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ビデオチャットをいっそう快適に! 自動追尾式Webカメラ「DC-NCSC1」


自動追尾機能付きで実売6,980円の低価格を実現したNET COWBOY「DC-NCSC1」

「DC-NCSC1」製品パッケージ。直販サイトの価格は6,980円。今回試用したホワイトモデルに加え、ブラックモデルもラインナップされている
 Skype(スカイプ)の普及に伴い、USB接続のWebカメラが売れている。Webカメラは製品の性格上、自分だけが持っていても役に立たないわけで、1つ売れると相手にも売れ、そしてそこからどんどんユーザーが広がっていく性質を持っている。Skypeのほか、Windows Live Messenger、Yahoo!メッセンジャーなどビデオチャット全盛の現在、売れ続けるのは当然とも言える。

 Webカメラは主に、リーズナブルな固定タイプと、被写体を自動追尾するパンチルトタイプに分類される。前者については低価格化が進む一方、美白機能やフレーム、エフェクトによる演出機能といった付加価値がついた製品が登場し、複数のメーカーが入り乱れての激戦となっている。画素数についても、30万画素クラスに加えて100万画素を超える高画質品も登場するなど、進化は目覚しい。実際にはこれらに加え、クリップ式や据置式など、設置方法ごとにラインナップが用意され、店頭のコーナーは空前の活況を呈している。

 その中で今回紹介するのは、パンチルトタイプとしては実売6,980円という低価格で登場した、DIGITAL COWBOYのWebカメラ「DC-NCSC1」である。自動追尾機能が利用できるのは左右の動き(パン)のみで、上下の動き(チルト)は手動になってしまうが、それでも一般的なパンチルトタイプの実売価格が1万円を超えることを考えると、本稿執筆時点では驚異的な価格設定だ。


固定式と変わらないコンパクトな筐体。最大1,280×960の高解像度に対応

製品本体。自動追尾機能を内蔵しているとは思えないシンプル&コンパクトなデザイン
 まずは仕様面と外観からチェックしていこう。製品の外観は至ってスタンダード。自動追尾対応の製品としては非常にコンパクトで、固定式と言われてもすんなり信じてしまいそうな外観である。実際に首を振る動作をしてはじめて、自動追尾対応だったのだと気付かされるほどである。

 ピントは本体前面のレンズを回転させて合わせる方式。解像度は最大で1,280×960ピクセルまで対応しているが、その場合はフレームレートが15fpsとなるため、30fpsが利用できる800×600ピクセル以下で使用するのが現実的だ。

 30万画素のCMOSセンサを搭載しており、4倍のデジタルズームにも対応する。画像は30万画素のCMOSカメラとしては綺麗な部類に入るが、640×480ピクセル以上になるとややザラつきが目立つ。ハードウェア性能の限界を、ソフト側でめいっぱい補正している印象だ。

 色は心持ち彩度が高めで、肌色が赤みがかって映る傾向がある。もっとも、色調および明るさはかなり頻繁に補正されるため、背景に何が映っているかによっても肌の色は大幅に変化する。

 マイクは内蔵されておらず、同梱のイヤホンマイクを利用する。あくまでおまけといった体裁なので、利用中の市販品があれば、そちらを利用しても良いだろう。


解像度は最大で1,280×960ピクセルまで対応する 設定画面。自動追尾やデジタルズームの有無、露出などを設定できる

Skypeのビデオ設定画面で「DC-NCSC1」を選択し、ビデオチャットで利用することが可能 Skypeのビデオチャットでの画面。Windows Live Messengerでも同じように利用できる

2WAYスタンドをセットすることで、液晶ディスプレイ上部に取り付けることが可能
 設置方法については、卓上およびクリップでの2WAYの利用ができるが、モーターで首を振るという構造上、卓上に置いただけではやや安定性に欠ける。ケーブルがやや固めで本体の動きに影響を受けやすいこともあり、事実上ディスプレイに固定して使うのが前提となる。どうしても卓上で使いたい場合は、設置場所に応じ、両面テープなどで固定するなどの対策を施せば良い。

 クリップは、がっちりディスプレイに食らいつくというよりは、軽く挟み込むといった感じだ。台座の構造上、上面がフラットになった液晶ディスプレイにはぴったりフィットするものの、それ以外ではやや設置に工夫が必要そうだ。特に、厚みがないノートPCに取り付けて使うのは少々苦しいと思われる。

 後述する自動追尾機能でのモーター駆動音は、決して耳障りというわけではない。しかし、被写体が動くたびに、ブン、ブンという駆動音が響くため、静かな部屋では多少気になるかもしれない。これは利用者の環境に左右される部分だろう。


液晶ディスプレイの上面に取り付けた状態 同じく、後ろから見た状態。がっちり固定するというより、軽く挟み込む感じだ

 ちなみに本パッケージには、本製品を防犯カメラとして使うためのソフトウェア「どこでも携監」お試し版が同梱されているが、防犯カメラとして使うには、前述の動作音はやや目立ってしまう。また、筐体がドーム状になった他社製品と異なり、どちらの向きを撮影しているかが一目瞭然なので、防犯カメラとして購入する場合は、その点も考慮に入れるべきだろう。場合によっては、ソフトウェア側で自動追尾機能をオフにすることも視野に入れておいたほうが良い。

 また、照度の低い場所に強いとは言えないので、防犯用途として使う場合、シチュエーション次第で撮影が困難になることも考えられる。暗がりで利用するのであれば、赤外線LEDを採用した同社製の「DC-NCIRC1」の購入を検討した方が良いだろう。


自動追尾機能は動くモノを中央に持ってくるシンプルな仕様

 さて、本製品の最大の特徴である自動追尾機能について見ていこう。この自動追尾機能は、顔の一部をシンボルとして認識して追尾するようなインテリジェンスなタイプではなく、画面の中に動くモノがあればそちらを向くというシンプルな仕様だ。

 そのため、例えばビデオチャット中にちょっと眼鏡のズレを直したら手の方向を向くし、頭をポリポリかけばそちらを向く。要するに、常に顔が画面のセンターに映るよう追尾されるわけではない、ということだ。特に、ハンズフリータイプのイヤホンではなく、受話器タイプのマイクを手で持って使う場合は、カメラが手の方を向いてしまうことも多いので、注意が必要である。


左右180度のオートスイングに対応する。この可動範囲は、他社のパンチルトカメラと比較してもほぼ同等のスペックだ


上下の動き(チルト)は自動ではなく、手動で行なう必要がある
 もっとも、これがデメリットかというとそうでもない。特定のシンボル、例えば顔を認識して追いかける方式だと、ビデオチャット中にちょっと席を立った際、部屋から出ていくところまで追尾しかねない。実際にそこまでデリケートな問題は起こらないとは言え、本製品の場合、何段階かに分けてカメラの向きが変わるので、カメラを1度振り切ってしまえば、それ以上追尾される心配がない。動作のクセが読みにくいインテリジェントな機種より、ある程度動作が予測しやすい本製品のほうが、実利用においては使い勝手が良いのではないかと思う。

 ちなみに、この動体検知機能のレベルは固定されており、どの程度動いたら自動追尾するかはマニュアルで調整することはできない。ただ、本製品の被写体はほぼ人間に限定されているわけで、それにあらかじめ最適化されていると考えると、ビデオチャット用のカメラとして利用する場合は、大きな問題はないだろう。

 なお、本製品を利用中にカメラがあらぬ方向を向いたまま止まってしまった場合は、顔を軽く上下に振ることで、画面の中央に顔が来るようにカメラの向きをリセットできる。きわめて有効な方法なので、覚えておくと良い。


背後の部屋の様子まで映してしまうパンチルト製品のデメリット

 カメラが左右にオートスイングするということは、それだけ背景の広い範囲が映ってしまう可能性がある。あまり気にしない人もいるかもしれないが、雑然とした部屋の様子を、ビデオチャットの相手にわざわざ見せる必要はないだろう。法人の場合は下手をすると守秘義務に絡むおそれもあり、片付けておくに越したことはない。

 固定式のカメラなら、単一のエリアだけを片付ければ済むが、カメラが左右にパンするとなると、カメラが追尾する範囲すべてを片付ける必要がある。これはけっこうな手間といえば手間で、パンチルト製品特有の問題であるとも言える。

 が、左右の動き(パン)だけであればまだマシだ。これに上下の動き(チルト)が加わると、これまでは目線の高さだけ片付ければよかったのが、天井から足元まで片付ける必要が出てくる。手元にあるお菓子の袋が映る程度ならまだしも、うっかり風呂上がりにビデオチャットを開始してしまったりすると、局地的な放送事故につながりかねない。


自動追尾方式は、動く被写体が画面の中央になる仕様。チャット中に手を上げると、手が画面の中心になるようにカメラの角度が変わる


自動追尾機能は左右(パン)のみで、上下(チルト)では動作しない
 その点、自動追尾機能が左右方向だけに限られる本製品は、実用性の面では非常に優れている。Webカメラで室内が映るのがイヤで、背後がカベになるようパソコンの配置を変えるユーザーも多いと聞くが、誰もがそのような室内のレイアウト変更を行なえるわけではない。あまり広い範囲を映されるのは困るが、自動追尾のメリットは享受したい、というユーザーにとっては、本製品はピッタリの製品ではないだろうか。

 余談だが、もしこの種のWebカメラに被写界深度を浅く設定する機能があれば、部屋の背後をボケ気味に映すことができ、パンチルト対応製品をさらに手軽に使えるのではないかと思う。価格が極限まで下がりきった現在のWebカメラ、しかもCMOSタイプにこうした機能を求めるのは困難だが、今回製品を試用していて、パンチルトタイプのWebカメラが普及するにはこうしたアプローチも必要ではないかと感じた。


価格と機能のバランスにすぐれ、万人にお勧めできる製品

 やや話が脱線したが、自動追尾機能をもちながら実売6,980円という低価格を実現した本製品は、非常にお買い得感が高い。5,000円の予算でWebカメラを探すとして、プラス2,000円で自動追尾対応のカメラが手に入るのであれば、そちらを選ぶのが自然な流れというものだろう。

 ヘッドセットなどにも言えることだが、Webチャット関連製品というのは他の周辺機器に比べて買い換える機会そのものが少なく、いったん安い製品を買ってしまうと、機能面・画質面で長らく後悔することが多い。その点からも、価格面と機能面のバランスにすぐれた本製品は、初心者にとっても中級者にとっても、良い選択肢であると言えるだろう。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.digitalcowboy.jp/products/ncsc1/index.html
  DIGITAL COWBOY
  http://www.digitalcowboy.jp/

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(kizuki)
2006/07/19 10:52
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