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生成フォントの再配布が可能になった! 「まるで手書き PLUS」


「まるで手書き PLUS」。標準価格は2,970円。対応OSはWindows XP/2000で、Vista対応も予定している。利用にはPentium 500MHz以上のパソコン、それに300dpiでの取り込みが可能なTWAIN対応カラーイメージスキャナが必要
 ソースネクストから2005年に発売された「まるで手書き」は、3ステップでオリジナルの手書き風フォントを作成できるソフトウェア。専用の原稿用紙(1枚付属。プリント出力にも対応)に指定された200字を手書きしたのち、スキャナで読み取り、解析したクセを付属のベースフォントに反映させることでフォントを生成するのである。

 生成モードは自動生成モード、個別クセモード、手書き直接モードの3タイプで、ひらがな・全角カタカナ、全角英数、漢字-JIS第1・第2水準(6,355文字)、JIS非漢字(記号)の一部が生成可能。自分の字により近いフォントを作りたいなら手書き直接モードがオススメだ。

 この「まるで手書き」が、パワーアップして「まるで手書き PLUS」として、今年の10月に登場した。そこで今回は、どこが変わったのかを中心にチェックしてみたい。なお、従来の機能については、2005年に執筆したこちらの記事を参考にしていただきたい。


何がPLUSされた? 「まるで手書き PLUS」の新機能

 「まるで手書き PLUS」で強化された点は以下の通りだ。

(1)生成したフォントの配布が可能に

 前回のバージョンでは、生成したフォントの利用既定は「製品の使用許諾条件と同一であり、第三者に譲渡したり、再配布、販売をすることはできません」ということだった。つまり、生成した手書き風フォントのみ取り出して別のパソコンにインストールして使ってはならないとされていたのだ。

 これが今回、個人での利用に限り再配布が可能となった。これにより、フォントをメールに添付して送ることもできる。手書き原稿ベースで交換していた方には朗報だろう。ただし、「ARペン楷書体L」をベースフォントとして生成した手書き風フォントの再配布はできない。また、商用利用はできないので注意しよう。

(2)元になるフォントが2書体追加され、5書体に

 前回は、ARペン楷書体L、NSK白洲ペン楷書体、セイビ細楷書体の3書体だったが、今回は新たに、セイビペン字体とNSK白洲ペン太楷書体が追加されて、合計5書体になった。特に、NSK白洲ペン太楷書体が追加されたことで太めのフォントも作成可能になった。反映するベースフォントのタイプによってフォントのイメージが変わるため、こうしたベースフォントの増加はありがたい。

(3)取り込んだ文字を一覧で表示。修正も可能に。

 スキャナで読み込んだ原稿の文字をすべて確認できるようになった。表示種別として「最後に取り込んだ文字」「原稿文字」「取り込み済み文字」「全文字」で切り替えが可能。さらに、文字種として「全文字」「ひらがな」「カタカナ」「記号」「全角英数字」「漢字第一水準」「漢字第二水準」「常用漢字」「縦文字」も選択できるので、それぞれを切り替えながら、取り込んだ文字のバランスや誤字を確認できる。

 また、取り込んだ文字のバランスや気になる部分を見つけたら、[文字編集]ボタンをクリックすることで1文字単位で修正できるようになった。文字編集画面から、消しゴムツールで汚れを消したり、文字の位置を調整したり、鉛筆ツールでハネの修正を行なうことができる。これにより、直筆原稿を作成する段階で多少間違えても、文字編集段階で書き直せるのである。手書きの緊張感を和らげてくれるに違いない。


再配布可能になったため、作成した手書き風フォントをメールに添付して送ることもできる。ただ、1書体で4~5MB程度のファイルサイズになるため、相手にメールボックスの上限について確かめたほうが良いだろう

ベースフォントの総数が5書体に。いずれも自動的にインストールされる。もちろん、通常のフォントとしても利用可能だ 取り込んだ文字は表示種別と文字種を切り替えながら確認できる PLUS版では、確認した時に気になる文字を見つけたら、1文字単位で編集や削除が可能だ

改めて手書き風フォントを作ってみよう!

 今回も見本どおりにせっせと原稿用紙の升目を埋め、手書き風フォント作りに挑戦してみた。操作は[次へ]をクリックしながら指示に従えば良いので、初めての方でも簡単である。


前バージョンとのメニュー比較。[文字一覧&修正]が追加された。[生成フォント設定]は前バージョンの[「くせ」情報の反映度]と同じ 原稿テキスト名を選択し、原稿用紙と見本を1枚ずつプリントアウトする。原稿用紙は1枚付属しているが、折り目がついているためプリントアウトのほうが気持ち書きやすい 今回作成した原稿。キーボードに頼りすぎるあまり、普段は縦書き文章をほとんど書かなくなってしまったため、リハビリを兼ねて1枚目は練習

スキャナに原稿用紙をセットしたら、取り込む原稿テキスト名が見本と同じことを確認し、[スキャン開始]をクリック 読み取れていることを確認し、保存する 取り込んだ文字を確認する。修正したい文字があったら選択し、[文字編集]をクリックする。文字の下に線がついてしまった文字も、文字編集によって修正できるのだ

余分な線を[消しゴム]で消す。文字編集画面では[鉛筆]による描画も可能。そのほかに見本の書体を参考に、文字の位置やバランスを調整できる。原稿作成時に書き間違えてもこの時点で「手書き」できるので安心。[鉛筆][消しゴム]はともに4段階で指定できる

文字全体を下に移動する 修正が完了したら[保存]ボタンをクリック 位置を移動しつつ、鉛筆で形を整えた「っ」の例(グレーが修正前)

修正が完了したら、「くせ」情報の抽出ステップへ。くせを反映させるベースフォントと原稿データ名を指定し、[抽出開始]ボタンをクリックする くせの抽出が完了したら、生成モードとくせ情報の反映度を指定し、[次へ]をクリック。生成モードが[自動生成モード]および[個別くせモード]のときは、位置と大きさを変更すると、表示サンプルにリアルタイムに反映される [フォント生成]ボタンをクリックすれば、いよいよフォントの生成だ。指示に従ってフォントの保存先を指定したら、後は完成を待つばかり。フォントを再配布したい場合は、忘れずに[再配布用フォント作成]にチェックを入れよう

「手書き風フォントが完成しました!」というダイアログボックスが表示されたら完了。完成の作成されたフォントが使われているのでイメージがつかめる メニューの[フォントの確認]ボタンをクリックし、生成されたフォントを確認する。表示指定の[原稿テキスト名]を変えることで元原稿にない文字の表示状態も確認できる。「手書き直接モード」の場合は特に便利だ。くせの確認がしにくいときは[文字サイズ]で拡大するとわかりやすい

 以上のようにして生成した再配布用の再配布用フォントは、[C:\Documents and Settings\ユーザ名\My Documents\まるで手書きPlus_フォント]に保存される。また、パソコンには生成と同時にインストールされるので直後からフォントを利用できる。

 なお、「個別くせモード」または「手書き直接モード」を選択した場合でも、原稿用紙にある200字以外は「自動生成モード」で作成される。原稿用紙にない文字にも入念にくせを反映させたいときは1度作成した手書き風フォントをベースフォント代わりに、200字ずつくせの追加反映を繰り返すと良い。オリジナル原稿を作成したいときは、メニュー内の[トップ画面]に戻り[オプション]ボタンをクリックし、[原稿テキスト作成]タブから100%オリジナル原稿を作成するか、[オプション原稿テキスト]タブから選択肢に追加して、テキストセットを選択する。


手書き風フォントを比較してみた

 最後に、従来からあった「NSK白洲ペン楷書体」と、今回新しく追加された書体「NSK白洲ペン太楷書体」のそれぞれをベースにした手書き風フォントを比較してみた。


違いが微妙な点も多いが、オリジナルと比較すると変わっているのがわかる。生成モードと変位位置や大きさ情報の組み合わせによっても変化するため、1つ作成した後に[戻る]ボタンで戻り、改めて変位位置や大きさ、ベースフォントを指定しなおし、何パターンか作成しておくと便利だ

これまで作成した手書き風フォントの一覧をWordで表示させた例。作る先からインストールされるので、なんとなく作成し続けているとすごいことになってしまう 編集部M松氏が作成したフォントと比べてみた。自分の文字だけをベースにしていると気づきにくい違いも、書き手が変わるとはっきり出ると実感! 元原稿も拝見させていただいたが、確かに「くせ」が反映されていた!

 くせによっては丸めの文字でフォントを作成したいケースも考えられるため、ベースフォントのバリエーションがさらに増えればもっと楽しめるだろう。年賀状作成がまだなら、追い込みをかけるのに一役買ってくれそうである。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sourcenext.com/titles/hob/73950/
  ソースネクスト
  http://www.sourcenext.com/

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(すずまり)
2006/12/27 11:00
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