LAN・有線LAN・電源の3ステータスを表示するLEDを装備している

胸ポケットに収まるコンパクトサイズ。付属品・基本機能ともに高水準

 まずは、本体の外観と同梱品をチェックしていこう。筐体は文字通り手のひらサイズで、胸ポケットに収められてしまうというコンパクトさだ。上述のBelkin製品とほぼ同じサイズであるが、筐体が薄いこともあって、本製品の方がよりコンパクトに感じる。ちなみに、3モードの切り替えは本体底面のボタンで行なう。


背面にはLAN/WANポートと、リセットボタン、電源ジャックが並ぶ アクセスポイント/ルータ/アダプタの各モードは底面のスイッチで切り替える。切り替えは電源をオフにした状態で行なうよう注意書きがある

 添付されているLANケーブルはフラットタイプ。固いLANケーブルが付属していたBelkin製品に比較すると、取り回しに便利で、後述のポーチへの収納時にもかさばらない。また、Belkin製ルータの場合、脚部のパーツが滑り止めの役目を果たしておらず、ケーブルの反発力に負けてズルズル動いてしまうことがあった。本製品の脚はしっかりとした滑り止めで安定感があり、設置場所が容易にずれない。このあたりは、先行している同等製品を研究して作り込んであるという印象だ。

 パッケージには、持ち運びを前提としたポーチが同梱されている。過去に何度か紹介したモバイルルータのポーチと比べると、かさばる印象もなく、持ち運びには便利だ。Belkin製品のウレタン製ポーチほどの耐衝撃性はないものの、合皮製のしっかりした作りで、チープさは感じない。

 無線LAN規格はIEEE 802.11b/gに対応し、64/128bitのWEP、WPA-PSK、WPA2-PSKなどをサポートする。これら暗号化方式は、アクセスポイント/ルータ/アダプタの全モードで使用できる。

 ルータとしては、プロトコル/IPフィルタリング、仮想サーバー、特殊アプリ、DMZホストといった機能を備えている。SPIを装備していない程度で、コンシューマ向けのルータ製品として大きな死角はないと言える。IEEE 802.1x認証には対応しないが、法人ユースの製品ではないので、これは特に問題にはならないだろう。


ポーチを開けた状態。ルータ本体をはじめ、ACアダプタ、LANケーブル、USB給電ケーブルが収納できる ACアダプタは本体の半分程度の表面積。本体と比較するとやや大柄に見えるが、さすがにこれ以上のコンパクト化は厳しいのかもしれない

3モードとも基本に忠実な作り。USB給電にも対応

Web設定画面は、至ってオーソドックスな作り
 各モードごとの設定については、Web設定画面から行なう。有線もしくは無線で本製品の設定URL(192.168.1.200)にアクセスして必要項目を入力するという寸法だ。設定画面は至ってシンプルなインターフェイスで、地味といえば地味な作り。ウィザードも必要最小限の内容だが、おそらく初心者が1台目に購入する製品という位置付けではなく、ターゲット層からして必要ないという判断なのだろう。ただし、画面の遷移についてはやや遅めであり、キビキビと切り替わる印象はない。

 いずれのモードも、Web設定画面の項目が非常に似通っているため、意図せぬモードのまま設定を続けてしまい、最後になってモードが違っていることに気づくケースもありそうだ。モードごとに画面の配色を変えたり、モード名をイラストで大きく表示するなど、何らかの配慮が欲しかった。

 なお、有線LANインターフェイスは1ポートしかないため、ルータとして使用する場合はここをWANポートとして使い、クライアントパソコンとは無線で接続する形になる。このため、ルータモードで設定画面にアクセスする際には、無線LAN接続のみとなるので注意したい。ちなみに、設定画面にアクセスするIPアドレス、ユーザ名、パスワードは、各モードで別々に設定することも可能だ。

 各機能をざっと使ってみた感想としては、いずれの機能も基本に忠実な作りで、安定して利用できる。特にルータモードは、この種の製品にしてはきちんとPPPoEに対応するなど、国内のインフラ事情に応じて丁寧に作りこんである印象だ。ダイヤルアップすらおぼつかない一部の海外製モバイルルータとは雲泥の差である。

 なお、本製品はUSBによる給電をサポートしている。特にアダプタモードで使用する場合、ネットワーク対応のAV家電・ゲーム機の中にはUSBポートを装備している製品も多いので、そこから電源を取ることができ、コンセントを1つ節約できる。狭い場所で使う場合には重宝しそうだ。


ACアダプタを用いず、USBポートからの電源供給も可能。アダプタモードで使用する場合に便利だ 各モードとも、簡易セットアップウィザードが用意されている。画面はアクセスポイントモードのウィザード

(左からルータ、アクセスポイント、アダプタ)Web設定画面はどのモードも配色が同じで、やや見分けがつきにくい。設定項目自体もよく似ているだけに、もう少し見分けやすくしてほしかった


完成度は高く、いずれの用途でも長く使える製品

製品パッケージ。コンパクトさの訴求が弱い点は少々もったいない感がある
 以上、駆け足で紹介したが、総じて製品としての完成度は高い。無線LANの高速化機能を搭載しておらず、光ファイバの専用線などの高速スループット回線をフルに活かせるかというと疑問もやや残るが、製品のコンセプトからしてそこを追求すべき製品ではないだろう。

 最大のメリットは、3モード搭載によりモデムなどの環境が変わっても長く使える点であり、Bフレッツ マンションタイプから各種ADSL、CATV回線に至るまで、手軽に無線LAN環境を構築したいユーザーにオススメできる製品だ。本来の用途であるモバイルユースでも、コンパクトで可搬性が高く、なにかと役に立つ一品である。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logitec.co.jp/products/lan/lanpwgapr.html
  ロジテック
  http://www.logitec.co.jp/

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(後藤重治)
2006/05/31 10:53
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