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スカイプ連携が可能なパイオニアのデュアルモードコードレスフォン


TF-FS55M-Sの店頭実売価格は14,000円前後。シルバーをベースとした落ち着いた色調で置き場所を選ばない。OSはWindows XP/2000に対応する

ハンドセットのディスプレイはカナ12桁2行表示のドットマトリクス液晶。イエローグリーンのバックライト付きだ
 パイオニアコミュニケーションズの「TF-FS55M-S」は、外観を見る限り1人暮らしの部屋などに向いたシンプルな電話機だ。しかし、一般加入回線に接続して普通の電話機として利用する以外に、パソコンの外部スピーカー・マイクユニットとして機能するモードが利用できるという大きな特徴がある。しかも、P2P電話ソフト「Skype(スカイプ)」との連携に対応するユーティリティソフトが付属。通常の通話とインターネットを介した通話を1台2役でこなせる、デュアルモードコードレスフォンなのである。

 TF-FS55M-Sは、ハンドセットと充電器を兼ねたベースユニットとを組み合わせたシンプルなコードレスフォンのスタイルを採用している。ベースユニットは、ハンドセットを置くだけで充電できるカップと各種インターフェイス、それにLEDインジケータがあるだけで、ボタンなどは一切見あたらない。すべての操作はハンドセットで行なう方式だ。

 ハンドセットは、コードレスフォンの子機としては小柄な部類だろう。しかし、厚みがあるため握り込みやすく、全体が緩やかな「く」の字型に湾曲していて顔の輪郭によくフィットする。カナ12桁2行表示のドットマトリクス液晶ディスプレイはイエローグリーンのバックライト付きだ。キーはボディの大きさに見合った小振りなサイズだが、ストロークが深く、押し込んだ感触が指にしっかりと伝わってくる。

 ベースユニットは横から見ると三角に近い形状で、安定性が非常に良い。幅はそれほどでもないが、高さと奥行きがあるためか、かなり大きく感じる。ハンドセットを置くカップ部分は薄いスモークがかかった透明素材で、内部に「Pioneer」のロゴが入った大きなLEDインジケータがある。USBポートやモジュラージャック、電源アダプタ接続用ジャックは後面の小さなパネルにまとめられている。

 主な操作はディスプレイの左右下にある2つのボタンで項目を呼び出し、リング状の4方向ボタンで選択、真ん中の決定ボタンで確定するというスタイルだ。ディスプレイにメニューが表示されるので、1度マニュアルに目を通せば操作に迷うことはないだろう。


ハンドセットは全長約172mm、重さ140gほど。内蔵バッテリーで約9時間の連続通話が可能。電波の到達距離は見通しで約100mだ 左右対称に配置されたハンドセットのボタン。間隔は詰まり気味だがストロークが深く、見た目よりも扱いやすい。押すと確認音が鳴る

 電話機としての機能は、100件分のカタカナ電話帳、発信メモリ、スピーカー拡声、オンフックダイヤルなど、ひと通り機能が揃っている。着信音は2種類のブザーのほか、ショパンの「華麗なる大円舞曲」、チャイコフスキーの「花のワルツ」、バッハの「G線上のアリア」など、クラシックを中心とした8種類のメロディを収録。保留音はパッヘルベルの「カノン」か「大きな古時計」が選べる。留守番電話機能が省かれているが、これはパソコンとの接続という用途を考えれば欠点になるとは思えない。現代の電話機としてみれば多機能とは言えないものの、シンプルで扱いやすいコードレスフォンという印象である。

 TF-FS55M-Sでは、一般加入回線で通話するモードを「TELモード」、スカイプで通話するモードを「PCモード」と呼んでいる。切り替えはハンドセットのテンキー右下にある「PC」ボタンだ。現在どちらのモードを使っているかは、ハンドセットのディスプレイで確認できるし、ベースユニットのインジケータがTELモードではオレンジに、PCモードではブルーに輝くので、ひと目で見分けることができる。


一般加入回線を利用するTELモードではベースユニットのインジケータがオレンジ色に光る ハンドセットの「PC」ボタンを押してPCモードに切り替えると、インジケータはブルーに変わる

パソコンに付属CD-ROMをセットすると表示されるオープニングウィンドウ。ここからスカイプ連携ユーティリティをインストールする
 スカイプとの連携は付属CD-ROMに収録さたユーティリティソフトをパソコンにインストールすることで実現する。これはTF-FS55M-S専用に開発されたものらしく、スカイプが発信や着信の操作に連動するようになるほか、ハンドセットからコンタクトリストや発信履歴を呼び出すといった操作が可能。さらにディスプレイに着信名を表示したり、ログイン状態を変更するといったリモートコントロールに近い機能まで備えている。

 ちなみにスカイプを使用せず、連携ユーティリティをインストールしていなくても、パソコンからはUSBオーディオデバイスとして認識される。この状態ではハンドセットのディスプレイに「PCツウワモード」と表示され、MSN Messenger、Yahoo! Messenger、Google Talkといったメッセンジャーソフトで外部スピーカー・マイクユニットとして利用できる。また、スピーカー拡声機能を利用して会話の録音や効果音を聞くといった用途も考えられる。ヒトの声を重視した音質なので音楽再生はお勧めしないが、モバイルノートの貧弱なスピーカーなどより役立ってくれそうである。


スカイプ連携ユーティリティをインストールすれば、ハンドセットを取るだけでスカイプのウィンドウが自動ポップアップ。そのまま通話を始められる スカイプ連携ユーティリティには自動起動、電話帳の選択、スカイプアウト使用時のダイヤル発信オプションといった設定が用意されている

ベースユニット後面にはパソコンと接続するUSBポート、一般加入回線を接続するモジュラージャック、それにACアダプタを接続するジャックがある
 TF-FS55M-Sの最大の特徴は、一般加入回線での通話とスカイプでの通話を区別する必要がないということだ。違うのは、一般加入回線を使用している間にスカイプの呼び出しがあった場合、1度通話を切ってからでないと応答できないという点。また、スカイプでの通話中に一般加入回線の着信があった場合は通話を保留するか、あるいは切断してから応答しなければならないという点だ。少々面倒にも思えるが、実際の使用感はキャッチホンと大差ない。

 加えて取り回しの良さ。パソコンの前に座り、ヘッドセットを付けて会話に没頭するのも悪くないが、ベッドやソファに寝っ転がりながらダラダラとした会話を楽しめるのはコードレスならではの魅力だ。ケーブルを気にせず、ハンドセットを手に取るだけで素早く発信できるのはビジネスシーンでも大きなメリットだろう。

 筆者個人として、ちょっと残念だったのは着信音量だ。筆者の部屋には大きすぎたのである。無音に設定していてもイルミネーションがハデに明滅するので着信を取り逃すようなことはないのだが、もう少し音量を下げられるようにして欲しかったというのが正直な感想である。

 実を言うと、今回の製品は試作段階だったため、正式なマニュアルなどが付属していなかった。にもかかわらず、筆者は迷うことなく取り扱うことができたのである。これは本来のわかりやすさはもちろんだが、以前取り上げた「TF-FS22M」の操作性が受け継がれていたためだろう。多くの機能と新しいデザインを採り入れたニューモデルは魅力的ではあるが、電話機のような普段の生活に密着した製品には、こういった変わらない安心感も必要なのではないだろうか。


ベースユニットは86×171×99mm(幅×奥行×高)と大柄。内部のイルミネーションも大きく、暗い部屋ではまぶしく感じるほどの光量だ カップ部分は薄いスモークがかかった透明なプラスチック素材。ハンドセットが宙に浮いてるように見えるという凝った演出だ

関連情報

URL
  製品情報
  http://pioneer-pcc.jp/product/fs55m/
  パイオニアコミュニケーションズ
  http://pioneer-pcc.jp/

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(斉藤成樹)
2006/06/21 11:00
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